極限のストレート6は、もはや芸術である
【要約】アルファの次はシトロエンと決めていたはずが悩んだ末に選んだのはE46 M3だった。職人魂の極致とも言え
2013.3.7
- 総評
- 極限のストレート6は、もはや芸術である
【要約】アルファの次はシトロエンと決めていたはずが悩んだ末に選んだのはE46 M3だった。職人魂の極致とも言えるストレート6の感動を前にすれば、デザインなんてなんのその。
長文&自己満足レビューです、すみません。
アルファ156の購入に際し初めて車雑誌や車のサイトを見るようになった5年前、ポルシェがドイツ車だったという事実に衝撃を覚えるくらいなんにも知らなかった私がアルファロメオの他に気になったのが、BMWのストレート6エンジンとシトロエンのハイドロニューマチックサスペンションでした。でもちょっとずつ知識や経験が増えるにつれ真面目で遊び心がないドイツ車は自分には合わないし、逆にイタリアやフランスといったラテン系はデザインや雰囲気、哲学なんかもかなりしっくりくるなー、と感じるようになりました。BMに対する興味は薄れ、アルファの次はシトロエン、と4年前には決めていました。で、どうせハイドロシトロエンに乗るんだったらC5よりもシトロエン濃度の濃いC6のほうにしようと。
ところが156に小さな故障も増えてきて、いざ乗り換えを検討し始めた時、30代前半でC6って全然似合わないんじゃないか、という疑問がふと心をよぎりました。ほんとにC6でいいのか??うーん。自分はスポーツドライビングが好きだし、やっぱりもう少しの間は思い通りに俊敏な動きをする車に乗りたい。今まで4WDかFFだったから今度はFRが良いのでは?それならやはりストレート6と前後荷重50:50のBMWだろう。どうせならこれまでに経験のないクーペが良い。
絶滅間近のストレート6。掲げるアイデンティティの危うさをいよいよ明確に指摘され始めたBMW。ふと、今しか乗れないのではないか、今乗るべきなのではないか、という強い思いが湧き上がり、その考えが離れなくなりました。知識を得るほどにラテン系の車にしか興味を示さなくなっていたはずが、直6のBMに乗りたい、となったのです。
まず、1シリーズは現行も先代もデザインがもうゴメンナサイでした(好きな方ゴメンナサイ)。先代3シリーズのクーペ(E92型と言います)の直6は3000ccターボ付き(335i)だけです。3Lモデルの上にはM3がありますが、E92ではついに伝統の直6をやめてV8エンジンになりました。
(以下長所、短所の欄ですが続きの文章としてお読み下さい。)
- 満足している点
- ちなみにBMWにはレースとかの研究開発を担当するM社って会社があって、BMWの車をベースに、エンジンだけでなくありとあらゆる部分を煮詰めたM3とかM5といったハイスペック車を作っています。 (自分のような素人さん向けの解説)
じゃあもう335iで決まりー。
とはなりませんでした。中古車サイトでマニュアルを検索してみたら…0件です。って335iにマニュアルないじゃんマニュアルー。速さとコントロール性の高さを楽しむために選んだ直6のBMをATでゆったり乗るつもりはありません(他社に比べれば変速早いけど)。2009年からはダブルクラッチに変わりましたが、DCTって半クラ苦手だし、発進時にガツンとつながらないように通常のスタートはゆっくりなセッティングになってるらしい。あとはやっぱりターボがね。回転数に応じた盛り上がりなど評価は高いですが気になる人にはやっぱり気になると。アクティブステアリングも複数台所有者にはまずマイナスポイントだよなぁ…。
ドイツ車にしては珍しく、E92のクーペはまぁ美しい車だと思っています。クリスバングルの仕事、時々好きです。先代のZ4もトロンとした目がとてもカワイイ。じゃあZ4はどうか?結論を言うとZ4Mも無しでした(文字数の都合で理由は省略)。
ちょっと行きづまりつつあった自分のBM選び。とそこで思い出しました。そう言えば先々代(E46型)のM3は直6だったはず。そして非常に評価の高い車だった、ような。興味なくってほとんど意識してなかったけど。
ネットで調べる。
…うぇ~ん、見た目古ーい。ださーい。内装も相変わらずだし。しかも10年たってんのに意外と値下がりしていない…
でも。3.2Lの直6だ。自然吸気の、マニュアルだ。アクティブステアリングもついてない。
選択はE92 335i(DCT)かE46 M3か、になりました。
走りのダイレクト感を(ちょっと)妥協して、デザインや新しさ、快適性をとるか。
見た目を我慢し、ひたすらストレート6を思い通りに操る喜びをとるか。
自分がBMWに惹かれた理由は何であったか。
直6エンジンは構造上クランクシャフトの回転サイクルによるモーメントが完全に打ち消し合うため高回転まで回してもほとんど振動がなく、それ故スムーズに淀みなくレッドゾーンまで吹け上がり、絹のような滑らかさを指してシルキー6と名付けられました。
- 不満な点
- これは極めて自然な設計であり、「数学の証明はシンプルであるほどに美しい」に通ずるような機械としての美しさを機械オンチのくせに勝手に感じてしまいます。次々とV6に変更する他社を尻目にあくまで直6にこだわり続けた結果、この名機はエンジンメーカーであることに誇りを持つBMWの象徴となりました。
現在の直6はシルキーと絶賛されたビッグ6そのものではなくスモール6を原型としており、ポルシェなどのライバルに対抗するためありとあらゆる部分の設計を見直しながら排気量や出力の拡大を続け、M3ではこれ以上は難しいとされた3Lをさらに超えて3245ccとなりました。しかもその343psというスペックをたたき出すために要する回転数は7900rpm。壊れるリスク覚悟でギリギリまで拡大したボア(シリンダー間4mm!)とストローク速度をいろんな人達から限界なんじゃないかと心配され、大丈夫だよーと発売したもののやっぱり限界でエンジンブローが相次いで報告されリコール対象となりました。ガラスの心臓なる呼び名もついたくらい。しかしそこまでしてでも大きさも重さも剛性もコストも不利なストレート6にこだわってライバル達と戦った意地と職人魂は、まさに称賛に値すると思います。
今さらそんなの買って壊れたらどうすんの?って別にいいんですよ壊れたら壊れたで。どーせ中古で買ったんだし。
いいじゃないですかロマンですよロマン。男のロマン。ここまで突き詰めたらね、もはや芸術の域ですよこれは。
BMWってのはエンジンを買うようなものだ、と言った人もいます。
BMさん「兄ちゃん、3Lターボと3.2L NA、どっちにする?」
自分「えっと…。じゃぁ3.2Lのほう下さい」
BMさん「あいよー、んじゃE46 M3のボディ付けとくから」
自分「あ、どーも」
こんな感じでしょうか。
個人的に直6の完成形は3.0Lだと思います。E90でも3Lに戻してるし。限界に挑戦した3.2Lには、まさに極限という言葉が相応しいのではないでしょうか。
いざ所有してみて。いやー、ほんとスゴイです、このエンジン。前述の情報と相まって、感動すら覚えてしまいます。
総合評価は…、まずエンジンが星10コ。外観がマイナス2、内装はマイナス3。で、トータルで星5個。
良かった、満点だ。
変なレビューでホントすいません。
読んでいただき有難うございました。
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