スクーターやビジネス車だけじゃない
排気量50cc以下の原付1種のバイクは、最新の排出ガス規制に対応するには製造コストが上昇するため、いままで通りに生産することが困難になってきました。そこで最高出力を4kW以下に制限した125cc以下のバイクを「新基準原付」として、2025年4月1日から原付免許で運転できるようになり、それに伴って国内バイクメーカーから発売されている現行の原付きバイク(50ccクラス)は徐々に姿を消していくことになります。
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とはいえ、現時点で販売している50ccモデルは、ホンダ「スーパーカブ」などの実用車を除けばスクーターが8車種程度(その中でヤマハはホンダのOEM)しかなく、かつては通勤や通学の足としても人気を博し、スクーターだけでも膨大なラインナップが揃っていたのが信じられません。
またスクーター以外にも、本格ロードスポーツやアメリカン、オフロード車やトライアルモデルなど、中~大排気量に劣らぬほど様々なカテゴリーが充実していました。
というワケで、バイクブームに沸いた1980年代を中心に、かつて50ccクラスに存在したエポックメイキングなバイクを紹介します。あまりにも車種が多いので、前述した本格的な○○といったメジャーなモデルやスクーターは除き、「こんなのあった!?」という変り種原付をピックアップしてみました。
ホンダは変り種原付も豊富!
やはりホンダは世界最大のバイクメーカーだけに、変り種原付も充実(?)しています。ホンダは4ストロークエンジンにこだわってきましたが、1979年に初の2ストロークのロードスポーツ「MB50」を発売しました。斬新なデザインも手伝って人気を博しましたが、1980年には「MB50」をベースにアメリカンスタイルの「RACOON(ラクーン)」を発売します。時代と言えばそれまでですが、かなり「なんでもアリ感」が強いバイクでした。
1981年には4輪車の「CITY(シティ)」のトランクに積める、ハンドルとシートを畳めるコンパクトな「モトコンポ」が登場します。時代に先駆け4輪+2輪の6輪生活を提唱しましたが当時はあまり人気がありませんでした。しかし発売から10年ほど経過した1990年代にはプレミアが付く人気車となりました。
他にも、建設機械のように武骨な「MOTRA(モトラ)」(1982年)や、3輪バイク「ロードフォックス」(1984年)なども、発売から数年を経てから人気が出たりカスタムの盛り上がりが見られました。
また、ホンダの50ccレジャーバイクと言えば「モンキー」は外せません。1987年に突如として「モンキーR」を発売しましたが、ツインスパーフレームにディスクブレーキやモノサスペンションなど、コアなユーザーのハードカスタムに通じる作りでした。
1990年代に入ると変り種原付はやや沈静化しますが、1997年に登場した「DREAM 50」には多くのバイクファンが度肝を抜かれました。1962年に発売し、世界各地のレースで活躍した市販レーサーの「CR110カブレーシング」を彷彿させるスタイルに、世界最小となる排気量49ccの4ストローク単気筒DOHC4バルブエンジンを搭載しており、当時の価格は32万9000円と、原付では群を抜く高額モデルでした。
個性と対抗馬で惑う? ヤマハが生んだ新ジャンル
1970年代後半~1980年代初頭は、ホンダとヤマハがバイク市場で激しくしのぎを削り「HY戦争」と呼ばれました。スポーツモデルの性能競争もちろん、スクーターの価格競争など、すべてにおいて争い、ヤマハのラインナップもホンダにぶつけたものが少なくありませんでした。その顕著な例が、1980年に発売した「QA50ポッケ」と「QB50フォーゲル」ではないでしょうか。
「ポッケ」のエンジンはヤマハ伝統のミニトレ系2ストロークですが、小径タイヤや折り畳みハンドル、少しゴツイ兄弟車「フォーゲル」の存在は、真っ向からホンダの「モンキー」と「ゴリラ」の対抗馬として作られたと思われます。
