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スズキ「フロンテ」からフェラーリ「F40」までが参加! 岩手の人々に愛されるクラシックカーラリーの秘訣とは

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スズキ「フロンテ」からフェラーリ「F40」までが参加! 岩手の人々に愛されるクラシックカーラリーの秘訣とは

岩手のクラシックカーラリー「ツール・ド・みちのく」が4年ぶりに開催

2023年6月3日(土)~4日(日)に岩手県で開催された「ツール・ド・みちのく2023」は、地元のクルマ好きたちによって企画・運営されているクラシックカーラリー。4年ぶりに開催された今回はスタート&ゴール会場を盛岡市中心部の「盛岡八幡宮」とし、60台以上のクラシックカーが2日間で400kmを走りました。1963年式フォルクスワーゲン「カルマンギア」でエントリーした筆者がその様子をレポートします。

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1963年式VWカルマンギアで参加、少しマジメに上位を狙ってみた

近年はクルマ文化を活かした地域おこしが全国各地で注目されていて、クラシックカーラリーも各地で開催されています。岩手県の「ツール・ド・みちのく」は地元のクルマ好きたちの手で企画され、東北初のクラシックカーラリーとして2007年から始まり、東日本大震災による中断を挟みつつ2019年には第10回が開催。そこからコロナ禍による4年のブランクを経て、第11回が2023年6月3~4日に開催されました。

筆者は4年前に愛車の1963年式フォルクスワーゲン カルマンギアで初めて参加し、岩手の美しい自然と文化を山から海まで満喫できる2日間のラリーにすっかり感激。前回はプレス枠で賞典外でしたが今回は他の皆さんと同様に通常エントリーして、2日間での成績も意識しながら、フルでツール・ド・みちのくを楽しむことにしたのです。

タイム計測なしでクイズが中心! 風景を楽しむのがメインのラリー

ラリーといえば、ドライバーとコ・ドライバー(昔はナビゲーターと呼ばれた)のペアで、「コマ図」という独特のスタイルの地図を頼りに走っていくのが基本スタイル。ツール・ド・みちのくは岩手の風景を楽しんでほしいというのが趣旨のため、タイム計測はありません。

初日と2日目それぞれ1回ずつ、SS(スペシャルステージ)と呼ばれる特設コースがあり、例えば「反時計回りに1周50mを28秒で通過してください」といったお題で、設定タイムとの誤差をなるべく少なく走る通称「線踏み競技」がありますが、時間を気にする場面はそれだけ。

むしろ道中でのクイズが多めです。「田野畑駅の外壁に散りばめられた花は?」など、コース通りに走って周辺をしっかり見ていれば答えられる問題が、初日は15問、2日目は20問と、かなりのボリューム。

それゆえ慌てずゆったり走りながら、ドライバーとコ・ドラのコミュニケーションもまた大事なわけです。夫婦で参加する人もいれば、クルマ仲間同士で参加する人も。今回コ・ドラを頼んだ学生時代の友人Aはこれが初のラリー参加ではありますが、好きなラリードライバーを聞いたら「ラニョッティ?」と答えるくらいにはラリー観戦歴があるので、たぶん大丈夫、なハズ。

ほかに順位を左右する要素としては、途中で買い物したレシート1枚を提出して、1日目夜の抽選で下3桁が1桁当たるごとに10点、最大30点がプラスされるという運の要素も。あくまでも遊びとして、ムキになるより楽しみましょうとの趣向が徹底されています。

盛岡八幡宮には一般ギャラリーもたくさん訪問

ツール・ド・みちのく初日、スタート会場の盛岡八幡宮には、岩手、宮城など東北地方を中心に、関東や関西からもクラシックカーが集まってきました。エントリー資格は「1990年までに生産された車両(またはその同型車)」で、最も旧いクルマは1927年式ロールス・ロイス「ファントムI」、新しいところではホンダ「NSX」や日産R32「スカイラインGT-R」、ランボルギーニ「ディアブロ」など、90年代のクルマの姿も。ダットサン「フェアレディ」やスズキ「フロンテ」といった懐かしの国産車からスーパーカーまで、国籍も時代も多彩です。

一般ギャラリーにも配布されるパンフレットにはゼッケン番号順にエントリー車両の情報も載っていて、「動く自動車博物館」として楽しめるようになっているのもポイントですね。

