ホンダ シビック (ハッチバック) 「爽快な走りはまさに「4ドアのスポーツカー」」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

爽快な走りはまさに「4ドアのスポーツカー」

2024.9.30

年式

2024年9月〜モデル

総評

もはや絶滅危惧種となっている国産ミドルクラスセダンのなかで、唯一気を吐いているのがシビックだ。ただ、グローバルで見ればホンダの屋台骨を支えるモデルであるだけに、その完成度の高さは驚くべきもの。デザインや機能面にやや北米らしさを感じなくもないが、アコードと比べると日本のユーザーにも十分マッチする1台と言えるだろう。マイナーチェンジで追加された「RS」は、シビック最大の特徴である爽快な走りをさらに高めており、スポーツカーを求めているユーザーにもおすすめだ。

満足している点

なんといっても、爽快な走りがシビック最大の魅力だ。500万円以下のモデルとしては、いわゆるスポーツカーも含めてトップクラスの走りと言えるだろう。そして「RS」は、そうしたシビックの特徴をさらに昇華させている。一方、タイプRのようなサーキット走行を前提としたモデルではないため、日常的な走行シーンでも必要十分以上の快適性を備えている点も特筆すべきポイントだ。

不満な点

機能装備が充実している反面、かつてのように手頃なクルマではなくなってしまった。加えて、ボディカラーを含めたオプションの幅が狭く、カスタマイズする余地が少ないのはマイナスポイントだ。

デザイン

4

クリーンな印象のエクステリアデザインは、インパクトこそないものの、多くのユーザーに好まれるものとなっている。ただ、フロントのデザインはスポーティであるのに対し、リアのデザインはやや重たさを感じる。ファストバックスタイルのためやむを得ない部分はあるが、もう少し「ワイド＆ロー」が強調されるとよかったかもしれない。インテリアのデザインも、シンプルかつスポーティなものとなっている。マイナーチェンジにより、このクラスとしてはめずらしく、ホワイト系のインテリアとサンルーフが装着できるようになったのはうれしいポイントだ。

走行性能

5

スポーツカーのような爽快な加速感とクイックなハンドリングは、シビックの大きな魅力のひとつだ。こうした特徴はグレードやパワートレインにかかわらずであり、シビックの基本性能の高さを伺い知ることができる。新たに追加された「RS」では、そうした特徴がより一層強められている。特に、専用の足回りの採用によってハンドリング性能を大きく向上しており、ダイレクト感の強められたマニュアル・トランスミッションと合わせて、クルマを操る楽しみを味わわせてくれる。その走りはまさに、「4ドアのスポーツカー」と呼べるものだ。

乗り心地

4

スポーティセダンとしての性格が強くなったこともあり、基本的には固めの乗り心地といった印象だ。それはマイナーチェンジで追加された「RS」にも当てはまるが、タイプRに比べると格段に快適であることは言うまでもない。上位モデルのアコードと比べると、高速走行時の風切音などがやや気になるが、同乗者から大きな不満が出ることはないだろう。

積載性

3

ラゲッジルームは深さがある一方で横幅が若干狭いため、ゴルフバッグのようなものを積載する場合には、後席のシートアレンジが必要だ。一方、ファストバックスタイルであることから荷物の積み下ろしがしやすいのはうれしいポイントだ。それ以外の収納スペースについては可もなく不可もなくといったところ。

燃費

4

実燃費はハイブリッド車で20km/L前後、ガソリン車で12km/L前後といったところ。どちらも現代の水準からすれば妥当な数値ではあるが、爽快な走りを楽しめたうえでの燃費と考えたら、十分以上であるとも言えそうだ。

価格

3

かつてのシビックのイメージからすればかなり高価格のようにも思えるが、その基本性能の高さや機能装備を考えると、決して割高とは言えない。その反面、ベースグレードでも一定以上の機能装備となっているため、安価に手に入れることが難しいのも事実だ。そういう意味では、「手頃なクルマ」を求めているユーザーには不向きな1台となってしまった。