先日、5ナンバーの小型・中型4ドアセダンについてお送りしましたが、今回はその記事で触れたGS151クラウンを購入した友人のオーナーインタビューをお送りしたいと思います。
その友人Sさんは、シルバーアクセサリーの職人で、昔はモータサイクルを乗り継いできたどちらかというと「ヤンチャ系」で、4輪も「街道レーサー風の旧車」が好みの人だったのですが、ある日突然フルノーマルのフォーマルセダンに目覚めてしまいGS151クラウンの購入に至ってしまったとのこと。オーナーになってまだまだ日は浅いですが、これからどんなカーライフを夢見ているのかお話を伺ってみましょう。
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GS151型クラウンセダンとは
1974年のS80型にクラウン初の4ドアハードトップが登場。4ドアモデルは、上位グレードに「ロイヤルサルーン」が設定された一般ユーザー向けとタクシーや官公庁用むけの簡素なスタンダードグレードで構成されたセダンモデルと、一般ユーザー向けに特化した4ドアハードトップの2本立てとなります。
その後、年を追うごとに4ドアセダンモデルは次第にタクシー、法人向けグレードとしての色合いが強くなります。1987年登場のS130型でほぼ、4ドアハードトップは一般ユーザー向け。4ドアセダンは法人、官公庁ユーザー、および一部の保守的な一般ユーザー向けとなります。
1991年のS140型では上級モデルとしてクラウン史上初のモノコックボディを採用した「マジェスタ」が追加され(ただしロイヤルサルーンはペリメーターフレーム)、ロイヤルサルーン、マジェスタともに一般ユーザー向けのグレードは4ドアハードトップとなり、法人ユーザーが主な4ドアセダンモデルはS130型の継続生産となります。
1995年のモデルチェンジで今回の取り上げるS150型となり、法人モデルの4ドアセダンもS150型に移行し、セダン、ロイヤルサルーン、マジェスタ、すべてモノコックボディとなります。(ただし、ワゴンモデルのみ1999年までフレームシャシーのS130型を継続生産)セダンに関してはS130型のイメージを踏襲。クルマにそれほど興味のない人からすれば、クラウンという車種こそ判れど、モデルチェンジしたかどうかまでは判らないかもしれません。
公用車向けの車両が保守的で変化の大きなモデルチェンジを避けるのは、モデルチェンジで大きくデザインが変わってしまうと、順次新車に入れ替えていく際に旧型と新型の違いが目立ってしまうからだと聞いた事があります。
CL 鈴木:Sさん元々はバイク乗りでしたよね。確かはじめて会った時もスクーターだったような。
Sさん:そうですね。まず、JOG-Zから始まってTW225、その次がNSR250。さすがにNSRで街乗りはキツイ、部品は出ない。ということで次にニンジャ250R、シグナスX125。鈴木さんと出会ったのはシグナスに乗っていた時ですね。あとNSRは今になって部品の供給再開するとか、…ちょっと惜しいことしたなとは思います(苦笑)。以前はクルマ(4輪)じゃなくていいやと思っていました。
CL 鈴木:4輪に転向した理由はなんですか?
Sさん:バイク通勤がキツくなったのと、鈴木さんのイベント運営にかかわるようになって豊田市と名古屋市の往復が多くなったところで、ちょうど中古車店に自社登録新古車のエブリィがあってAGS(セミAT)が気に入って購入しました。荷物も載るので重宝しましたね。でも、軽バンでは長距離がキツイんですよ。シートもペラペラで腰に負担がかかってペダルも踏みにくいし。そんな時に鈴木さんのクルーに乗ってみたら思っていたより気に入ってしまって…
CL 鈴木:えーと、確かにセリカLBの部品取りを一緒に北関東まで取りに行って積載車をレンタカー屋さんに返したあと、豊田市までクルーで送っていった時ですよね。あんまり興味持つから試しにちょっと運転してみる?って言ったら…(笑)
Sさん:2tロングも運転できたわけだし、セダンもいけるだろうと思って運転してみたら、楽だしパワーもあるし運転しやすい、さすがプロドライバー用のセダンだなと。それがきっかけで2Lの5ナンバーサイズの4ドアセダンが欲しくなったんです。以来、クルーとかコンフォートとかクラウンセダンが気になるようになりました。
CL 鈴木:このクラウンはどこで見つけたんですか?
Sさん:近くのモータースにいい感じのGS151があったんです。シルバーが希望だったんですけど黒もカッコいいなぁと思って、ショーファーカーにあこがれもありましたし。でも、僕が「クラウンセダンみたいんですけど」って言ったら、シャコタンでメッキバンパーのGS130のほうに案内されちゃいました。そっちじゃないって(苦笑)
CL 鈴木:そりゃまぁ、パンクなシルバーアクセサリー屋さんが「クラウン欲しいんですけど」って言ったらねぇ(笑)私はフレームシャシーのGS130に乗ってほしかったですけど。
CL 鈴木:クラウンに乗ってみてどうでした?
