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【クルマ物知り図鑑】あの名車「トヨタ2000GT」に「1600GT」という弟分が存在。その内容は生粋の「羊の皮をかぶった狼」だった!

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【クルマ物知り図鑑】あの名車「トヨタ2000GT」に「1600GT」という弟分が存在。その内容は生粋の「羊の皮をかぶった狼」だった!

ヤマハが手がけた1.6リッターDOHCを搭載

   速さが光るサラブレッド! それが1967年8月に登場したトヨタ1600GTだ。ヤマハが手がけた精度の高い1.6リッターのダブルローラーチェーン駆動のDOHCユニットは、ソレックス製ツンチョーク・キャブレターを2連装しリッター当たり69.31psの110ps/6200rpmの圧倒的パフォーマンスを実現。トルクロッド付きリアサスペンションなど足回りも固め、超一級のスポーツクーペに仕上がっていた。

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 ゼロヨン17.3秒、トップスピードは175km/h。そのポテンシャルはまさにサーキット直系という表現が似合った。2000GTとの共通パーツもスペシャルティなイメージを加速する要因だった。

コロナGTではなく「トヨタGT」あくまで2000GTの弟分!

  RT55型の車両型式を持つトヨタ1600GTは、型式上からはコロナHT1600S(RT51型)の発展版であることは明らかだった。しかし車名には「コロナ」の名はつかない。あくまで「トヨタ1600GT」である。これはすでに超高性能車として広く認知されていたトヨタ2000GTのイメージをオーバーラップさせる戦略だった。コロナの名称があまりにファミリーカーとして浸透していたため、スポーティな走りのイメージと相容れなかったこともあるが、当時からトヨタはなかなかの商売上手だったのだ。

 しかし、1600GTと2000GTが相応の関係にあったことも確かだ。エンジンのDOHC化を担当したのは同じヤマハ発動機だし、フロントシートや、5速ミッションも2000GTと共通。逆三角形のエンブレムもイメージは共通している。そしてなによりクラスを超えたホットな走りが共通だった。1600GTはコロナの範疇に収まらない生粋のスポーツモデルだった。確かに2000GTの弟分を名乗るにふさわしい存在である。

サーキットが主戦場! GT-Rに速さで勝った強者

 トヨタ1600GTはサーキットで鍛え上げられた生粋のサラブレッドといえた。市販前から積極的にレースに参戦。その成果をフィードバックして仕上げられていた。プロトタイプとなる“トヨタRTX”が姿を現したのは1966年の第4回クラブマン富士レース。いきなりデビューウィンを飾り、戦闘力の高さを見せつけた。正式市販直前の1967年鈴鹿12時間耐久レースでも強豪を抑え総合優勝を飾っている。1968年からは本来の“トヨタ1600GT”の名でレースに出場。数々の勝利をものにする。

 中でも印象に残る勝負は、1969年5月3日に行われたJAF・GP。初代スカイラインGT-Rの初陣となったレースだ。性能スペックで大幅に1600GTを凌駕し必勝態勢を敷くGT-Rに対し、1600GTはどうみても劣勢だった。しかしレースは魔物である。スタートダッシュを決めたのは高橋春邦選手のトヨタ1600GT。その速さは圧倒的でGT-Rとの差は開くばかり。GT-R勢は周回遅れの選手を使い高橋選手の1600GTをブロック。なんとか追い上げるがチェッカーフラッグを最初に受けたのは1600GT! だが最終周の高橋選手の走行が、GT-Rへの走路妨害とみなされ、結果としてはGT-Rが勝利を収めた。とはいえ速さで勝ったのが1600GTであることは誰の目にも明らかだった。サーキットを埋め尽くしたファンは、高橋選手と1600GTに惜しみない拍手を贈ったという。

クーペの先を行く存在。ピラーレスのHTボディ

 トヨタ1600GTのボディタイプは、センターピラーレスの2ドアHT。HTとは、もともとは“ソフトトップ”に対する“ハードトップ”であり、オープンボディ用の固定式の屋根を指す呼称だが、アメリカでセンターピラーを廃止した新感覚の流麗クーペとして発展。クーペの新種として定着する。日本では1965年7月にコロナが初めて採用した。後席窓も開くセンターピラーのない広々としたウィンドウ回りが好評で、スペシャルモデルとして瞬く間に高い人気を獲得した。まだエアコンなど装着されていなかった1960年代は窓を開けて走るのが一般的。現在以上に、その開放感が評価されたのだ。

 コロナ以降、トヨタはクラウンにもHTボディを設定し、トヨタのスペシャルモデル=HTのイメージを確立していく。ライバルの日産は全面対決を避け、センターピラー付きのクーペをブルーバードやサニーに展開するが苦戦。スカイラインやローレルで遅れてHT戦線に参加することになった。

トヨタ1600GT主要諸元

モデル=1967年トヨタ1600GT5(RT55-M型)
トランスミッション=5速MT(フロアシフト)
全長×全幅×全高=4125×1565×1375mm
ホイールベース=2420mm
トレッド=前1290/後1270mm
車重=1035kg
エンジン=1587cc直列4気筒DOHC
最高出力=110ps/6200rpm
最大トルク=14.0kg・m/5000rpm
最高速度=175km/h
サスペンション=前ウィッシュボーン/後半楕円リーフ(トルクロッド付き)
ブレーキ=前ディスク/後ドラム
タイヤ&ホイール=6.45S-14-4PR+スチール
駆動方式=FR
乗車定員=4名

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みんなのコメント

5件
  • motorider
    自家用車が憧れだった頃、クラウンとほぼ同じ価格のクルマのイメージカラーにソリッドカラーのレッドとイエローの採用は斬新でした! べースになったコロナとは明確に違う事をユーザーに示しました。5速ミッション仕様はトヨタ2000GTと同じミッションを採用している事で2000GTの部品取りにされてしまいほとんど残っていないとか。なので残っている5速仕様の1600GTは2000GTよりも希少だと思う。
  • eii********
    2000GT以降初代ソアラが発売されるまで6気筒のDOHCは存在しなかったトヨタ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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