そして盛岡市の中心部が会場ということで、事前に地元新聞にもイベントの告知記事が掲載され、当日は地元テレビ局も取材に来たおかげで、スタート前の盛岡八幡宮はちょっとしたクラシックカー・ショーのような賑わいをみせていました。

コース上の人々に通過予定時間をしっかり周知している

土曜の昼に盛岡八幡宮を出発した一行は、盛岡市街地で大勢のギャラリーから歓迎を受けます。岩手山を望みながら岩手県の山間部を走って三陸海岸へと向かうのですが、コースの途中途中、商店街はもちろん、峠の途中などでもツール・ド・みちのくの隊列を待ち構えていて、写真を撮ったり笑顔で手を振ってくれるギャラリーの皆さんがたくさんいます。こちらもニッコリ笑って手を振って、老若男女の幅も広い岩手の人々とちょっとしたコミュニケーションを重ねていけるのも、また楽しいところです。

ときおり、小さな子どもがこちらのカルマンギアを見て「カッケエ~!」と叫んでくれたりすると、このままそのセンスを大事に立派なクルマ好きに育ってほしいと願うとともに、少年の純粋な目に恥じることのなきよう、自分のクルマをキレイに維持していこうと、今後のモチベーションにもつながるのでした。

これほどギャラリーが多い理由は、実行委員会が事前に、各エリアにラリーの想定コースと想定通過時間をしっかりお知らせしているから。岩手の地元の人々が事前に丁寧に準備を進めて、エントラントはもちろん、ギャラリーも一緒にラリーイベントを楽しめるように心を砕いているのが窺われますね。

地元のカルマンギア乗りとプチツーリング

初日の後半は久慈市から太平洋に出て、三陸沿いを南下して「グリーンピア三陸みやこ」まで。ここでの中夜祭では岩手の山海の味覚を存分に味わいます。

そして明くる2日目は、三陸復興国立公園の中心にある宮古の景勝地「浄土ヶ浜」の中の道を、特別な許可のもとにクルマで走るという体験から始まりました。

ここで個人的にうれしい出来事が。浄土ヶ浜を抜けた駐車場に、4年前のツール・ド・みちのくで釜石付近ですれ違った記憶のある、地元ナンバーの黒いカルマンギア・カブリオレと再会したのです。ワンコ連れのオーナーさんに話を聞くと、27歳からカルマンギアを乗り継いで現在の1969年式で3台目、御年73歳、つまりカルマンギア歴46年のの大ベテラン! 宮古から釜石エリア、そして遠野まで、しばらくカルマンギア2台で連れだってのプチツーリングを楽しめました。

結果は64台中13位! 大チョンボのわりには頑張った?

日本の民俗学を切り拓いた柳田國男の名著『遠野物語』に思いを馳せながら遠野エリアを走り、途中、ゲリラ豪雨に見舞われながらも再び盛岡八幡宮に戻ってゴール。しばらく参加者やギャラリーの皆さんと交流していると表彰式が始まり、上位とブービー賞などの入賞者は岩手の名産品をゲット。そしてみんな笑顔で帰路へとついたのでした。

で、わがカルマンギアの成績は、エントリー64台(うち2台は途中で諸事情によりリタイア)中の13位で、総合得点は147点。ちなみに1位は168点でした。147点の内訳を見ると、クイズは1日目が1問のみ間違いで2日目は満点で上出来。ネックは1日目のSS(線踏み)で、23秒の設定タイムに対して21.050秒! と大幅にミスってマイナス20点されていたのでした。ここのミスが少なければ順位1桁は狙えたようです。

とはいえ初ペアだから仕方ないし、最初のSSでこれだけ大チョンボして13位ならむしろ立派なものでは? とポジティブシンキングに切りかえて、楽しい思い出とともに、さらに600kmほど走って小田原の自宅へ帰りました。

* * *

2日間で400kmのコースを走って、沿道のギャラリーに手を振り返した回数は、数えていないけれど3桁にのぼったと思います。美しい風景だけでなく、地元の人々との交流がこれほど濃厚に楽しめるのが、ツール・ド・みちのくの大きな特色。実行委員会の皆さんのクルマと郷土への深い愛情がなければできないことでしょう。本当にありがとうございました! できれば次回もまた参加して、あわよくばさらなる上位を目指したいと思うのでした。

■ツール・ド・みちのく https://tourdemichinoku.jp

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