Sさん:静かさにビビリましたね。2Lといってもパワーが違うし、乗っていて精神的に余裕が出ます。かといって大きすぎないのがよいです。自宅周辺が入り組んでいてアップダウンが多いので5ナンバーの2L車がちょうどいいんです。あとフェンダーミラーが楽。(笑)
Sさんのご厚意で、GS151型クラウンを豊田市郊外のワインディングで運転させていただいきました。クラウンと言っても、タクシー用の廉価グレードだからと言って侮る事はできません。法人用のスーパーDXと言っても、さすがクラウン。
シャシーは最上級モデルのロイヤルサルーンやマジェスタとまったく同じうえ、2LのスーパーDXのエンジンはむしろシャシーが勝ってるいだけに、少々オーバースピード気味に突っ込んでもリアシートのパセンジャーを不快にさせない。このスタビリティの高さが「エンジンにシャシーが勝っている」という通好みのドライバビリティなのかもしれません。
よく、クラウンというと足回りがフワフワでロールが酷いというイメージを持たれがちですが、少なくとも今回乗ったGS151型に関しては足回りがソフトすぎるという印象はまったくありませんでした。むしろステアリングからはドッシリとした重量感が伝わり、ステアリングからのインフォメーションが希薄という一時期のトヨタ車のイメージを覆すものでした。
気が付いたら、かなりの速度が出ていたというあの安定感はドイツ車を思わせる物があります。ドッシリとしたハンドリングが気に入っていた筆者の日産クルーがペラペラで軽いと感じるくらいです。もしかしたら、プロドライバー向けのクラウンセダンは作り分けていたのかもしれませんが…。
インプレッションリアシート編
でも、やはりクラウンといえばリアシートがすべてと言ってもよいでしょう。まずリアシートに座って最初に目に入ったのが、エアコンとラジオのコントロールパネル。
エアコンは前後独立でコントロールできるのですが、ユニークなのがオーディオコントロール、Sさんによると音量を最大にしてもオーディオの音が小さいままなので、首をひねっていたら、実はリアシートの音量スイッチが小さくなっていたため音量が制限されていた事が判明、リアシートのオーディオコントロールが優先されるというあたり、やはりクラウンはリアシートに座る人のためのクルマなのです。
5ナンバーセダンながらヘッドスペースは十分。正直新型クラウンのリアシートの狭さが嘆かわしくなります。リアウィンドーガラスが日産クルーよりも小ぶりなのは、リアシートのパセンジャーの秘匿性を優先しての事でしょう、職業ドライバーがバック走行する際の視界確保を優先した日産クルーとの考え方の違いが垣間見えます。
フェンダーミラーの黒いクラウンのリアシートというだけで、自分が要人になったようにすら錯覚します。路面からの振動や突き上げは一切感じることなく、それでいて不快な揺れやロールを起こすわけでもなく、ワインディングを走行中のリアシートで新聞や本を読んでも車酔いを起こすような感じがまったくなかったのはさすがクラウンです。「ポルシェとクラウンは一番安いグレードを買うと良さがわかる」とはよく言ったものです。
CL 鈴木:手を入れたいところはありますか?
Sさん:できるだけオリジナルコンディションで乗りたいですね。車高調とか入れてドリフトとかする気はまったくないですよ。むしろカーテンとかコーナーポールとかを付けたいですね。
CL 鈴木:よかったところは何ですか?また、逆に不満点はありますか?
Sさん:よかったところは全部ですよ。軽商用車の制約や不便さから解放されましたからね。燃費と維持費が増えたのが不満点ですが、それを代償にした価値は十分あります。
CL 鈴木:予算抜きで欲しいクルマを教えてください。
Sさん:
3位 1959年キャデラックエルドラドビアリッツ
もちろんピンクキャデラックで、ロック好きには憧れのクルマです。
2位 メルセデスベンツゲレンデヴァーゲン
メルセデスのSUVは気になるんですよ。
1位 1968年プリマスロードランナー
ブラックラグーンっていうマンガが好きで、運び屋の主人公達の「ラグーン商会」の社用車がロードランナーなんで。
CL 鈴木:まぁ、今更愚問だとは思いますが…愛車とはなんですか?
Sさん:自分の相棒ですね。1人でも、色んな人と物も乗れて。
実はSさんがクラウンを購入して一番戸惑った筆者
実はSさんは、以前インタビューをお願いしたユーノスロードスターのTさんとの共通の友人で、筆者が関わっているイベントのスタッフでもあります。Tさんも含めて友人というよりバディと言ったほうが相応しい関係なのですが、まさか筆者のクルーがきっかけで法人用セダンに興味を持ったことから「昔の法人グレードの5ナンバーのクラウンセダンなんかいいんじゃない?」の一言から、わずか3ヶ月ほどでまだ1度目の車検も通していないエブリィからクラウンに買い替えるとは思いませんでした。
まだ、納車から数週間ほどですが、早くも「もうクラウン以外のクルマには乗れない」というほどクラウンに魅了されたようです。
[ライター・画像/鈴木 修一郎]
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