現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ガヤルドにアヴェンタドール、ウルス ランボルギーニを牽引した男:マウリツィオ・レッジャーニ(2)

ここから本文です

ガヤルドにアヴェンタドール、ウルス ランボルギーニを牽引した男:マウリツィオ・レッジャーニ(2)

掲載
ガヤルドにアヴェンタドール、ウルス ランボルギーニを牽引した男:マウリツィオ・レッジャーニ(2)

ガヤルドからアヴェンタドールへ

1998年にフォルクスワーゲン・グループへ加わったランボルギーニには、ムルシエラゴを開発するための予算が充てがわれた。若きデザイナー、ルク・ドンカーヴォルケ氏の精悍なスタイリングをまとい、2001年に販売が始まった。

【画像】ランボルギーニを牽引した男:マウリツィオ・レッジャーニ氏 キャリアで関わったモデル群 最新レヴエルトも 全211枚

一方で、アウディによる買収のきっかけを作った、ジュニア・ランボルギーニの計画は中止。V型10気筒エンジンを新しく設計し、それを搭載するモデルの開発が始まった。

マウリツィオ・レッジャーニ氏が振り返る。「それがピエヒでした。彼は、ランボルギーニには量産エンジンを搭載できないと考えていました」。とはいえ、コストを抑えるため、ガヤルドにはフォルクスワーゲン・グループの部品が少なからず利用された。

2003年の発売からガヤルドは好調に売れ、2012年に生産が終了するまでに、約1万4000台がラインオフ。ランボルギーニがそれまでに生産したすべての台数の、半分以上を占めた。

レッジャーニが最も誇りに感じているモデルが、ムルシエラゴの後継モデル、2011年のアヴェンタドールだ。先進的な技術を数多く盛り込んだ、傑作スーパーカーの1つといえる。彼が最高技術責任者へ就任し、初めて監督したモデルでもある。

「ムルシエラゴのパーツやアイデアを引き継ぐ、安全で簡単な道もありました。しかし、アヴェンタドールは先駆者。イノベーションといえます」

当初の想定の2倍以上が売れる大ヒット

「カーボン製のモノコックに、最高のパッケージングを叶えるプッシュロッド式サスペンションを採用しました。トランスミッションには、2枚のギアを同時に動かし変速時間を短縮する、ISR(インディペンデント・シフティング・ロッド)も組み込んでいます」

「デュアルクラッチ式も選択できましたが、我々の希望より重すぎたといえます。このトランスミッションを取締役会で提案した時、リスクが多すぎるという反応だったことは、今でも忘れません」。とレッジャーニが回想する。

最終的に彼の提案は認められ、アヴェンタドールは2022年までに1万1400台をラインオフ。当初の想定の2倍以上が売れるという、大ヒットのスーパーカーになった。

究極進化系のアヴェンタドール SVJは、2018年にニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで量産車最速のラップタイムを記録する。その速さへ貢献したのが、ALA(エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ)と呼ばれるアクティブ・エアロだ。

「開発チームがALAの能力を証明するべく、わたしへテスト結果を見せた時は印象的でした。これはでたらめでしょう。不可能ですよ。と答えてしまったほどです」

LDVIを実装したウラカン SUVのウルス

2014年にガヤルドの後を継いだウラカンは、プラットフォームやドライブトレインなどを、2世代目アウディR8と共有。新たな挑戦といえたが、ランボルギーニに望ましい動力性能を提供する限りファンは気に留めないと、レッジャーニは確信を持っていた。

だが、当初のウラカンはドライバーとの一体感が乏しかった。それを受け、先進的なLDVI (ランボルギーニ・ディナミカ・ヴィーコロ・インテグラータ)という電子制御システムの実装など、大幅なアップデートが繰り返し行われた。

「初期のウラカンは、プッシュしてドリフトへ持ち込んでも、シャシーが積極的に修正する傾向がありました。ですがLDVIの採用で、計算能力が向上。介入が大幅に高速化しています」

「ドライバーは、ソフトウェアの介入へ気づくべきではありません。ドライバーをとがめるものではなく、助けてくれるものであるべきです」。レッジャーニが説明する。

そして、彼が最後に仕上げたのがランボルギーニ・ウルス。他の高性能ブランドの動向と同じく、ランボルギーニがSUVを開発するという決断は、物議を醸した。しかし、市場の支持は間違いなく高いものだった。

ウルスは、ポルシェ・カイエンやベントレー・ベンテイガ、アウディQ7、Q8と同じプラットフォームを採用。技術的には密接な関係にあるが、ランボルギーニらしい特長を与えるため、多くの努力が投じられている。

単純な足し算的アプローチは利用できない

「同じ部分へ注目が向きがちですが、重要なのはどこが違うのか、という点です。最大の課題だった1つが、DNAへ必要な変更を加えるため、プラットフォームの設計変更を認めてもらうことでした」

「着座位置を下げるだけでも、簡単ではありませんでした。カーボンセラミック・ブレーキが必要だと伝えると、またひと悶着。他ブランドは、必要としていませんでしたから」

「最高速度を295km/hへ落とし、不要にはできないのか、と確認されたのを覚えています。305km/hが必要だと答えましたよ!」

レッジャーニは、最新モデルのレヴエルトの開発初期へ関わった後、2022年にランボルギーニのモータースポーツ部門へ異動。その責任者を務めた。つまり、ル・マン・ハイパーカー、LMDhの開発指揮を執ることを意味した。

