1991年5月に誕生し、1996年12月まで販売されたホンダビート。現行モデル、S660につながる軽ミドシップ2シーターオープンカーだ。生産を終了してから23年以上が経ち、S660が登場してからも、多くの人に愛され続けており、熱冷めやらぬという状況が続いている。
驚くべきことに、生産台数の約6割にあたる1万9759台(2016年末)が現存しているといわれる(通常のモデルでは量産終了から20年後の車両残存率は10%未満程度)。
おぉ、マジか!! 名車CB400SFがSR400に続き生産終了の危機に
760kgと軽量で、パワーウェイトレシオは11.88kg/ps。トランスミッションは5速MTのみ、パワーステアリングは装備されないという、なんともストイックなクルマだった。こうした点がかえってビートの魅力としてヒットした。
旧・軽自動車規格による狭い運転席に苦労して乗り込むとドライビングポジションの低さに驚く。そしてアクセルを踏み込むと8500rpmのレッドゾーンまで気持ちよく回るNAエンジンに感動! ちなみにビートの後継モデルともいえるS660はターボエンジンとなる。
こうした魅力から、発売後30年近くが経過した今でも根強いファンが多くいる。ここで改めてホンダ ビートは今いくらで買えるのか、中古車事情に詳しい伊達軍曹が解説する。
文/伊達軍曹、写真/ホンダ
【画像ギャラリー】当時のホンダの本気度がひしひしと伝わってくるビートの画像はこちら!
■軽のミドシップオープン、ビートの魅力とは?
ミドシップのフルオープンモノコックボディを採用。軽自動車初の4輪ディスクブレーキも装備した
「小気味よいクルマ」というのは世の中にたくさんある。だが「小気味よく走る、きわめて小さなクルマ」というのは希少であり、その希少なクルマのひとつが「ホンダビート」だ。
ホンダビートは1991年から1996年まで販売された、専用設計のミドシップレイアウトを採用したピュアスポーツ。
搭載エンジンは直列3気筒自然吸気のE07A型で、自然吸気の軽自動車用エンジンとしては唯一、自主規制値であった64psをマークしたユニット。しかもその最高出力は8100rpmというきわめて高い回転域で発生する。
トランスミッションは5MTのみ。数を売ろうと考えたなら、「AT仕様」の追加は必須だったかもしれない。だが当時のホンダはあえてそこに背を向け、ビートというクルマに「本格スポーツ」の道を歩ませたのだ。
オープン走行時に後方から聞こえてくるエンジンサウンドが気持ちよかった
さらにビートのエンジンには、当時のホンダのF1テクノロジーも注入された。
世界初のミドシップ・フルオープン・モノコックボディの軽自動車として、ターボチャージャーなどの過給器に頼ることなく、ナチュラルで鋭いレスポンスを実現させたい。そしてコンパクトスポーツとしての魅力を損なわないよう、エンジンのサイズ自体を小型かつ軽量なものとしたい。
そういった課題を解決するために選択されたのが、ホンダのF1テクノロジーを応用したハイレスポンス・エンジンコントロールシステム「MTREC(Multi Throttle Responsive Engine Control system)」を、軽自動車のエンジンに組み込むという大胆な策だった。
またこのほかにもさまざまなマニアック系技術がふんだんに投入されたことで、ホンダ ビートの「伝説の超高回転型自然吸気エンジン」は完成したのだ。
その後、残念ながら1996年には生産終了となったホンダビートだが、一部の専門店がマニアックなレストア(補修)とメンテナンスを行っているビートの中古車は今、おいくら万円でどのようなモノが買えるのだろうか?
