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なぜ中国人に「セダン」バカ売れ? 日本では市場規模が縮小傾向もなぜ? 隣国で異なる趣向とは

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なぜ中国人に「セダン」バカ売れ? 日本では市場規模が縮小傾向もなぜ? 隣国で異なる趣向とは

セダン人気の低迷が叫ばれて久しい日本ですが、中国を見ると、セダンが圧倒的な人気を誇っていることがわかります。

なぜ、中国の人々はセダンを好むのでしょうか。

かつてはクルマの基本形とされていたセダンですが、昨今の日本の道路を見ると、ミニバンやコンパクト(ハッチバック)、そしてSUVが中心で、セダンは少数派となっています。

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2021年の新車販売台数を見ると、上位50車種のなかでセダンのみのモデルは、29位のトヨタクラウン」と44位のトヨタ「カムリ」のふたつであることからも、日本における「セダン離れ」は顕著であることがわかります。

一方、世界最大の新車販売市場である中国の新車販売ランキングを見ると、日本とは明らかに異なる傾向があることがわかります。

中国の強制新車交通保険のデータによると、2021年に中国市場で最も販売されたクルマは日産シルフィ」となっており、その台数は50万7713台におよびます。

同年の日産の日本国内販売台数は45万1646台であるため、シルフィ1台で日本国内を上回るほどの驚異的な販売を記録していることがわかります。

2位にはフォルクスワーゲンの「ゴルフ」をベースにした中国専用のコンパクトセダン「ラヴィーダ」がランクイン。

その後、3位にはおよそ50万円という低価格で販売台数を伸ばした五菱(ウーリン)の「宏光mini」が入り、4位にはトヨタ「カローラ」、5位にはビュイックの「エクセル」と続きます。

日本では聞き慣れないクルマも少なくありませんが、ボディタイプで見ると、3位の宏光miniをのぞき、すべてセダンです。

さらに、6位にフォルクスワーゲン「ボーラ」、7位にフォルクスワーゲン「サジター(ジェッタ)」、8位にトヨタ「レビン」、9位にトヨタ「カムリ」、そして10位のホンダアコード」まですべてセダンが占めています。つまり、販売台数上位10車種のうち、実に9車種がセダンとなっているのです。

もちろん、中国でもミニバン(MPV)やコンパクト(ハッチバック)、そしてSUVは一定の人気があります。

とくに、近年は日欧米の多くのメーカーが中国市場にSUVを投入しており、徐々にシェアを伸ばしていますが、それでも車種別に見るとセダンが優勢となっています。

このセダン人気の差は、日本と中国の新車販売における大きな違いとなっています。

■中国の人々がセダンを好む事情とは?

中国の人々がセダンを求める理由に関しては、これまで多くの考察がなされています。

そのなかでも、もっともよく知られている説のひとつが「中国人は権威を好む傾向があり、クルマのボディタイプではセダンがもっとも権威的だから」というものです。

たしかに、いまでも世界の要人が移動する際のクルマにはセダンが用いられることが多く、最もフォーマルなイメージがあるのは事実です。

そして、中国の多くの都市でクルマが見られるようになった1980年代では、中国を走るクルマは欧米のセダンが多く、そうしたクルマに乗っているのは、政府の高官や海外の要人などの権威性の高い人物が中心だったことから、その様子に憧れを覚えた世代が2000年代以降の主たる新車購入層となったことで、セダン人気が高まったともいわれています。

こうした説には一定の説得力がある一方で、より現実的な理由があるという指摘もあります。

2009年以降世界でもっとも新車が売れる国となった中国ですが、一人あたりの自動車保有台数で見ると、先進国のなかではそれほど高くないといわれています。

日本の場合、地方に住む家族では「1人1台」ということが珍しくありません。その場合、例えば家族で移動するためのミニバン、街乗りのための軽自動車、趣味のためのスポーツカーなどのように、用途に合わせたボディタイプを選ぶことが可能です。

一方、中国では一部の富裕層を除いて、「1家に1台」というのがほとんどです。そうなると、室内空間の広さや燃費性能、走行性能や荷室の広さなどの総合力が高く、コストパフォーマンスにも優れるセダンがもっともマッチするというわけです。

さらに、中国の人々は、日欧米に比べて家族意識が強く、家族全員で移動することが多いといわれています。

そのため、後部座席の使用頻度が非常に高く、快適性の高いセダンが好まれるという事情もあるようです。

また中国の人々は、後部座席の快適性に対して強い思い入れがあるようです。

中国で販売されるセダンの多くは、ロングホイールベースモデルとなっています。

例えば、メルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」、アウディ「A4」などは世界中で人気の高いセダンですが、中国で販売されるこれらのモデルにはロングホイールベースモデルが用意されており、ベースモデルに比べて約10cm程度後部座席が広くなっています。

20代のある中国人男性は「クルマで重視することは何か?」という質問に対し、「内装、とくに後部座席の広さ」と即答します。

その理由について、「彼女の両親を後部座席に乗っていただく際、後部座席が広いクルマだと『見栄』がはれる」と説明します。

ここでいう「見栄」とは、日本語の意味合いとは少々異なり、中国の人々にとっては相手の信頼を勝ち取るための非常に重要な要素といわれています。

いずれにせよ、中国の人々はセダンに対してある種の権威性を覚えており、さらには実用面や「見栄」の面からもセダンを好む傾向があるようです。

※ ※ ※

広大な国土を持つ中国では、地域によっても文化が大きく異なり、実際には多くの要素が複雑に入り混じった結果、セダンが好まれるようになったと考えられます。

ただ、新車販売台数ランキングを見ると、セダン人気が圧倒的なのは間違いないようです。

日本では下火となっているセダンですが、中国の様子を見る限りは、セダン自体が消えてしまうことはしばらくなさそうです。

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