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EVで名車が復活!! 元祖「ルノー5」はどんなクルマだったのか?

掲載 更新 12
EVで名車が復活!! 元祖「ルノー5」はどんなクルマだったのか?

 今年に入ってルノーの名車「5」がEV(電気自動車)で復活することが発表され、注目を集めている。車名は「R5」となり、2025年に発売される予定だ。

 そのEVモデルであるR5のデザインモチーフとなったオリジナルのルノー5とは、どのようなクルマだったのか? モータージャーナリストの島崎七生人氏が解説する。

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文/島崎七生人  写真/Renault、HONDA

【画像ギャラリー】大衆車からWRCモンスターマシンまである! ルノー5(サンク)を写真でチェック!!

■往年の名車をイメージさせるEVを投入させる戦略

 今年1月、“Renaultion(ルノルーション)”と銘打ち今後の計画を発表したルノー。その際「ルノー5プロトタイプ」の名で発表されたモデルが、2025年までに投入されるという7車種のピュアEVのうちの1台として、車名も「R5」と改め登場してくることになるらしい。

2021年1月14日に発表されたルノー5(サンク) EVコンセプトの『R5』。2025年までにデビューする予定

 この一連の発表を聞いて「なるほどね」と思った人はきっと多いのではないだろうか。

 身近な例としてホンダeがある……といえば、もうおわかりいただけるはずだが、往年のヘリテージでもある“N360”のモチーフに(同車のエンジニアは“N360のシンプルだった世界観を再認識したらこうなった”ということを言っていた)仕上げられたホンダeは、新世代を切り拓くメーカー自身の決意の表れのため、あの形で仕上げてきた。

2020年に発売された『ホンダe』。RRレイアウトで理想的な重量配分とトラクションを確保、4輪独立懸架サスペンションを採用している

 同じようにフィアットから登場するチンク(500)のEV版である「500e」も、フィアットのアイコンである500がベース。

 各社とも、EV時代の幕開けにあたりさまざまな戦略を練っているわけだが、こと身近なコンパクトクラスでは、いかにユーザーの気持ちを惹きつけ、理解が得られるかが重要なポイントになるはず。

 そこで、ツカミはオッケーとばかりに、往年の名車のイメージを重ね合わせて新時代のスタンダードを再定義するために、そういう方法でインパクトをもたせようとしている。

■「ルノー5(サンク)」とはどういうクルマだったのか?

 ところで話をR5に戻すと、元ネタとしてR5にエレメントがちりばめられた“ルノー5(サンク)”とはどういうクルマだったのか?

 ひと言でいうと、“スノッブで革新的なコンパクトカー”だった。

 ルノー5の登場は1972年で、実はあのVW初代ゴルフ(1974年)の登場よりも少し早かった。

 5が登場するまでのルノーの大衆車クラスというと、ミレーの絵に描いてあってもまったく違和感がなさそうだった“4(キャトル)”というモデルがあり、現在日本でもファンの多いカングーの前身だった“エクスプレス”のさらに前身のバンだった“4F/4”などの派生モデルも生まれていた。

FF方式であるシトロエン2CVを徹底研究して開発された『ルノー4(キャトル)』は1961年に登場し1992年まで製造された

 が、いかにも4の旧態化は否めず、「新しいベーシックカーを!」の声が高まる。そこで登場したのが5だった。

1972年登場の初代ルノー5(サンク)3ドア。 1972年から1985年まで生産され、日本にも1976年から輸入されていた

 4と5を写真で見較べれば誰が見ても5のほうが圧倒的に近代的。しかし筆者自身も最初にそのことを知った時には「そうなんだぁ!」と驚かされたことのひとつが、5のメカニズムは基本的に4のそれが流用されていたこと。

 いかにもフランス的な合理主義といえばそうだが、たぶん、開発期間、コストを抑える必要があったのだろう。

 で、そのことを象徴したのが、ホイールベースが左右で異なったという点。これは4由来のもので、リアサスペンションのクルマの車幅方向に長く延びたトーションバーが水平に並べた配置だったため。

 上下に重ねると室内空間が犠牲になってしまうための策だったのだが、筆者の手元に日英自動車のスタンプが押してある当時のパンフレットがあるが、見てみると、5GTLのホイールベースは“右2400/左2430mm”と記されている。

 ちなみに同じカタログには4もまだ載っていて、見てみるとコチラのホイールベースは“右2450/左2400mm”。5のほうが左右差が小さく、かつ左を長くとっていたことがわかる。

 話が飛躍するが、5には高性能モデルの“5アルピーヌターボ”やミドシップの“5ターボ2”などがあったが、これらのホイールベースは左右で同じだった。

■ルノー5プロトタイプEV「R5」にみる「ルノー5」のデザイン

 ところで本稿ではEVの「R5」登場を受けて“ルノー5とはどういうクルマだったか”を説明するのが主旨。

 筆者としては初代ももちろん好きなクルマだったが、デザインをより洗練させて1984年にモデルチェンジした2代目に革内装のステキな“バカラ”というグレードがあり、何を隠そうベージュメタリックのボディ色と薄いブラウンのレザーシートという設えのこのクルマを買いたいと思ったことが何度もあった。

 なので初代だけでなく2代目も触れようと考えたいたのだが、EVのR5は公表された写真で見る限り、主に初代5へのオマージュが色濃いような印象だ。実物を肉眼で見ていないけれど、ボディサイズや縦横比は当然ながら5とR5でとでは随分異なる。

 新世代感のニュアンスの表現は同じフランスの最新のプジョー車に通じるようなところもある。

 ランプ類はもちろん“イエローバルブ”というわけではないが、5のディテールをモダンに再現した形。前傾したCピラーとそれが織りなす台形フォルムをリアから眺めると5(これは2代目か?)だし、何といっても張り出させた前後フェンダーは、ターボ2を思わせる。

1984年に登場した2代目ルノー5(サンク)3ドア。2代目サンクはシュペールサンクと呼ばれ1984年から1996年まで生産された

『ルノー5ターボ』はWRCを戦うためにベース車のFFからエンジンやミッションを180度回転させ強引にミッドシップリア駆動にしつらえた。写真は『ルノー5ターボ2』で市販用に作られた後期型

 そう見ると、サイドシル部分のスカートや、テールランプ横の小さな切り欠きもターボ2にあったエアダクトをそれとなく再現しているようにも見える。他方でホイールを見ると、センターのルノーのロゴを囲む赤い3つのアクセントが。

 初代5や4のホイールは3H(3穴)であり、それをサラッと再現したのだとすれば、デザイナーの粋なセンスに敬服だ。

 例えばBMWが手がけたR50ミニやVWニュー・ビートルも、原形へのオマージュから生まれたクルマだった。だが時が流れて、今クルマはEV化の波という新たな変革期のなかで、生まれ変わらせるだけではなく、生き残りをかけた熾烈な戦いを余儀なくされている。

 そんななかで往年のクルマのエレメントを情緒として盛り込むあたりは、やはり人の仕事であり、ヘリテージという武器をどう生かすかが自動車メーカーの手腕の見せどころだと改めて思わせられる。

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みんなのコメント

12件
  • 自動車に無知である日本ディスりユーチューバーのEVネイティブはルノーファイブと言ってサンクと教えてあげたら逆ギレしてきます。
  • ルノー5だけど、ルノーサンクと呼ぶのか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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