現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホンダの技術はなぜ真似されない? 他メーカーが「センタータンク」を採用しない理由は? 軽や小型車の空間拡大に寄与

ここから本文です

ホンダの技術はなぜ真似されない? 他メーカーが「センタータンク」を採用しない理由は? 軽や小型車の空間拡大に寄与

掲載 更新 53
ホンダの技術はなぜ真似されない? 他メーカーが「センタータンク」を採用しない理由は? 軽や小型車の空間拡大に寄与

■ホンダのコンパクトカーや軽自動車を支える「センタータンクレイアウト」とは

 自動車メーカーには、各社それぞれの飛び抜けた技術が存在します。ホンダの場合は、初代「フィット」から現在まで採用され続ける「センタータンクレイアウト」と呼ばれる技術が挙げられます。
 
 では、このセンタータンクレイアウトとは、どのような技術なのでしょうか。またなぜ他社はこのレイアウトを採用しないのでしょうか。

「ヴェゼルよりイケてる!」ホンダ新型SUV「N7X」に「カッコ良い」の声多数!

 自動車メーカーは、自社が築き上げてきた技術を日進月歩で進化させています。

 その技術の中にはその自動車メーカー独自のものもあります。ホンダにおける技術のひとつとしてセンタータンクレイアウトというものがあります。

 これはホンダの「グローバル・スモールプラットフォーム」に採用されるもので、その名の通りコンパクトカーで用いられています。

 グローバル・スモールプラットフォームは、コンパクトカーにおける最大の課題は「空間の確保」です。

 その空間の機能性を追求するために考えられたのがセンタータンクレイアウトで、これはクルマの構成部品において大きな空間を占める燃料タンクを前席中央の床下に配置するというホンダの特許技術となります。

 従来のクルマの燃料タンクは、後席床下や荷室下など車体後方に配置されるのが一般的だったのに対してセンタータンクレイアウトでは、薄型の燃料タンクを前席中央の床下に配置することで、高い室内高と荷室の低床化を実現しました。

 センタータンクレイアウトは、2001年6月に発売された「初代フィット」から採用されています。

 この初代フィットではコンパクトなH型トーションビーム式サスペンションの採用や、燃料タンクの四方を囲むようにクロスメンバーとフロアフレームを配置することで、低床化と室内高1280mmの実現に加えて、高いボディ剛性、衝突安全性能なども実現。

 こうした特徴もあり、発売から約半年で累計販売台数が10万台を突破するほどの人気を博しました。

 初代フィット以降でもセンタータンクレイアウトは採用されており、ホンダは次のように話しています。

「センタータンクレイアウトは、小型車や軽自動車を中心に搭載しています。

 これまでの採用モデルでは『フィット』『ヴェゼル』『グレイス』『シャトル』『N-BOX』『N-BOX SLASH』『N-ONE』『N-WGN』『N-VAN』に採用されています」

※ ※ ※

 このようにホンダの販売を支えるコンパクトなモデルのほとんどに採用されるセンタータンクレイアウトは、まさに「売れる秘策のひとつ」と言える技術と言えます。

■センタータンクレイアウトはメリットばかり? なぜ他社は採用しないの?

 このようにホンダのセンタータンクレイアウトは、コンパクトなモデルにとってメリットが多い技術と言えます。

 前述の通り、センタータンクレイアウトはホンダが特許を持っているため、勝手に他社が採用することは出来ません。

 しかし、両社が協議の上で技術供与を行うことが可能です。実際に自動車メーカー同士では協業として技術供与による商品展開を行っています。

 センタータンクレイアウトに関しては、2006年にホンダから技術供与を受けて三菱は軽自動車「i(アイ)」を販売していました。その理由について、過去に三菱は次のように説明しています。

「2013年まで発売されていた軽自動車『i(アイ)』は、センタータンクレイアウトが採用していました。

 駆動方式にMR(ミッドシップ・リアドライブ)が取り入れられていたことが、採用の理由となります。

 開発にあたっては、車種ごとに駆動方式や様々な条件などを考慮した最適なレイアウトを採用しているため、現時点では採用している車種はありません」

 過去に三菱車に採用された経緯はあるものの、その後にセンタータンクレイアウトを採用した他社モデルは見かけませんが、なぜ採用しないのでしょうか。

 考えられる要因としてセンタータンクレイアウトは、前述の通り燃料タンクの形状やプラットフォーム自体の設計変更にも影響が及びます。

 そのため新たに採用するとなるのと、コスト面などで導入ハードルが高いことが予想出来ます。

 実際に他社がセンタータンクレイアウトを採用しない背景についてホンダは「センタータンクレイアウトは、大幅に構造変更になることと、特許が理由で他社があまり採用していないと思われます」と話しています。

※ ※ ※

 このような背景によりセンタータンクレイアウトはほぼホンダのみが採用する技術となっています。

 そしてこのセンタータンクレイアウトはN-BOXが売れている大きな要因とも言え、実際に2022年度まで軽四輪車の新車販売台数においては8年連続の首位を獲得するなど、競合との差別化として大きな要素を占めています。

