この記事をまとめると
■インドネシア国際モーターショー2024ではBYDやスズキが新型車種の販売価格を発表した
日本に入れば「軽自動車」の脅威となる可能性も! いま韓国で増加中の「軽車=キョンチャ」とは
■近年アジアや欧米でも新型車の発表と発売をずらす傾向が見受けられる
■新型車の発表を販売促進にも繋げようとする意気込みを感じた
モーターショーで大々的に価格を発表!
インドネシアだけではなく、中国やタイなどアジア地域の自動車ショーでのプレスカンファレンスのハイライトのひとつに、正式発売となったモデルの価格を大々的に発表することがある。中国の自動車ショーでは、かなり大々的にプレスカンファレンスで価格発表するのは恒例行事に近い。もちろん、タイの自動車ショーでも同じような傾向が見受けられる。中国では北京や上海、広州など“エリアごと”に新型車を発表することもあった。
2024年2月にインドネシアの首都ジャカルタで開催された、IIMS2024(インドネシア国際モーターショー2024)でも、スズキ・ジムニー5ドアの価格や、BYDアット3、ドルフィン、シールの価格を一斉発表していた。
ジムニー5ドアについては、すでにインドネシア国内でも日本製となる3ドア(日本でいうところのシエラ)が輸入販売されており、インド製となる5ドアの価格が3ドアよりどれぐらい高くなるのかに地元メディアも注目していた。発表された価格をみると、3ドアよりは価格アップしているものの、その差はかなり“微妙”なものとなっている。
日本でも消費者が輸入車の原産国にこだわる傾向は強いのだが、インドネシアでは原産国うんぬんではなく、東南アジアでの重要自動車生産拠点、そして東南アジアにおける大国としてのプライドから、インドをかなり意識しているとのこと(インドも大国だが、自動車生産ではインドはまだまだインドネシアに追いついていないと考えている人が多いようだ)。その辺りの消費者意識もあり、思い切った価格設定ができなかったといった話も聞いている。
BYDのアット3は日本円で約500万円なので、日本やタイよりは若干高めの価格となっているが、「スーペリア」という1グレードのみとなっており、今後は普及価格帯のグレードが設定されるかもしれない。
二度の大きなアピール機会を設けられる
最近日本でもホンダが新型車の発表と正式発売をずらすことが多いが、アジア系のみならず、欧米でも新型車の発表と正式発売のタイミングをずらすことは一般的だと感じている。
諸外国ではイヤーモデル制を採用していることが多い。たとえば年初に自動車ショーで新型を発表したとする。すると2024年ならば「2025年モデル」として発表され、2024年秋ごろから“早出し扱い”として正式発売されることになるケースが多い。「一粒で二度おいしい」ではないが、ひとつの新型車で2回“新登場”のようなフレーズで販売促進することができるというメリットがある。もちろん、発表と発売が同時で価格も同時発表されるケースもある。
前述したホンダの場合では、発表段階で予約受注をスタートさせ、正式発売日より正式受注を開始している。たとえば2023年12月に発表されたWR-Vは、2024年3月末に正式発売となっている。
逆にトヨタは、人気の高い高額車については転売目当ての発注などが目立つことによる混乱を避ける意味もあり、「転売ヤー」のターゲットになりそうな車種に関しては、発売前の予約受注を行わず、販売現場にも発売日すら教えない厳重管理のもと、正式発表日から一斉に受注をしている。
新型車投入というビッグイベントを最大限販売促進に活用しようという“意気込み”のようなものを、アジアの自動車ショーでの価格発表に感じてしまう。
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