日本政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、CO2排出の約18%を占める自動車のCO2排出量を削減するため、電動化を推進している。
具体的には、2035年に向けて純内燃機関車の新車販売を禁止し、2050年までにはハイブリッド車やPHEVも含めて、内燃機関を動力に使用する自動車の新車販売を完全に禁止するとしている。
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一方で、大容量バッテリーの製造、廃棄時に生じるCO2や、石炭火力発電によるEV充電の問題から、EV化をカーボンニュートラル実現への「唯一の手段」とすることへの反対意見もある。
とはいえ、それでも間違いなく純内燃機関搭載モデルは消滅への道をたどることになる。そのカウントダウンの道筋をしっかりと検証していきたい。
※本稿は2021年10月のものです
文/国沢光宏 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年11月26日号
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■来たるべき『2035』への流れを分析する
ベンツは電動化に積極的だ。すでにEQAなどが市販されており、EQS、EQEなども登場。さらにIAAにはGクラスのEVも参考出展
日本やアメリカ、欧州などは2050年に、中国も2060年のカーボンニュートラルという目標を設定した。
簡単に説明すると、日本の場合2049年12月31日を最後にガソリンスタンドがなくなると理解すればいい。この流れを受け「そんなことできるワケがない!」と反対&否定する人も多いようだ。
確かに実現しようとすれば、さまざまな高いハードルを越えなければならないと思う。逆に超推進派の人もいる。以下、世界の流れを紹介しておきたい。
説明するまでもなく、カーボンニュートラルを強く進めているのは西洋社会だ。直近の1~2年を見ていると、もはや理屈じゃないように感じる。
例えばサトウキビなどから作ったアルコールは大気中の二酸化炭素を吸収して生育するため、カーボンリサイクルに分類されます。それをエンジンで燃焼させればカーボンニュートラルのハズ。
だが欧州の自動車メーカーに聞くと、口を揃えて「エンジンが否定されています」という。市民も肯定しており、流れは変わらない雰囲気。
アメリカは「大統領が変わったら環境問題の解釈も変わる」ということをトランプ元大統領が教えてくれた。2050年のカーボンニュートラルを宣言したのはバイデン大統領なので、次の大統領がひっくり返す可能性もある。
一方、GMやフォード、ステランティスの旧クライスラー部門は、すべて2050年のカーボンニュートラル化を発表。口だけかと思いきや、皆さん電池への投資から開始しているのを見て「ホンキですね!」と思った次第。西洋世界は動き始めている。
■日本のエネルギー政策はどこへ向かう?
2021年10月13日、ホンダは中国での今後のEV戦略を発表。EV専用アーキテクチャを新開発。これらコンセプトモデルは5年以内の市販を目指す
日本を見るとどうか? これがサッパリわからない。そもそもカーボンニュートラルを実現しようとすれば、化石燃料に代わるエネルギー戦略が必要。西洋社会は太陽光や風力に代表されるクリーンエネルギーの比率をドンドン進めている。
我が国を見ると政治家や企業、地方自治体が利益誘導をしており、最新の目標を見ても2030年に原発で作る電力を現在の6%から20~22%に高めようとしているのだった。現在残している原発をすべて動かさないと実現できない目標。
新型コロナ対応を見れば、カーボンニュートラル戦略も政治に期待するのはリスクが大きい。
最近西洋で論議されているのが「乗用車という道具を考えた時、最も効率のよいエネルギーは何か?」というもの。ここにはカーボンニュートラルという概念なし。純粋に物理的な効率が論議されているという。
興味深いことに、優勢意見は「乗用車なら電気自動車」。
根拠を聞くと、クルマを1km走らせるためのエネルギーコストは電力が最も安いという点にある。
電力、現在の我が国ですら1kWhあたり15円あれば作れる。電気自動車だと15円で7~8km走れてしまう。
この距離、ガソリンで走らせるなら、効率のよいハイブリッドだったとしても0.3L程度消費する。ガソリンがリッターあたり50円以下になれば電気自動車より効率いいが、そんなこと考えられない。
しかも発電コストはさらに下げられ、電費だって向上の余地大きい。電気自動車の車両価格がエンジン車と同じになった時点でゲーム展開は大きく変わり始めるだろう。
■水素エンジンやe-fuelは2035年に間に合うか
トヨタは水素エンジン搭載のカローラスポーツで果敢にレースにチャレンジし、データを収集している
地球環境を考え、要はCO2を排出しなければいい……という考え方もあり、内燃機関採用の切り札とも言えるのが水素エンジンとeフューエルだ。トヨタやポルシェなどが研究を進めるこれらが、2035年の実用化に間に合うのか。
EVに対するアンチテーゼとなっているのが、大気中から二酸化炭素を回収して液体燃料を作る広義の『eフューエル』と、燃焼させても水しか排出しない水素エンジンである。
eフューエルについて「広義」と書いたのは、大気中の二酸化炭素を化学合成して液体にする方法と、サトウキビやミドリムシなど藻類から作るアルコール系の液体燃料を含むためです。実際、植物由来のバイオエタノールはすでにブラジルやメキシコなどで昔から使われており、カーボンニュートラル。
F1やWRCではeフューエルを使うことが決まっており、技術的な問題はなし!