しかし1986年に発売した「YSR50」は、ヤマハが先行して前後12インチタイヤを履いたコミカルなスタイルかつ本格的な走りのミニレプリカのブームを作りました。するとホンダは対抗馬として翌1987年に「NSR50」を発売します。
他にも、1982年にはアクティブな女性に向けた「ポップギャル」を発売。2段オートマチックの2ストロークエンジンはスクーターがベースですが。長いフロントフォークや2本のリアサスペンションでアメリカン的なスタイルに仕上げています。ちなみにメーターの横にバニティミラー付きの、いかにも「メイク道具を入れる小物入れ」を備えていました。
1988年には水冷2ストロークのパワフルなエンジンを搭載した「TDR50」が登場します。こちらはレーサーレプリカ「TZR250」のエンジンをベースとする異色のデュアルパーパスモデル「TDR250」のスケールダウンで、ライバル不在と言えるオリジナリティ溢れるモデルでした。
目が離せない!? スズキのオモシロ路線
エポックと言うより「激レア」なのが、スズキが1982年に発売した「ファンファン」です。ベースはスクーターの「スワニー」ですが、アンダーボーンフレームの上に小振りな燃料タンクを設けたり、高いプルバックハンドルなどはヨーロッパのモペットのイメージを取り入れています。……が、当時はスクーター人気が非常に高かったため、目にするコトは滅多にありませんでした。
1986年にはヤマハが「YSR50」を発売してミニレプリカブームに火が着きますが、スズキも負けじと同年に「GAG(ギャグ)」を発売します。こちらは前年に登場した油冷エンジン搭載の「GSX-R750」がモチーフと言えますが、本格レプリカと言うより、車名の通りギャグ要素が強い作りが特徴です。
「WOLF50」の1991年モデルも注目です。フルサイズスポーツの「RG50Γ(ガンマ)」のネイキッドモデルとして1981年に発売されましたが、1991年モデルではド派手なフレイム(炎)カラーを纏っています。
そして1997年には「速い、カンタン、カッコいい」がコンセプトの「ストリートマジック」が登場。エンジンはスクーター由来のスイングユニット(エンジンとスイングアームが一体化したシステム)ですが、7.2PSと高出力で、高剛性なツインチューブフレームに太い12インチタイヤ&ディスクブレーキ装備と、足まわりは本格ミニレプリカと同様な作りでした。
カワサキは、いつの時代も独自路線
大排気量バイクのイメージが強いカワサキですが、1981年に初の50ccモデルを発売します。空冷2ストロークエンジンを搭載するフルサイズスポーツの「AR50」は、当時のバイク誌の最高速テストなどで好成績を収めていました。
1983年には、カワサキ初にして唯一の4ストローク50ccモデルの「AV50」が登場します。スモールサイズのアメリカンスタイルですが、シートが前後に40mmスライド可能でユッタリしたポジションが特徴でした。
そして1987年に“スーパーバイカーズ・ミニ”の「KS-I」が発売されます。前後10インチタイヤのコンパクトな車体に「AR50」譲りのハイパワーな2ストロークエンジンを搭載しています。
1990年には水冷2ストロークの「KSR-I」にモデルチェンジして1998年に生産終了しましたが、ファンに向けて2002年に4ストロークの「KSR110」で復活し、現在の「Z125 PRO」に繋がっています。
※ ※ ※
このように、原付1種(50ccクラス)にはかつて個性的なレジャーバイクや新機軸のスポーツ車が多数存在しました。これにメジャーなフルサイズスポーツやミニレプリカを加えると、本当に膨大なラインナップとなります。
ちなみに、これらのバイクを中古車サイトで検索すると、驚くようなプライスが付いている場合もあります。なのでこれらの「変り種原付」が、今後は125cc以下の原付2種や「新基準原付」で復活してくれると、新規ユーザーの増加やバイクライフの幅が広がるのではないでしょうか……。
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みんなのコメント
中学生の調べ学習みたいだね。