BMW i8 「★通常域では最速か。「必要以上」を切り捨てて価格と性能をシンプルにまとめたBMW i8に試乗する」のユーザーレビュー

intensive911(JUN) intensive911(JUN)さん

BMW i8

グレード:i8_RHD_4WD(AT_1.5) 2013年式

乗車形式:試乗

評価

5

走行性能
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乗り心地
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燃費
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デザイン
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積載性
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価格
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★通常域では最速か。「必要以上」を切り捨てて価格と性能をシンプルにまとめたBMW i8に試乗する

2016.4.5

総評
正直、運転していて「楽しい」と断言できる車であり、とにかくモーターのトルクは強烈で、どんな回転数からでも即座にアクセルペダルに反応してグイと加速するのは非常に気持ちが良いですね。
最近の車はスポーツカーにおいても燃費・環境対策にて低回転でシフトアップ・走行するように設計されており、これが災いしてアクセルペダルを踏んだとしても回転数が上がるまで思うような加速をしないことがあります。
これはスポーツカーにおいても同様なのですが、その点i8はこの問題を「ハイブリッド」という点において見事クリアしているとも言えますね。

それに加えて、一般人にとって過剰なまでの性能を求めずに常用域での加速やドライバビリティに集中し、それを実現するためにシンプルなハイブリッド・システムに止め軽量に仕上げたところは「ほかメーカーと見ているところが違う」と感じる部分。
時速300キロオーバーや0-100キロ加速3秒以下という世界第一級のパフォーマンスこそ備えていませんが、一般的に考えても十分以上のパフォーマンスを持っており、カーボン製のパッセンジャーセル、ガルウイング、リッター19.4キロの燃費、ほかにないスタイリング、ハイブリッドによる強烈なトルクという特徴を備えた上でこの価格であれば、「非常にお買い得」と言って良いでしょう。

なお排気音は擬似的に生成されたものが車内後部のスピーカーから流されますが、これも「演出」のひとつ。
ちなみにサウンドはアメリカンV8のような野太いサウンドです。

ドライブモードは4つあり、それを変更することでメーターのカラーが変わるなどの視覚的演出もあって、視覚や聴覚に訴える、新世代のスポーツカーと言えますね。
満足している点
なおドアは(見た目に反して)けっこう軽く、これはカーボンや樹脂の使用によって従来のBMW車に比べると1/2の重量に収まっている、とのこと。
ドアが閉まる時の音はなんともいえない安心感を感じさせるもので(重厚な感じ。空冷ポルシェやメルセデス・ベンツGクラスのような精密機械的な金属音ではない)、これまで乗った車の中でもピカイチ。
乗ってドアを閉めるまでの動作や感覚、音も独特と言え、これもひとつの「演出」なのでしょうね。

乗り込んでしまえば室内は快適空間そのもので、アンビエント・ライト(ブルー、アンバー、ホワイトが選択可能)が先進的なイメージを強調しており、ふだんi3に乗り慣れていてもi8の室内におけるデザインの斬新さには目を見張るものがあります。

キーはスマートキーとなっており、センターコンソール上にある「スタート」ボタンを押してシステムを起動しますが、この時点では「EV」として起動しているだけなのでエンジンはかかっておらず、車内はかなり静か。

かなり高い位置にあるセンターコンソール上のシフトレバーをDに入れ(レバーのサイドにあるボタンを押す必要がある)てブレーキペダルをリリースするとけっこう強いクリープとともに動き出します。
i3はクリープがありませんが、i8においてクリープを設けているのは「ほかのBMWと同じ」という安心感を与えるためかもしれないと考えたりしますが、実際の意図は不明。

