日産のコンパクトSUV「キャシュカイ」が搭載する新しいe-POWERユニットについて、世良耕太が徹底解説!
発電能力アップ!
日産自動車はヨーロッパで販売するキャシュカイに今夏、e-POWER搭載車を追加すると発表した。コンパクトSUVのキャシュカイは「デュアリス」の車名で日本でも2007年から2014年まで販売されていたが、2代目に移行する際に国内での販売は終了。現在ヨーロッパで販売されているのは2021年に登場した3代目で、1.3リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンと6速MT、もしくはCVTの組み合わせから選択できる。
ちなみにこの1.3リッターエンジンは、日産とアライアンスを組むルノーが、メルセデス・ベンツと共同で開発したエンジンだ。ルノーでは「ルーテシア」(本国名クリオ)や「キャプチャー」など、メルセデスは「Aクラス」や「Bクラス」が搭載する。「デルタ・シリンダーヘッド」と呼ぶユニークな構造のシリンダーヘッドを備えているのが特徴だ。
日産は、自分たちが開発したシリーズ方式のハイブリッドシステムをe-POWER(イー・パワー)と呼んでいる。エンジンは発電に徹するのがシリーズ方式の特徴。エンジンは発電用モーターをまわすことに徹している。そうして作り出した電気をいったんリチウムイオンバッテリーに溜め、その電気でモーターを駆動して走る。発電時にエンジンが発生する音はするものの、走りのフィーリングは電気自動車そのものだ。それゆえ、「充電の要らない電気自動車」と、表現されることもある。
2021年に新型へ移行した日産「ノート」は、新世代のe-POWERを搭載する。1.2リッター3気筒自然吸気エンジンを発電専用に使う点に変わりはないが(部分的な改良は施している)、バッテリーの直流電流とモーターの交流電流を変換するインバーターやモーターは新設計だ。走行用モーターの最高出力は85kW(116ps)である。プレミアムな仕様の「ノート・オーラ」は100kW(136ps)まで最高出力を引き上げている。
おなじe-POWERでも、キャシュカイが搭載するシステムは中身が違う。欧州日産は“アップグレード”と、表現しているが、旅客機ならエコノミーからビジネスにアップグレードしたくらい内容が異なる。エンジンは新開発の1.5リッター直列3気筒ガソリンターボを搭載。ノートの1.2リッター3気筒自然吸気が60kW(82ps)の最高出力を発生するのに対し、キャシュカイの1.5リッター3気筒ターボは116kW(156ps)の最高出力を発生する。
出力は倍近く、それだけキャシュカイのほうが発電能力は高いということだ。走行用モーターの最高出力は140kW(188hp)に達する。つまり、キャシュカイは日本で流通しているe-POWERよりパワフルなシステムを搭載しているのだ。
キャシュカイのボディサイズは全長4425mm、全幅1838mmで、ノートより全長で300mm以上、全幅で100mm以上大きい。サイズの違いに比例して車両重量も大きいはずで、キャシュカイには車格に応じたパワーユニットが与えられたと見ることもできる。
日本導入の可能性は?
それより影響が大きいのは、“使われ方”だろう。ヨーロッパは日本に比べ、日常走行域の速度域が高い。イギリスの幹線道路の制限速度は時速60マイル(約96km/h)、高速道路は時速70マイル(約112km/h)だ。フランスの高速道路の制限速度は130km/hである。こういう環境でストレスなくキビキビ走ろうと思ったら、それなりのパワーが要る。
モーターで走るんだからエンジンのパワーは関係ないじゃないか? と、思うかもしれないが、e-POWERは電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車と違ってバッテリーをたくさん積んでいない。そのため、バッテリー出力では足りないシーンが多く、エンジンを始動して発電し、電気的な出力を補う必要がある。大きな出力のモーターを存分に生かそうと思ったら、大きな出力のエンジンが必要なのだ。
そのエンジンであるが、キャシュカイが搭載するe-POWERの1.5リッター3気筒ターボエンジンを日産では「VCターボ」と呼んでおり、可変圧縮比機構を備えているのが特徴だ。特殊なリンク機構により、圧縮比を8.0から14.0まで連続可変で切り換えられるメカニズムを持っている。出力を出すときは圧縮比を低い側、燃費を重視するときは圧縮比を高い側に制御できるのがVCターボの最大のメリットだ。e-POWERとの組み合わせでは特殊なリンク機構によってピストンがゆっくり動くことを利用して効率向上と損失低減を図り、燃費に特化した使い方をしている。
やはり特殊なリンク機構のおかげでピストンの横方向のぶれが抑えられるため、振動面でも有利なのがVCターボの特徴だ。自然吸気エンジンを組み合わせた既存のe-POWERでは高速で連続走行する場合、エンジンを高回転でまわさないと発電量が追い付かない。一方、VCターボは過給圧を制御することで、低回転で大きな出力を発生させることができる。そのため、高速連続走行でノイズレベルを低く抑えることが可能。常用スピードが高いヨーロッパでは、この点が歓迎されるはずだ。
気になるのは日本導入の可能性である。「マイクラ」といいキャシュカイといい、ヨーロッパにはスタイリッシュで魅力的なモデルがあるのに、日本には入ってこない。生産や法規、あるいはマーケティング上など複合的な理由があるのだろう。個人的には、気になる1台ではあるのだが……。
1.5リッター3気筒ターボを組み合わせた高出力版e-POWERはキャシュカイ専用とするにはもったいなく、ほかのモデルへの展開も視野に入っているはず。エンジンの実力からすればもっと大きな車体もカバーできるに違いなく、国内販売モデルの次のモデルチェンジで……という展開に期待したい。
文・世良耕太
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みんなのコメント
一体何がどうなって躊躇してるのか全く理解不能
キャシュカイの方が日本で売れると思うが