究極のポルシェ964型「911RS」は3500万円で落札！ 公道を走れるカップカー「M003/NGT」はなにがスゴイのか？

今後も目が離せない1台に

964型の「911」のなかでも、マニアに熱狂的に支持されているのが「カレラRS」です。そのカレラRSをベースとしたホットモデルが「911カレラ RS N/GT」が2025年2月4日～5日にRMサザビーズがフランス・パリで開催したオークションに出品されました。1992年3月にスイスのジュネーブに居を構えるカスタマーへとデリバリーされたのち、20年間はスイス国内で保管、2013年にはベルギーへと移され、ほかのスペシャルなモデルとともに、キュレーテッド・コレクションの展示車としてマニアの目を楽しませてきた1台、はたしてその落札価格は……。

カレラRSをベースにしたホットモデル

近年、クラシックとしての価値が大きく高まりつつあるポルシェの964型「911」。1989年にデビューを飾り、1993年まで生産が継続されたこのモデルは、伝統の911シリーズとしては第3世代に相当するもの。ボディデザインの基本的なコンセプトこそ、初代911の901型、そして2代目の930型のそれを継承しているものの、新たにモノコック構造を採用するなど、そのエンジニアリングは大幅に進化している。じつに約80%ものパーツが新設計されるなど、ニューモデルとしての話題性はきわめて大きかった。

まずフルタイム4WD仕様の「カレラ4」の登場で始まった964世代の911には、その後さまざまなモデルが誕生していく。翌1990年には多くのファンが待ち望んでいたRRの「カレラ2」がデビュー。こちらも930型で人気だった「ターボ」は1991年に追加設定されている。

カレラ2と比較して120キロの軽量化に成功

今回RMサザビーズのパリ・オークションにも、多くのポルシェ 911が出品されたが、ここで紹介するのは1992年式の「カレラRS N/GT」。ちなみにこのモデルは、同年に964型911のラインアップに追加された「カレラRS」をベースとしたもので、911ファンならば誰もが憧れる1973年式911カレラRS、すなわちナナサン・カレラの存在を改めて思い浮かばせる、軽量でスパルタンな性格を持つモデルとして開発されたものだった。

964型911カレラRSにとっての最大のトピックスは、その徹底した軽量化にあった。エアコンやオーディオなどの装備はもちろんのこと、リアシートの廃止、フロントシートの軽量化、マグネシウム製ホイールの採用等々、一連のダイエットによって、車重はスタンダードなカレラ2と比較して120kgも軽量な数字を実現するに至ったのだ。

N/GTはM001用の強化型ボディをベースに製作

さらにポルシェはこのカレラRSに対して、「M001」、「M002/RSツーリング」、「M003/NGT」という3タイプのオプションを、ベーシックモデルのほかに設定している。M001はカレラ・カップ用のレーシングモデルであり、またM002はツーリングというオプション名からも想像できるようにオンロード走行にややフォーカスした仕様だ。

そしてM003は、ここで紹介するN/GTはM001用の強化型ボディをベースに製作された、いわば公道を走行できるカップカーともたとえられるモデルだ。キャビンには溶接式のロールケージやシュロスのフルハーネス・シートベルトを備えるレカロ製バケットシートが備わり、キャビンの雰囲気はスパルタンなことこのうえない。

リアに搭載されるエンジンは、3.6Lの水平対向6気筒自然吸気。最高出力は290psに達するとも言われ、5速MTが組み合わされる。強化型のクラッチやサスペンション、そしてブレーキを装備するのも、このN/GTの特徴。前後のホイールは17インチ径のマグネシウム製カップ・ホイール。燃料タンクが大型化されている点も見逃せないところだ。

現在までの走行距離は3万5609キロ

この出品車は、1992年3月にスイスのジュネーブに居を構えるカスタマーへとデリバリーされ、その後20年間はスイス国内で保管されていた。そして2013年にベルギーへと移され、ほかのスペシャルなモデルとともに、キュレーテッド・コレクションの展示車としてマニアの目を楽しませてきた。

現在までの走行距離は3万5609km。車両にはオーナーズ・ガイド、サービス・ブック、ジャッキ、スペース・セーバー・スペア・タイヤなどが付属しており、もちろんシリアルナンバーやエンジンナンバーのマッチングは確認済みだ。ウインドウにはオリジナルのセキュリティマークが残り、またボンネットとエンジンリッドにはシリアルナンバーと一致する数字が刻印されている。

964型911カレラRSは、その人気から2000台以上が生産されたとされるが、このN/GTはその中でわずかに290台がデリバリーされたにすぎない。その希少価値も含め、RMサザビーズは20万～25万ユーロ（邦貨換算約3203万円～4004万円）のエスティメート（予想落札価格）を提示したが、実際の落札価格も21万8500ユーロ（邦貨換算約3500万円）と、そのレンジに収まった。964型911の価値は、これからますます高まっていくことは容易に予想できそうだ。

Comments

[abarth150]

当時カーマガジンか何か忘れたけど車雑誌の特集で、NS-XタイプRとの比較試乗インプレッションを興味深く読んだ記憶がある。確かそこそこいい勝負だったような。

[ham]

RSもCUPカーも恐るべきはカタログ車重より現車が遥かに軽い事