■初代「オデッセイ」はコラムシフト
シフトレバーの位置にはいくつかの種類があります。もっとも一般的なのはフロアシフトで、車体の中心線近くでフロアやセンターコンソールからレバーが伸びているもの。レバーの上から力をかけることができるので、シフトチェンジがひんぱんなMT車ではダイレクトな操作感を得られることもあり、特に広く見られます。
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これに対し、おもにインパネ部分から座席側に向かって、あるいは斜め上にレバーが延びているのがインパネシフト。現在ではこちらもミニバンや商用バン、軽自動車など幅広く採用されています。ダイハツなどは、いまやほとんどの乗用車がこの方式。最近発売されたホンダ「N-VAN」など、商用車ではMTでもインパネシフトを採用しているものもあります。
もうひとつが、ハンドルの根本部分(ステアリングコラム)から横にシフトレバーが伸びるコラムシフトです。
コラムシフトは1990年代には商用車などのほか、ホンダの初代「オデッセイ」や初代「CR-V」といったミニバン、RVに多く採用されていました。ホンダによると、機械的なレイアウトの制約も考慮しつつ、前席と2列目シートのあいだをウォークスルーにするためにフロアを空けることを考えた結果、コラムシフトが選ばれたといいます。
■コラムシフトなぜ衰退?
ところが、コラムシフトはその後衰退し、インパネシフトに移行していきます。その先駆けは、「オデッセイ」などのライバル車として登場した1997(平成9)年発売の三菱「シャリオ グランディス」で、「オデッセイ」も1999(平成11)年発売の2代目からはインパネシフトに変更されました。「CR-V」の場合、2001(平成13)年発売の2代目ではレバー位置がスピードメーターとセンタークラスターの中間に変更され、コラムシフトの雰囲気を残しつつもインパネシフトに移行しています(3代目以降はインパネ中央に移行)。
「シャリオ グランディス」の発表資料を見ると、インパネシフトを採用した理由について、「ウォークスルーを実現した上、コラムシフトでは味わえないスポーティなシフト操作を楽しむことができる」と紹介されています。コラムシフトからの移行についてはホンダも、「操作がしやすく、ナビなどの視認性がよいことからインパネシフトに移っていきました」とのこと。レバーの長いコラムシフトは“遊び”が大きく、フロアシフトやインパネシフトと比べてシフト操作がしづらいといったデメリットがあるのです。
ちなみに、コラムシフトは前席3人掛けのベンチシートを備えたクルマでも多く採用されていました。それは昔のアメリカ車に多く、このようなクルマは日本では「ベンコラ」(ベンチシート+コラムシフトの略)とも通称されます。1990年代から2000年代にかけては、コラムシフトを採用した日産「ティーノ」など前席3人掛けのクルマがいくつか発売されたほか、現在もタクシーでは地方を中心に、セダンでも客が5人乗れる「ベンコラ」のクルマが走っています。
前席ベンチシートの場合、コラムシフトならば真ん中に座る人にも邪魔になりにくく、この点においてはインパネシフトよりも分があるかもしれません。しかし、こうした前席3人掛けのクルマは、日本においても、アメリカにおいても需要が減っています。わざわざ前に3人座らなくても3列シートで十分ですし、タクシーにおいては、窮屈にも見えるベンチシートよりも、ゆったりと座れる高級感のある車両が求められるそうです。
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