こんな記事も読まれています

【スーパースポーツ試乗】フェラーリ296GTBと296GTSに乗って実感。エレガントにしてレーシー、スポーツカーは永遠に不滅
【スーパースポーツ試乗】フェラーリ296GTBと296GTSに乗って実感。エレガントにしてレーシー、スポーツカーは永遠に不滅
カー・アンド・ドライバー
マツダ新型ハイブリッドに秘策あり!! ロータリーは伏兵だ……スカイアクティブXの燃焼技術が生きるかも?
マツダ新型ハイブリッドに秘策あり!! ロータリーは伏兵だ……スカイアクティブXの燃焼技術が生きるかも?
ベストカーWeb
強力な高圧洗浄機なのに、充電式のコードレス! 「FIXNOW」が応援購入を受付中
強力な高圧洗浄機なのに、充電式のコードレス! 「FIXNOW」が応援購入を受付中
月刊自家用車WEB
5年ぶり復活! トヨタ新型「ランドクルーザー“プラド”」発表! 豪華な“6人乗り”仕様&最上級パワトレに反響アリ! 「カクカク本格SUV」中国に登場
5年ぶり復活! トヨタ新型「ランドクルーザー“プラド”」発表! 豪華な“6人乗り”仕様&最上級パワトレに反響アリ! 「カクカク本格SUV」中国に登場
くるまのニュース
[コレ貼ったクルマには注意を] 初心者マーク以外にもある、クルマに貼られるマーク×3種
[コレ貼ったクルマには注意を] 初心者マーク以外にもある、クルマに貼られるマーク×3種
月刊自家用車WEB
新型M5をBMWがチラ見せ!!   5シリーズが4気筒だけでいいわけない! 700psオーバーでニュル最速のBMWってマジなんですか
新型M5をBMWがチラ見せ!!   5シリーズが4気筒だけでいいわけない! 700psオーバーでニュル最速のBMWってマジなんですか
ベストカーWeb
フェラーリカスタマーの83号車が首位。トヨタ8号車が3番手……夜と共に雨が襲来|ル・マン24時間レース:6時間経過
フェラーリカスタマーの83号車が首位。トヨタ8号車が3番手……夜と共に雨が襲来|ル・マン24時間レース:6時間経過
motorsport.com 日本版
スズキ「バーグマンストリート125EX」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
スズキ「バーグマンストリート125EX」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
装備はバッチリで程よくオシャレ 街乗りでも快適なトヨタ タウンエースがベースのキャンパー
装備はバッチリで程よくオシャレ 街乗りでも快適なトヨタ タウンエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
走りのグレード[グランツーリスモ]が熱かった! なぜY31セドリック/グロリアは輝いていたのか?
走りのグレード[グランツーリスモ]が熱かった! なぜY31セドリック/グロリアは輝いていたのか?
ベストカーWeb
もはや熟成の域だよレガシィアウトバック!! さすが4駆のスバル!! やっぱアウトドアにピッタリだった 
もはや熟成の域だよレガシィアウトバック!! さすが4駆のスバル!! やっぱアウトドアにピッタリだった 
ベストカーWeb
[ハイラックスサーフ]の後ろに注目!! 巨大リアウィングの機能がスゴかった
[ハイラックスサーフ]の後ろに注目!! 巨大リアウィングの機能がスゴかった
ベストカーWeb
トヨタ小林可夢偉が見据えるテール・トゥ・ウイン。「優勝以外リベンジとは言えない」と平川亮/ル・マン24時間
トヨタ小林可夢偉が見据えるテール・トゥ・ウイン。「優勝以外リベンジとは言えない」と平川亮/ル・マン24時間
AUTOSPORT web
LMP2新レギュレーション、3度目の導入延期。2027年末まで現行規定を維持へ
LMP2新レギュレーション、3度目の導入延期。2027年末まで現行規定を維持へ
AUTOSPORT web
2025年からのハイパーカー『最低2台義務』が正式発表。イモラはガレージ数を拡張へ
2025年からのハイパーカー『最低2台義務』が正式発表。イモラはガレージ数を拡張へ
AUTOSPORT web
マフラーを横から出しちゃダメだろ! クルマの「サイド排気」って車検に通るの?
マフラーを横から出しちゃダメだろ! クルマの「サイド排気」って車検に通るの?
ベストカーWeb
ル・マン24時間グランドマーシャルとTGR-E副会長で多忙な中嶋一貴。「しっかり役をこなしたい」
ル・マン24時間グランドマーシャルとTGR-E副会長で多忙な中嶋一貴。「しっかり役をこなしたい」
AUTOSPORT web
一体どこが抜け出すんだ!? 2024年ル・マン24時間は開始1時間を過ぎても依然接近戦……11番手発進トヨタ8号車もトップ争いに加わる
一体どこが抜け出すんだ!? 2024年ル・マン24時間は開始1時間を過ぎても依然接近戦……11番手発進トヨタ8号車もトップ争いに加わる
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

53件
  • センタータンクを採用しても全く売れていない車種もあるので、必ずしも売れている理由の「大きな要因」とはならないのでは?他にも理由があるのでしょうね。
  • フロントエンジンフロントホイールドライブに拘り荷室のスペース確保も最大限に拘ったホンダだからでしょうかねエヌバンなんてまさに
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

162.5236.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2.8306.1万円

中古車を検索
フィットの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

162.5236.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2.8306.1万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村