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ドリフトのやり方 初心者が見よう見まねで挑戦した結果…… 意外と難しい?

掲載 更新 10
ドリフトのやり方 初心者が見よう見まねで挑戦した結果…… 意外と難しい?

ドリフトは本当に難しいのか?

Sプラットフォームの日産車が、大きく改造されたボディをエイペックスに対して荒々しく垂直に保ちながらコーナーを曲がっていく。

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リミッターを解除した大馬力エンジンが猛烈な叫び声を上げ、後輪からは火砕流のごとく白煙が立ち上る。そのリアバンパーから1mほど離れたところでは、同じように改造されたマツダRX-7が、先行車の無茶なアタック角に合わせて追走している。2台が連動して、タイトなサーキットをドラマチックなスライドで次々と駆け抜けていく。

エンジン音とタイヤのきしむ音が喧しくても、その動きは見事に調和している。あまりに優雅な動きに、「クルマをこんな風に走らせるのは本当に大変なことなんだろうか」とさえ思えてくる。

過去にも同じような疑問を抱いたことのある筆者は、このドリフトという競技の真相に迫りたいと思った。そんなわけで、YouTubeでドリフト動画を見まくって、自信満々で英ハートフォードシャー州にあるドリフト・リミッツ・モータースポーツ・アカデミー(Drift Limits Motorsport Academy)に乗り込んだのである。

カリキュラムは単純だった。インストラクターのビルから2代目マツダMX-5(ロードスター)で基本を学び、後半はパワフルな日産350Zに乗り換えるというもの。うまくいけば、初心者から、ドリフトを何回かつなげられる中級者になるはずだ。

初心者の焦り 頭では分かっていても……

さて、今回使用するクルマは、競技用ドリフトほどに改造はしていないものの、まったくのノーマルというわけでもない。リヤデフを溶接したり、サスペンションに手を入れたりして、スライドの誘発とボディロール抑制を図っている。また、初心者がスライドしやすいよう、専用コースには植物油と水を混ぜた潤滑油も使われている。

サーキットのレイアウトを確認した後、ビルは基本的なことを教えてくれた。簡単に言うと、大きく分けて3つの段階がある。まずはイニシエーション、きっかけ作りだ。速度を上げた後にアクセルを離して荷重を前に移動させ、ハンドルを1/4程度回してターンインし、素早くアクセルを踏み込んで離すとスライドが始まる。

次に、持続的にアクセルを踏んでドリフトを掴む必要がある。最後に、スロットルとステアリングの入力のバランスをとりながら、コーナー出口までドリフトを維持する。このときは、できるだけクルマに任せる。簡単そうだろう?

しかし、現実はまったく違う。ステップを学ぶことはできても、それを実行に移すのは、また別の問題だ。だから当然といえば当然なのだが、最初の数回は、すぐにスピンしてしまった。

コーナー入り口に向けて37km/hまで加速し、進入ポイントの手前で車両1~2台分ほどアクセルを離し、荷重が軽く前に移動するのを感じながら、ハンドルを切り、クルマがゆっくりと回転し始め、アクセルを踏んだり離したりして滑りを大きくする……が、スロットルの開け過ぎや少なすぎで掴みそこね、結局まっすぐになるか反対を向くかした。イライラがつのる。

MX-5はホイールベースが短いので、特にキビキビとした動きを感じる。また、手や足を使って積極的に何かをしたいという初心者の気持ちが、失敗の確率を高めていた。

上達には忍耐が不可欠 身体も慣れてくる

ビルはとても辛抱強い人だった。クルマに身を任せることの大切さを優しく教えてくれ、忍耐力が必要であることを強調した。実際、各ステップの間に一瞬の間を置いて、クルマの動きを感じ取り、バランスを調整することは、ステップそのものと同じくらい重要なことなのだ。

練習を重ねるうちに、最初のステップには慣れてきたので、次はドリフトをうまく掴むことに挑戦してみる。アクセルの踏み込みと踏み直しの間が重要なのだが、何度か失敗しているうちにタイミングが合ってきて、なんとかコーナー出口まで走りきることができた。ステアリングとスロットルの入力バランスなど、まだまだ考えなければならないことは多いのだが、この最終ステップは割と直感的に操作できるように感じる。

一休みしてから350Zに乗り込み、いくつかのドリフトをつなぎ合わせてみた。すぐに、扱いやすいクルマになったと感じた。ホイールベースが長くなったことで、回転の動きが読みやすくなり、ドリフトを開始し、掴み、維持するという流れが自然にできるようになった。

ドリフトはスポーツであり、アートである

あとは、ドリフトを何回かつなげるだけ。このあたりからドリフトが「アート」になってくるのだが、このときばかりは通常のレーシングラインを走ろうという気持ちを抑えなければならない。コースの端に寄れば寄るほど、次のドリフトをするためのスペースが広くなる。

ここでもタイミングと忍耐が重要なポイントになる。ドリフトの終わりから次の始まりまでできるだけ長い時間パワーを維持し、リフトアップさせる。クルマが振り子のように揺れ、それを受け止めて次のドリフトに移る。

この日のセッションが終わるまでには、ほぼ1周することができるようになった。「ほぼ」ね。最初の数時間でここまでこれたのは、ビルの完璧な指導と、聖人のような忍耐力のたまものだ。とはいえ、プロのようにシームレスなドリフトができるようになるには、だいたい4年くらいのしっかりした練習が必要だと彼は言う。

でも、一度そこまで成長すれば、あとは自分のイマジネーション次第でどうにでもなるという。自分の限界に挑戦し、創造性を発揮することを恐れないドライバーは、見ていてとてもエキサイティングだ。アーティストと同じように。

ドラテクを磨くならプロに学ぼう

英AUTOCAR編集部のカメラマン、ルック・レイシーは2011年にドリフト・リミッツ・モータースポーツ・アカデミーの設立に携わった。当初は、彼と創設者のジョニー・バーデン、2代目MX-5、そしてセメントを混ぜるのに使う一輪車だけがそこにあった。特に、かつて英国空軍の爆撃機基地だったボービングドン飛行場の誘導路にできた穴を、セメントを使って何時間もかけて手作業で埋めたことを、レイシーは今でも覚えている。

レイシーはもう関与していないが、ドリフト・リミッツは、比較的手頃な価格でドライビング体験を提供することに努め、年々大きく成長している。現在ではドリフトスクールに加え、マクラーレン12C GT3などのホモロゲーション車両やスタント・ドライビングコースを体験することができる。

また、「ポリス・パシュート」という面白そうな企画もある。プロの運転するダッジ・チャージャーのパトカーから、ポルシェ・ボクスターで逃げるなんて、楽しくないわけがない。

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みんなのコメント

10件
  • 見よう見まねでやるモータースポーツではない。
  • まずは雪があるところでやってみてください。
    季節的にもう出来ませんが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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