しかし完成を見ずして、2023年末に彼は引退する。華やかなキャリアへ区切りをつけ、余生を楽しむ時間が始まる。

数多くの高性能モデルへ関わった彼だが、哲学の中心は工学的な考えにある。「一般的に自動車産業は、スカラー的な全体量の特性が働きます。何かを加えることで、より良いものが生まれる。1+1+1は3になるんです」

「しかし、わたしがいつもお話しているのは、スーパースポーツカーの場合はベクトル的な結果になること。正しい向きでなければ、成果が2になることもあれば、1やマイナスになることもあります」

「その問いは、体験が向上するかどうか。単純な足し算的アプローチは、利用できないのです」

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

バスがズラ リ並ぶ「壮観すぎる光景」今年も再び!? ピーク時は“1時間あたり50便”運行へ 人気の航空祭輸送で
バスがズラ リ並ぶ「壮観すぎる光景」今年も再び!? ピーク時は“1時間あたり50便”運行へ 人気の航空祭輸送で
乗りものニュース
なぜか自販機になると買いたくなる不思議! 24時間365日買えるソフト99の「洗車用品自販機」が便利な上にファンキー!!
なぜか自販機になると買いたくなる不思議! 24時間365日買えるソフト99の「洗車用品自販機」が便利な上にファンキー!!
WEB CARTOP
F1ラスベガスFP1速報|ルイス・ハミルトンがトップタイム記録。角田裕毅は19番手
F1ラスベガスFP1速報|ルイス・ハミルトンがトップタイム記録。角田裕毅は19番手
motorsport.com 日本版
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
レスポンス
藤原とうふ店がWRCラリージャパン参戦!? WRC2グリアジン、愛する『頭文字D』フルカラーリングは「僕の夢だった」
藤原とうふ店がWRCラリージャパン参戦!? WRC2グリアジン、愛する『頭文字D』フルカラーリングは「僕の夢だった」
motorsport.com 日本版
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
くるまのニュース
角田裕毅のマシンが“グリッター”カラーに。RB、ラスベガスGP用スペシャル・リバリーを発表
角田裕毅のマシンが“グリッター”カラーに。RB、ラスベガスGP用スペシャル・リバリーを発表
AUTOSPORT web
フォルクスワーゲン「ティグアン」発売! 3代目に進化した全長4.5mの“VWで一番売れている”SUVはどう進化?
フォルクスワーゲン「ティグアン」発売! 3代目に進化した全長4.5mの“VWで一番売れている”SUVはどう進化?
VAGUE
台湾では「輪行」不要!? 国鉄で広がる自転車の旅はちょっと不思議な感覚
台湾では「輪行」不要!? 国鉄で広がる自転車の旅はちょっと不思議な感覚
バイクのニュース
カーメイト、改良版サイクルアタッチメント、釣り竿収納ホルダーの新製品が発売!
カーメイト、改良版サイクルアタッチメント、釣り竿収納ホルダーの新製品が発売!
レスポンス
美しい! 速そう!! カッコいい!!! 幻の日産フラッグシップ「Q80インスピレーション」市販可能性
美しい! 速そう!! カッコいい!!! 幻の日産フラッグシップ「Q80インスピレーション」市販可能性
ベストカーWeb
めっちゃカッコいいぞ!?? スズキ新型SUVをトヨタへ供給&日本導入ってマジか
めっちゃカッコいいぞ!?? スズキ新型SUVをトヨタへ供給&日本導入ってマジか
ベストカーWeb
【SHOEI】システムヘルメット「NEOTEC 3」に新グラフィックモデルの「ANTHEM(アンセム)」が設定された!   
【SHOEI】システムヘルメット「NEOTEC 3」に新グラフィックモデルの「ANTHEM(アンセム)」が設定された!   
モーサイ
軽快スポーツフルフェイス「Z-8」シリーズに新グラフィック「YAGYO」が追加!パーツ怪異イラストがかわいい!  
軽快スポーツフルフェイス「Z-8」シリーズに新グラフィック「YAGYO」が追加!パーツ怪異イラストがかわいい!  
モーサイ
「青の位置が矢印の信号機」ってなんだ? 更新で消えゆく超激レアモデルだった! 【信号機マニア・丹羽拳士朗の偏愛日記 #1】
「青の位置が矢印の信号機」ってなんだ? 更新で消えゆく超激レアモデルだった! 【信号機マニア・丹羽拳士朗の偏愛日記 #1】
くるくら
光岡自動車、シビックベースの「M55ゼロエディション」発売 イメージは1970年代 6速MTのみ 808万円
光岡自動車、シビックベースの「M55ゼロエディション」発売 イメージは1970年代 6速MTのみ 808万円
日刊自動車新聞
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
くるまのニュース
【ドライブグルメ】中央自動車道・双葉SA(上り)のオススメ テイクアウトは、ユニークな総菜パンと定番のアップルパイ
【ドライブグルメ】中央自動車道・双葉SA(上り)のオススメ テイクアウトは、ユニークな総菜パンと定番のアップルパイ
Webモーターマガジン

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

5567.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2950.09680.0万円

中古車を検索
アヴェンタドールの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

5567.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2950.09680.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村