まずは車に慣れるためゆっくりと街中を走りますが、ステアリングホイールの操作感は軽くも重くもなく、しかしBMWのほかの車と比べるとけっこう重めかも。
遊びが少なくセンターがしっかりしている印象で、かなり取りつけ剛性が高いこともわかります。
クリープからアクセルを踏んでの加速は非常にスムーズでギクシャクしたところはまったく無く、ブレーキに関しても踏力に応じて自然な効きを発揮する仕様で好感が持てますね。
ステアリング、ブレーキ、アクセルにおいても操作に対する違和感はなく、その見た目に反して、そして高いパフォーマンスを持つにもかかわらず、かなり普通で扱いやすいと言えるでしょう。


車体の見切りは良く車両感覚が掴みやすいのは大きな美点で、リアについても「フェンダーとテールランプとの隙間」から後方が見える(説明がなんとも難しいのですが、i8にしかできない芸当)ので比較的後方確認が容易。
さらにフロント左右はサイドウインドウ前方に三角窓が設けられており、こちらも確認が容易です。

操作に慣れてきたところで高速道路へ上がり高速走行に移りますが、加速しながらのレーンチェンジ、高速コーナリングにおいては4WDの本領発揮という印象で、フロントはモーター、リアはガソリンエンジンという異なる特性を持つパワーソースを持ちますが、これがどのような速度域においても見事に調和しており、これにはただただ驚くばかり。

高速走行においてはどっしりとした、そして路面に吸い付くような安定感があり、直進安定性は最高ですね。
加速や減速時の姿勢変化も少なく、とにかく安定志向なセッティングで、ハンドリングも過剰に敏感ではなく、しかしかなりの正確さをもって応答します。
ナーバスな印象は皆無で「乗りやすい」というほかはなく、誰がどう走らせてもかなり高い速度でカーブをクリアすると思われ、たとえ初めて乗ったとしても、全く不安なく思いっきり踏める車と言って良いでしょう。

足回りは非常にしなやかで、硬いという印象はとくに無し。
以外とストロークがあるようで、フェラーリやランボルギーニのようなストロークが短くダンピングがきつい印象はなく、しっかりと動くポルシェ的な印象(足回りだけではなく全般的に”普通のことが普通にできる”のはポルシェ的)。
※ドライブモードの変更でかなり硬さが変わる。”スポーツ”だとけっこう硬い

以前にM4に試乗した時は足回りがかなり固く、ステアリングもクイックで、ブレーキもガツンと効く「いかにもスポーツカー的」だという雰囲気を受けましたが、i8に関してはそういったことは何も感じさせないほどの「自然な振る舞い」のように感じられ、同じBMWでもけっこう方向性や味付けに差があるようですね。
M4以上の動力性能を持ちながらも7シリーズの快適性を持っている、という印象です。

もちろんこれは「良し悪し」の問題ではなく車の性格の差異ですが、BMWはこれだけの違いを意図的に演出できるだけの技術力とセッティング能力を持っている証でもありますね。
不満な点
気になるところはエンジン稼働時の音や振動がけっこう大きいこと。
正確に言うとそれらはけして一般的に考えて大きくはないのですが、EVモード時は「無音」なのでエンジンが始動したときにそのギャップが大きい、ということになります。
デザイン

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走行性能

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i8に試乗。
ずっと試乗したいと思いながらも中々その機会がなく、今回ようやくそのチャンスが訪れたわけです。

すでに何度か見ていますがルックスはいつ見ても斬新。
やはりリアの造形は素晴らしく、自動車というよりは芸術作品のようですね。

BMW i8については意外と語られる機会がなく、ここでちょっとおさらい。
i8はi3同様にカーボン製のパッセンジャーセルを採用した車ですが、i3と異なるのは「ガソリンエンジンでも走る」というところ。
i3は基本的に完全なEVで、オプションのレンジエクステンダー(バイク用のガソリンエンジン)を積むことでこれを「発電機」としてこれを使用し、発電した電力を蓄電池に充電してEVとしての走行を行うわけで、「ガソリンエンジンでは走れない」構造です。

