いつものドライブルートがまったく違うものに!
屋根を持たない、または屋根の開閉ができるオープンカー。
屋根の開閉でひと苦労! せっかくのオープンカーなのに開ける気がおきないクルマ3選
「カッコいい」、「いつか乗ってみたい」、といった憧れは抱いていたものの、いままで一度もオープンカーに屋根を開けた状態で乗ったことがなかった(一度ホンダS660に乗る機会には恵まれたものの、土砂降りでオープンにすることができなかった)。
「屋根を開けて走ることができる」ということを物理的には理解しているが、実際に運転するとどのような感覚なのだろうか? また寒さや風の巻き込み、騒音などのデメリットを苦痛に参じることはないのだろうか? いつかオープンカーの全貌を身を持って確かめたいと思いながら、そのチャンスに巡り合えず、WEB CARTOP編集部で過ごすこと早3年。
先日、とあるWEB CARTOPの企画のために、複数台のクルマを借りることになったのだが、なんとそのなかの1台がマツダ・ロードスターRFに決定。ロードスターRFは2015年に現行型(ND)が登場してから約1年半後に追加されたモデルである。ロードスターがソフトトップなのに対して、ロードスターRFはハードトップだ。
もちろんジャーナリストによる試乗がメインなのだが、編集部員も取材への道中や撮影の際に乗ることができる。そこで私、編集部・乾がロードスターRFを移動させる役割を買って出て、オープンカーを堪能。オープンカーを所有するとどんな生活が待っているのかを体験してみた。
低い重心高に滑らかなボディラインが美しいロードスターRF。ドライビングポジションを合わせると、まるでシートやコックピットに包まれるような感覚だ。エンジンを始動させると、「ウォン」というスポーツカーらしいエキゾーストに胸が高鳴る。6速MTをラインアップするのもマニュアル好きの私にとっては嬉しいポイント。
そして念願の屋根をオープン! ロードスターRFはスイッチひとつで屋根を電動開閉することができる。自動で屋根が開く様はさながらガンダムの変形のようで、そのカッコよさに心酔。つい「おぉ~」という感嘆の声が漏れてしまった。
ちなみにロードスターRFの屋根をフルオープンにするためにかかる時間は13秒。これは電動開閉のハードトップをもつオープンカーとしては世界最速だ。だが、普段さまざまなクルマに乗るなかで、スライドドアの開閉や電動シート調整にかかる時間をじれったく感じてしまい、このあたりはアナログを好む私。屋根をの開閉も億劫になってしまうのではと懸念していたが、開閉時のクルマの動きのカッコよさや、オープンカーに乗っているという満足感からか、この13秒間を退屈に感じることは1度もなかった。
ロードスターRFへ「初めまして」の気持ちを込めて、そっとクラッチを繋ぎ一般道を走り出す。ダイレクトに感じる風や太陽の光、空の青さ。鳥のさえずりや街ゆく人の声が聞こえる。またクルマから発せられる音を愛する「音フェチ」の私には、エンジン音や排気音、変速時の音がよく聞こえるのもたまらない。ひとりでのドライブだが、開放感や外界との一体感からか、いつもより孤独さも少ないように感じた。そしてロードスターRFの軽快さも相まって、たとえ低速であっても気持ちよく走ることができた。
このような状況のなかで、音楽観賞は可能か? ロードスターRFに搭載されるアップルカープレイでお気に入りの音楽をかけてみると、さすがにいつもよりは音量を上げる必要があったものの、しっかりと耳に届き、ますます気分は上々だ。
またこの日は快晴。気温は15度ほどの日中に移動したため、エアコンを入れ、春の装いでドライブをすることができた。
しばらく走っていると、対向車線にNCロードスターを発見。「先代もいいなぁ」などと思いながら見ていると、なんとドライバーのお兄さんが手を挙げて私に挨拶してくれているではないか! 嬉しさと驚き、そして借りモノなんですスミマセン……という気持ちから、深々と頭を下げた。同じ車種に乗る人と挨拶をかわすなんて初めての体験。ほっこりした気持ちになった。オープンカーオーナーは人柄もオープンなのだろうか?
いつものドライブルートであるにもかかわらず、走り慣れた道がまったく違うものに感じた。もはやこれは異世界転生だ。車内にいながら外の空気が感じられるオープンカーは、コロナ禍で外出しにくい今の状況にもぴったりといえるだろう。
贅沢なドライビング体験により心にも余裕が生まれた
続いて高速に乗ると、さらに風が強まり、今まで味わったことのない爽快感。クルマのスピードを風によって感じることができるこの感覚は、ほかのクルマにはない魅力だろう。さすがに一般道走行時と比べると室内に入ってくる音は大きいものの、すぐに慣れ、楽しさが上まわるレベルだ。
高速での風の巻き込みは正直、覚悟していたのだが、不快感がかなり少ないことに驚いた。これはロードスターRFをオープンにした際のリヤルーフがボディに残る形状や、乗員の耳元に近いBピラー周辺の風の巻き込みを低減させるマツダの技術によるところも大きいのだろう。髪がほとんど乱れなかったのも、女性にはとくに嬉しいポイント。それでいながら、風を受ける気持ちよさはしっかりと残されているのだ。
また山間部での撮影を終え、気温が10度を下まわると肌寒さを感じたものの、エアコンに加え、ロードスターRFにはシートヒーターもついているため、これらをオンにし、上に一枚羽織れば快適に走行することができた。
総じて、オープンカーに乗っていると、時間がゆっくりと流れるように感じた。忙しさから解放され、休暇をリゾート地で過ごしているようなイメージだろうか。どこか運転しなくてはいけない、仕事をしなくてはいけないといった「義務感」から解放され、心に余裕が生まれるのだ。
それは走行時だけではない。撮影チームとSAで待ち合わせをしたのだが、集合時間の1時間半前に到着してしまった私。オープンにして駐車場内の木陰で待っている時間さえも優雅なものとなった。
SAの屋台で「揚げニョッキ」なるものを見つけ、つい購入。これからジャーナリストが運転するにもかかわらず車内で食べてしまったのだが、オープンにしていたため臭いがこもらず、ドライバーチェンジ後も叱られることはなかった。思わぬところでもオープンカーの恩恵を受けたのだった。
五感でクルマを楽しむことができ、非日常へと連れ出してくれるオープンカーの魅力にすっかり取り憑かれてしまった私。定員や積載性など実用面で劣る点はあるが、それ以上にオープンカーでしか味わえない至福があった。
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みんなのコメント
なんか、ほんわかしてきました♪
これに懲りずにまたなんか書いてくださいね!
個人的にはソフトトップのMTが良かった。
試乗程度しかしてないけど、人気あるのもわかる。