メルセデスAMG由来の2.0L直列4気筒ターボ
ロータスを創業したコーリン・チャップマン氏は、軽さに夢中だった。パネルを固定するリベットの本数ですら、技術者と意見をぶつけたという。対するドイツのメルセデスAMGは、パワフルなエンジンを搭載したスーパーサルーンが得意分野だ。
【画像】アイデアは間違いなく魅力的 ロータス・エミーラ I4 競合のケイマンとA110 エレトレとA 45も 全130枚
両社の哲学は、決して近いとはいえない。しかし、ジーリー・ホールディング・グループの手回しによって接近し、優れたミドシップ・スポーツが誕生するに至った。
直近、10年ほどの動きを振り返ってみると、中国のジーリー・ホールディングは2010年にフォードからボルボを買収。マレーシアの自動車メーカー、プロトンの大株主になり、傘下にあったロータスも手中に収めた。2018年からはダイムラーの筆頭株主でもある。
こうして、現在のロータスはバッテリーEVメーカーへ生まれ変わろうとしている。その第一歩となる電動SUVのエレトレは、中国の武漢に構えた工場で生産される。
他方、内燃エンジンをミドシップするエミーラは、グレートブリテン島の南東、へセルの工場で生産される。当初はトヨタ由来の3.5L V型6気筒のみだったが、新たにメルセデスAMG由来の2.0L直列4気筒ターボも搭載されるようになった。
見惚れてしまうほど素晴らしいスタイリング
ジーリー・ホールディングがダイムラーの株式を10%近く買い入れた理由は、ドイツの電動モビリティ計画へ強い関心を抱いたためだった。ちょうどその頃、メルセデス・ベンツはM139型と呼ばれる2.0L 4気筒エンジンの開発へ取り組んでいた。
一般的な量産ユニットと同等に堅牢でありながら高出力で、従来のV8エンジンを置き換えることが目指されていた。その計画は、プラグイン・ハイブリッドというかたちで実施段階にある。
ロータスがエミーラのエントリー・ユニットを検討し始めた時、コンパクトでパワフルなM139型は有力な候補になった。ジーリー・ホールディングの後ろ盾で、ロータスの現CEO、マット・ウィンドル氏がシュツットガルトで取引をまとめた。
果たして、現在量産される直列4気筒エンジンで最強の1基を獲得したエミーラは、一見すると目立った変化はない。V6エンジン版では、リアガラス越しにスーパーチャージャーの膨らみが見えるものの、プラスチック製カバーで隠されている程度だ。
リアバンパーの下から伸びる、直径の太いマフラーカッターも同じ。フェラーリ488とランチア・ストラトスを掛け合わせたような、全体の雰囲気もそのまま。もっとも、これほど美しいスタイリングを得ていたら、あえて手を加える必要はないかもしれない。
ボディの側面はダイナミックにカーブを描き、思わず見惚れてしまう。素晴らしい容姿だと思う。
8速ATはシフトパドル付き 最高出力は365ps
ドアを開いてシートへ腰掛けると、小さな違いへ気付く。ステアリングホイールには、メルセデス・ベンツ由来の8速デュアルクラッチATを操るための、アルミ製シフトパドルが追加されている。
パドルのタッチはいまひとつながら、車内の雰囲気を引き締めている。インテリアは、ブラック基調でプラスティックが目立つアルピーヌA110より上質で、ポルシェ718ケイマンにはない英国車らしい暖かみが漂う。
少し残念なのがシート。サイドサポートが充分ではなく、ヘッドレストが前方へ突き出ている。それ以外の印象は、とても良いのだが。
大きなブレーキペダルを踏み、スタートボタンを押すと、AMGの心臓を宿したロータスが目覚める。本物のメタルとレザーで形作られたシフトノブをドライブに入れる。サウンドは控えめで、反応は従順だ。
アクセルペダルを深く傾けると、後方から唸り声が小さく聞こえてくる。1.0L当たり200馬力を超える高出力型ユニットだという実感は、音響からは得にくい。
同じエンジンをフロントに積むメルセデスAMG A 45 Sでは、422ps/6750rpmの最高出力を発揮するが、エミーラでは365ps/6600rpmへ調整を受けている。今後、パワフルな仕様は想定できるが、今のところ405psのV6エンジン版と距離が置かれている。
英国価格の差は小さい。ほぼフル装備状態のエミーラ l4 ファーストエディションは、8万1495ポンド(約1475万円)。同等の内容を備えるV6エンジン版より、4500ポンド(約81万円)安いだけ。個性の違いで選ぶことになるだろう。
吸排気系は独自設計 サブフレームも専用品
動力性能でも、大きな違いはない。0-100km/h加速は、6速MTの6気筒で4.3秒だが、8速ATの4気筒では4.4秒がうたわれる。タイヤサイズも変わらず、APレーシング社製のブレーキも同じ。
車重は4気筒の方が軽い。といっても、11kgの差に留まる。長距離ツーリングへ登用する機会が多いなら、8速ATのギア比が有用だと思う。
メルセデスAMGとロータスという珍しい組み合わせは、エンジンの吹け上がりの鋭さと相まって、訴求力がより高いと感じる人もいらっしゃるはず。3000rpmを超えるとバルブが開き、エグゾーストノートは勇ましさを増す。これを聞くと、更にそう思える。
いうまでもないが、M139型4気筒エンジンは特別。2.0Lの排気量から最大のエネルギーを引き出すため、クローズドデッキと呼ばれる冷却用の空洞が抑えられた強固な構造が、ブロックへ与えられていることからも明らかだ。
A 45 Sと同様に、シャシーへのマウント方向は横向きながら、吸排気系の設計はオリジナル。ロータスのアルミ製シャシーの低い位置へ固定するため、サブフレームも専用品。V6エンジン用のスチール製より12kgも軽い、アルミ製が与えられている。
運転席へ座ると、右側からはバルブトレインが発するメカノイズが、左からはターボチャージャーの悲鳴が聞こえてくる。本来、M139型は情感豊かなユニットとはいえないが、このサウンドがドライバーの気持ちを刺激してくれる。
この続きは後編にて。
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