ですがi8の場合は231馬力を発生する1.5リッター直3エンジン(F56ミニクーパーと同じ)、そして131馬力を発生するモーターを動力源として走行。
ガソリンエンジンは後輪を、モーターは前輪を駆動する4WDのプラグインハイブリッドカーなのですね。
重量はドライで1490キロとハイブリッドカーとしてはかなり軽量(V10ガソリンエンジンのランボルギーニ・ウラカンは1422キロ、ハイブリッド・システムを持つ新型NSXは1750キロ)。

ハイブリッドカーにおいて重量を食うのはバッテリーとモーターですが、i8の場合は「1モーター」に抑えることで重量を削減しており、モーターそのものや、モーターが消費するバッテリーそのものも軽く抑えているということですね。
なお新型NSXはパフォーマンス重視で3モーターシステムを採用し、前後ホイールをそれぞれ独立したモーター、リアのトランスミッションに1つのモーターという構成。

i8の場合はシステムそのものもシンプルにできていると言えますが、これはi8が「ある程度以上のパフォーマンスを切り捨てた」戦略にあると考えられます。
フェラーリやポルシェ、マクラーレンとは競おうとせず、BMWが自主制限する最高時速250キロまでの間でいかに気持ち良く走れるかということに重点を置いたと推測でき、そのためにシステムをシンプルに、そして価格も(フェラーリやポルシェ、マクラーレンよりも)安価に抑えていることがi8の特徴。
乗り心地

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パフォーマンスを売り物にしないのであれば何をセールスポイントとするのか?という問いに対するBMWの回答が「ルックス」で、コンセプト段階からの斬新なデザイン、そしてガルウイング(シザー)ドアで非日常感を演出している、と考えられます。

そしてそれだけではなく、グロスブラックを効果的に用いる「ブラック・ベルト」、「ストリームフロー・デザイン」と名付けられたサイドのグラフィックなど、他のどの車にも似ていないシルエットやラインを演出する要素がたくさんあり、それがBMWの戦略における優秀なところ。

誰もが皆スポーツカーやスーパーカー的ルックスを持つ車に最高のパフォーマンスを求めるわけではなく、ちょうど光岡オロチが「ファッション・スーパーカー」として外観を重視して開発されたように「カッコ優先」のスポーツカー、というのを本気で作ったのがi8で、実際のところ北米では非常に高い人気を獲得することとなり、これは「パフォーマンスよりもカッコ」を求めていた層が潜在的にかなりいた、ということにもなりますね。

なお価格は1966万円で、これはランボルギーニ・ウラカンやフェラーリ488GTBより1000万円も安い価格。
サーキットを走るわけでもなく、極限のパフォーマンスも必要ないと考え、しかし「格好良い車を欲しい」と考える層に刺さったと考えることができます。

i8のサイズは非常に堂々としたもので、全長4690x全幅1940x全高1300ミリ。
幅や長さはランボルギーニ・ウラカンやフェラーリ488GTB、マクラーレン570Sと同等で、ホイールサイズも20インチと大きく、とにかく見栄えのする車がBMW i8ですね。

しかしながら「見栄えだけ」ではなく0-100キロ加速は4.4秒とかなり速く、youtube上ではM4を打ち負かす動画も見られるので走行性能も「かなりのもの」と言えるでしょう。

前置きが長くなりましたが、そう考えながら車を見ていると随所に新しモノ好きな人を刺戟する仕掛けが多数ありますね。
シルエットも素晴らしいですがディティールも素晴らしく、とにかく「未来感」は現在の自動車においてブッチギリ。

さて、ガルウイングドアを開けて乗り込みますが、「乗りにくさ」は特筆モノ。
サイドシルが高く分厚く、Aピラーが低いので、足と頭の両方に注意しながら体を車の中に入れる必要があります。
ただしそれもBMW i8というとてつもなく格好良い車に乗るためのひとつの通過儀式と考えると、ある種のマゾ的満足感を(オーナーさんは)感じるかもしれません。
サイドシルはi3同様にあえて「カーボンむき出し」で、ここも高い満足感を感じさせるポイントですね。
積載性

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燃費

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価格

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故障経験

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