愛車(クルマ)に愛車(自転車)を積んで、まだ走ったことのないワクワクする道を探しに行く。4輪と2輪の運転の楽しさを味わいながら、身体も動かしてリフレッシュ、そんな最高の体験ができる”6ホイールライフ”を満喫したい。
そこで今回は、クルマに自転車を積むという観点で理想的なクルマについて考えてみようではないか。
SUVやミニバンだけにあらず!! 自転車旅に適したクルマのすゝめ4カ条
文/フォッケウルフ
写真/フォッケウルフ、マツダ、トヨタ、スバル、スズキ、ホンダ、ダイハツ、トビラ写真(preeda prakotmak/EyeEm@Adobe Stock)
■自転車をクルマに積んでもっと遠くへ!
自転車はほどよい負荷で効率よく長距離を移動できるため、運動不足の解消に適した乗り物と言われている。筆者もサイクリングを趣味としているが、天気のいい週末にサイクリングロードを走るのはじつに気持ちがいいものだ。
始めたころは、10kmとか20kmで満足していたものだが、その距離は徐々に伸びて、いまでは自宅を中心とした半径50km程度の距離を走破するのが当たり前となって、風景にも見飽きてくる。
とはいえ、「どこまでも自転車で!」という超ガチ勢ではないかぎり、自転車での自走で日帰りができない遠い場所まで行くのは、気力・体力的にもハードルがググっと上がる。
自転車で遠出をして素晴らしい景色を味わうのは何事にも変え難い体験だ
ならば公共交通機関を利用して自転車を運ぶ「輪行」も手段として有効だし、旅をしている感があって楽しそう。しかし、あくまでも最終目的は「遠くへ行って自転車に乗る」ことだから、移動時のストレスは軽くしたい。となると、やはりクルマ+自転車の6輪=「6ホイール」が、いつもと違う景色を見ながらサイクルライフを満喫するには理想的な方法と言えるだろう。
自転車をクルマに積載するなら、クルマは大きいほうがいいと思うだろう。もちろん、車内のスペースが広いに越したことはない。しかし、ロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイクといったスポーツタイプの自転車は、工具を使わずにホイールが脱着できるよう設計されている。このクイックリリースを活用すればコンパクトな状態にできるから、ボディサイズが小さめのコンパクトカーでも1台積むのは余裕だし、工夫すれば2台積みだってイケる。
基本的に2シーターのスポーツカーでなければ、6ホイールを楽しむことに難しさは皆無だ。だから、たとえば自転車を積むためにレンタカーを借りる時には、複数人&台数でなければ、ミニバンやワンボックスバンのような積載性に秀でたクルマにこだわる必要はない。
スペースがない、あるいは自転車以外にも荷物があるという時は「サイクルキャリア」を使うというのが有効。これがあればスポーツカーでも6ホイールが可能だ。ただし、この場合は前後方向や、高さの寸法に規定があるので、それらの数値を確認したうえで正しく利用してほしい。
車種によっては後席のシートバックを畳む必要はあるが問題なく積載できる
■自転車を積みやすいクルマの条件を考える
サイクリング目的でなくても、アウトドアとか、自転車で出かけた子ども(とか奥さん)を自転車とともに連れ帰るといった用途で、自転車が積めたら便利だな……と考える人はいるはず。
スポーツタイプの自転車なら車種にこだわらなくていいが、それ以外も含めて考えると、荷室スペースが十分に確保され、後席の前倒し(またはトランクスルー)があることは必須で、そのうえに下記のような条件を満たす必要がある。
●室内高が高い(1000mm以上が理想)
●荷室開口部が広い(高さ/幅ともに1000mm以上が理想)
一般的な自転車は、スポーツタイプの自転車や折りたたみ式のようにコンパクトな状態にできないので、そのまま積み込むことになる。よって、室内と開口部は自転車の全高を許容する寸法が求められる。
●フロアが低い(60mm以下が理想)
スポーツタイプの自転車は総重量が10kg以下というのが大半なので、積載時に労せず持ち上げることができる。ただし、子ども用ならともかく、大人が乗れる自転車の重量は10kg以上だし、電動アシスト車になると20kgを超える。