バイオエタノール燃料でカーボンフリーをするなら、1年後に販売しているクルマのすべてを切り替えられるだろう。したがってエタノール系のeフューエルでカーボンフリーをする場合、それほど大騒ぎする必要ないと思う。
ところが、である。欧州の情報を詳細に分析すると、どうやらeフューエルもダメらしい。もはやエンジンをなくせ、みたいな方向。
e-Fuelの技術を前へと推し進め、2030年頃までに全モデルを電動車にすると公表するマツダ。欧州のe-fuel関連団体とともに現在開発中
●水素エンジンは戦力外!?
実際、欧州系の自動車メーカーはエンジンの開発を凍結しているのだった。少なくとも乗用車や小型トラックくらいまではEVしか認めないという雰囲気。こうなると欧州についちゃeフューエルも水素エンジンも戦力外になってしまう。
アメリカと日本はどうだろう? 現時点では流動的。特にアメリカは大統領次第で相当動く。すでにE85というメタノール85%/ガソリン15%の燃料を売っており、価格もガソリンと大差なし。採用の可能性は充分にある。
●日本の一番のネックは?
我が国はどうか? 一番のネックになっているのがeフューエルの価格だ。農地が少ない日本の国土事情を鑑みると、バイオ系のアルコール燃料は安くならない。藻類由来のeフューエルは供給量だけでなく、コストダウンも難しい。
現在のガソリン価格(税抜きで1Lあたり50~70円)まで落とすのは難しいと言われる。水素エンジンはカーボンニュートラルで条件的にはクリアできるものの、これまたコスト的にガソリンより高くなるそう。
電気はどうか。コストで圧倒的にガソリンより安価。政府さえホンキになれば、太陽光だけでなく地熱や風力から作れるため国内調達可能。現時点では車両価格がガソリン車より高いものの、技術革新や素材の進化でバッテリーコストが下がってくると、ガソリン車と同等の価格になるだろう。
EVが増えれば充電インフラだって整ってくる。なんせ目標は29年後2050年ですから。現状で「充電インフラが」と言ってるのはオタンコです。
●可能性はありえる
ということで日本や欧州において乗用車は電気が最も可能性の高いパワーユニットになると思う。ただ新興国やアメリカなど、バイオエタノール系のeフューエルが使われることは充分にありうる。はたまたスポーツカーやディーゼルエンジンの代替エネルギーとして水素エンジンが使われることだってあるだろう。
このあたり、まだまだ技術だって進む。豊田章男社長じゃないけれど、さまざまな可能性を考えたアプローチが重要。現時点で「これだ!」という決め打ちは、何の意味も持たない。
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みんなのコメント
いやいや、そんなことないと思います。売価で考えないと。。。
標準的な電気料金が1kWhあたり26円。
一方、ガソリン税を差し引いたガソリン代が1L=100円、燃費がリッター30Kmとして、7.5Km走行で25円。
逆転しちゃうじゃないですか。
政策的に電気自動車への課税を優遇(というか制度設計が出来ていない内の恩恵享受)で差が付いているだけで、忖度無しで考えると、小排気量Hybridが最強です。
訳の分からない記事はやめて欲しい。