次期モデルの存在が明らかになった国産車も長寿ネームだ
イメージチェンジを狙って新しい車名をかかげるニューモデルもあれば、長年にわたって使い続けてきた名前で伝統をアピールするブランディングもある。長く使われるということは、それだけユーザーに愛されてきたという証明ともいえる。では、国産車で長寿ネームを持つモデルとは何があるのか? 5位からカウントダウン形式で紹介しよう。
トヨタはご長寿大国だった! 同じ名前で作り続けているロングセラー国産車ランキング
第5位 トヨタ・カローラ(since 1966)
2019年9月にフルモデルチェンジした12代目において、国内仕様でも久しぶりにサブネームのつかない「カローラ」という車名が復活したが、カローラの誕生は1966年まで遡ることができる。その初代モデルでは「プラス100ccの余裕」というキャッチコピーで、ライバルとなる日産サニーに対抗したというのは、いまや伝説だ。
また、トヨタのクルマづくりに対する姿勢を象徴する「80点主義」によって生まれたモデルでもある。なお、80点主義というのは、すべての項目で80点以上であればよしとするというものではない。本来は「80点主義+α」というもので、どんな項目においてもユーザーが劣っていると感じることがないクルマづくりを意味している。ストロングポイントが100点満点だから、ほかは目をつぶるというのではなく、ストロングポイント以外も80点以上に仕上げるという意味である。
いわゆる5点満点のレーダーチャート(クモの巣グラフ)でいうと、すべての項目で4点以上の大きな多角形を目指すのが「80点主義+α」であり、そうしたマインドは、代を重ねてもカローラの重要な基本姿勢として守り続けられている。ちなみに、2020年3月にトヨタの小型トラック「トヨエース」がダイナに吸収されてモデルライフを終了させるまでは、このカローラでさえ国産長寿モデルのトップ5には入ることができなかった。
第4位 日産フェアレディ(since 1960)
先日、日産が発表したNISSAN NEXT A to Zというムービーにおいて、次期モデルの存在が明らかになったスポーツカー「フェアレディZ」。その名前に使われている初代フェアレディが誕生したのは1960年。今年は、ちょうど60周年に当たる。その初代フェアレディは、現在のフェアレディZからすると、かなりイメージが異なる。1.2リッターエンジンを搭載した4座オープンカーというプロフィールだった。なお、この初代フェアレディはアメリカ市場をターゲットとした輸出専用車で、国内でもフェアレディの名前が知られるようになるのは、1962年にダットサン・フェアレディ1500が登場して以降となる。
ちなみに、このフェアレディは後席が横向き1人乗りの3座オープンというユニークなパッケージだった。そして、1969年にフェアレディZとしてクーペボディのスポーツカーに生まれ変わった。現行型のZ34は6代目、次世代モデルは初代フェアレディZをオマージュしたスタイリングになることが、件のムービーで公開されたシルエットから明らかとなっている。
スポーツセダンやクロカン4WDは初代から一貫したキャラを保つ
第3位 日産スカイライン(since 1957)
フェアレディZと同様に、日産のスポーツセダンとして看板モデルといえる「スカイライン」の初代モデルが誕生したのは1957年。現行型では13代目となるが、その歴史のすべてが日産によるものではない。誕生からしばらくは企業合併に翻弄されたモデルである。1957年の初代誕生時のメーカーは富士精密工業。1961年にプリンス自動車工業と社名が変わり、1963年には2代目スカイラインが生まれている。
その3年後、1966年にはプリンス自動車が日産自動車に吸収合併されたことで、ニッサン・プリンス・スカイラインととなり、1968年にデビューした3代目において日産スカイラインとして落ち着いた。また、その歴史においてはボディサイズの縮小が行なわれたことがあったりと、ラインアップにおけるポジショニングが落ち着かなかった部分もあるが、スポーツセダンという一点においては初代から一貫したキャラクターとしてスカイラインの名前を磨き続けている。
第2位 トヨタ・クラウン(since 1955)
国産の乗用車として見ると、実質的にもっとも歴史がある名前といえるのが、トヨタ・クラウンだ。1955年にデビューした初代モデルは設計思想を含めて純国産高級車として、日本車のひとつの起点となった。初代では観音開きのドアを採用していたことも印象深い。その後、日本がバブル景気に沸いていた1980年代には「いつかはクラウン」のキャッチコピーが一世を風靡。クラウンは最後に辿り着く、目標となる高級車というキャラクターを明確にした。このキャッチコピーによるブランディングは、トヨタ自体の価値にもつながったといえる。
クラウンはほぼ国内専用車でありながら、継続して開発・生産されている。2018年にフルモデルチェンジした現行15代目モデルは、レクサスLSなどと基本的に同じアーキテクチャであるGA-Lプラットフォームを日本の状況に合わせて最適化したもので、そうした贅沢が許されるのも「クラウン」というビッグネームだからこそだ。
第1位 トヨタ・ランドクルーザー(since 1954)
クラウンよりも歴史のある、国産車でもっとも長寿の車名。それが「ランクル」の愛称で親しまれている「ランドクルーザー」だ。1951年にトヨタ・ジープBJ型として生まれた四輪駆動車をルーツに持つ。ジープという呼び名は、軍用4WDを指す一般名詞という認識からトヨタ・ジープという名前だったが、当然ながらジープという商標を有している企業がアメリカにあるわけで、1954年に「ランドクルーザー」として改名したのが、そのスタートである。
もともと業務用として誕生したこともあり、幌ボディが基本であったが、1959年にはステーションワゴンボディが誕生。現在のランドクルーザーにつながっている。走破性や耐久性で圧倒的な支持を集めているのは、ご存じのとおり。国内でランドクルーザーというとV8エンジンを積んだステーションワゴンタイプを指し、4気筒ディーゼルを中心としたランドクルーザープラドは別モデルとして認識されている部分もあるが、いずれにしてもランクル・ファミリーであることは間違いない。
番外 日産パトロール(since 1951)
国内では販売していないので番外編としたが、国産ブランドのモデルとしてもっとも歴史が長い車名を持っているのは日産パトロールであろう。国内では過去に「サファリ」という名前で販売されたこともある、奇しくもランドクルーザーのガチライバルといえる高級クロカン4WDモデルだ。
1951年に生まれた初代モデルは、ランクル同様にいわゆるジープタイプと呼ばれる幌ボディのクロカン4WDで、警察車両などの用途をメインに考えたものだった。その「パトロール」という名前はグローバルモデルとしては健在、現在でも中東などを中心に販売されている。最新モデルのエンジンラインアップは400馬力のV8エンジンを筆頭にしたもので、7速ATや可変4WDシステムと組み合わされたパワートレインとなっている。
参考リンク:中東日産パトロールWEBページ
https://www.nissan-me.com/vehicles/new/patrol.html
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Zはブランクあるよ。