これを持ち上げるのは、女性はもちろん男性の腕力でも少々難があるので、積載を少しでも楽にしたいなら、フロア位置は低いほうがいい。
それなりに重さのある自転車を積むなら、開口部の高さと広さは重要なポイント
●荷室長(室内長)が長い(1500mm以上が理想)
自転車のハンドルを曲げた状態で積載するなら荷室の長さは1500mm程度で十分。積載する自転車の全長分あればなおよし。
このような条件を満たしていれば、ロードバイクやクロスバイクはタイヤを外さなくても載せられるし、ママチャリなどのシティサイクルも難なく積める。6ホイールでドライブとサイクリングの両方を楽しんだり、家族をお迎えに行くといった用途にも頼もしく応えてくれる。
■自転車を積みたくなるクルマ5選
では、具体的にどんなジャンル、車種がオススメかを考えてみよう。
【スポーツタイプの自転車の場合】
●ワゴン
天井の高さが低いものの、荷室は長さ、幅ともにスペースが広く、開口部にも十分な余裕があるなど、積載性に秀でた能力を持つので自転車を積むには最適。タイヤを外して後席を倒せば2台積載も問題なし。
2018年に発売されたトヨタ カローラツーリングは、「フィールダー」の後継車となるカローラシリーズのワゴンモデル
●SUV
本来、アウトドアレジャーをはじめ、多目的に使えるクルマとして作られたクルマだから自転車を積むなんて朝飯前。車内は室内高に余裕があるので、前輪を外せば自転車を立てた状態で載せられる。
5代目となる現行型スバル フォレスターは2018年に登場。力強いデザインがアウトドア心をくすぐる
【シティタイプの自転車の場合】
●ハイルーフ系のコンパクトカー
スズキ ソリオ、トヨタ ルーミーなどのハイルーフ系のコンパクトカーなら、軽自動車のハイルーフ系よりも室内長や幅に余裕があるので積載には断然有利。エンジン排気量にも余裕があるので、遠出するときでもストレスなく走れるというのもオススメの理由だ。
現行型のスズキ ソリオは2020年にモデルチェンジ。同クラスとしては歴史の長いモデルで使い勝手の良さも追求されている
●ミニバン
「家族や友人とサイクリング」という目的ならミニバン一択。スポーツタイプの自転車ならタイヤを外せば複数台の積載を許容するから、4人+4台で出かけられる。2列目をアレンジすればシティサイクルの積載も楽勝だ。
待望の4代目モデルが2022年に発売されたトヨタ ノア。キープコンセプトだが、あらゆるネガをつぶして最高の道具として生まれかわった
●軽ワンボックス
もともと商用車として開発されたクルマなので、制裁能力の高さは文句なし。エンジンが非力なので遠出は少々辛く感じることもあるが、ビジネスシーンで重宝する優れた実用性は、遊びや趣味を強力にサポートしてくれるのは間違いない。
ホンダ「Nシリーズ」の5番目のモデルとして2018年に誕生したN-VAN。商用車ベースのため荷物の積み下ろしなども容易な構造となっている
※ ※ ※
どんな車種にも共通して言えることだが、自転車を積む時は寝かせるだけ、積み込むだけでは走行中に自転車が車内で移動してしまう可能性があるので、ベルトやフォークマウントなどでしっかりと自転車を固定しておくことが望ましい。
また、急ブレーキを踏むと自転車が前方に飛んでくる恐れがあるし、急ハンドルなどで必要以上にクルマが揺れたり振動すると、自転車のチェーンが外れなどのダメージを与えかねない。自転車を積んで移動する時は、いつも以上に安全運転を心がけてほしい。
フォークマウントなら自転車を寝かせて積載するより安定感があり、ディレイラーなどの部品にダメージを与える心配もない
クルマに自転車を積んで目的地まで行って、現地の空気を感じながらサイクリングを楽しむ。あるいはオートキャンプのお供に、旅先での移動手段として自転車を持っていくなどなど、今年の夏休みは、ドライブとサイクリングの両方が堪能できる、6ホイールライフを実践してみてはいかがだろう。
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