■現在の中古車流通台数は約150台
中古車のオープンカーとなると幌の劣化具合も注意したいところだ
ホンダ ビートの中古車情報はこちら!(リンク先)
まずはマーケット概況から見てみよう。2021年3月現在、大手中古車情報サイトに掲載されているビートの物件数は『グーネット』が128台で、『カーセンサーnet』が138台。
このほかに「グーにもカーセンサーにも載せていない」という販売店もごく一部にありそうなので、現在の総流通台数は「150台ぐらい」といったところか。
モデル全体の相場は最安値が約30万円で、最高値が約240万円。この間に100台以上のビートが遍在しているわけだが、一応「価格帯ごと」と「走行距離ごと」、そして「年式ごと」の数を見てみよう。(※下記は掲載台数の多いカーセンサーnetの情報を参照した)
トランスミッションは5速MTのみ。回転計のレッドゾーンは8500rpm
【価格帯別】
●0~49.9万円|23台
●50万~99.9万円|75台
●100万~149.9万円|24台
●150万~199.9万円|7台
●200万円~|3台
●価格応談|6台
圧倒的に多いのが「50万~99.9万円」、つまり二桁万円後半のゾーン。この中での「ボリュームゾーン」というのは特になく、50万円から99.9万円の間で見事にバラけている状態だ。
【走行距離別】
●1万km未満|2台
●1万km台|2台
●2万~3万km台|14台
●4万~5万km台|20台
●6万~7万km台|23台
●8万~9万km台|23台
●10万~14.9万km|35台
●15万km~|12台
●不明|7台
最多となるのは10万~14.9万kmのゾーンだが、セカンドカーとして使われる場合も多いクルマゆえか、走行距離が比較的短い中古車も意外と多い。ちなみに「1万km未満」の2台の車両価格は200万円オーバーまたは「価格応談」である。
【年式別】
●1991年式|86台
●1992年式|31台
●1993年式|14台
●1994年式|5台
●1996年式|1台
●2001年式|1台(←入力ミスか、登録が遅かったか?)
ドライビングポジションの低さもビートの特徴。オープンカーなので、シート表皮のデザインにも遊び心が感じられる
登場初年度にあたる1991年式が圧倒的に多く、登場翌年の1992年式と合わせると全体の8割以上に達している。
以上の流通状況から勘案すると、結論としては「流通量的にいちばん多い50万~99.9万円のゾーンで、ほどほどの走行距離=6万~8万kmぐらいの個体を探せばいい」ということになりそうではあるのだが――世の中それほどシンプルではない。
■専門店に聞いた最近のホンダ ビート中古車概況
エンジンをシート後部に搭載する、ミドシップレイアウトを採用。ハイレスポンス・エンジンコントロールシステムなどの技術によって、メーカー自主規制枠いっぱいの64psを発生
専門店筋の話を総合したところによれば、近ごろの「実態」はおおむね下記のような感じであるらしいのだ。
●多くの人が車両価格60万~80万円ぐらいの線で中古ビートを探し、非専門店にて、だいたいそのぐらいの価格で購入する。
●だが納車から3カ月もすると「……なんかヘンだな?」という状態に陥り、専門店に点検を依頼しにくる。
●そこで専門店が見てみると、ほぼすべての部位がボロボロで、シリンダーヘッドのガスケットも抜けてしまっている場合が多い。
●それを普通に乗れる状態に修理するとなると、150万円から200万円ぐらいは余裕でかかる。
……こうなると、直すにしても(最初の車両価格60万~80万円と合わせて)かなりのカネが必要となってしまい、なおかつ、専門店というのは「自分の店で買ってくれたお客のクルマの修理が優先」である場合がほとんど。
つまり、ちゃんとした状態になるまで「長いこと待たなければならない」ということにもなってしまうのだ。
これは何も一見客に意地悪をしたいわけではなく、「限られたマンパワーゆえ、優先順位を付けざるを得ない=自分のところのお客を優先するほかない」ということである。
こんなハメになってしまう可能性が高いのであれば、「最初からちゃんとしてる個体を買う」ほうが話は何倍もスムーズであり、かつコストも結局は抑えることができる。
■ちゃんとしている中古ビートの価格帯は?
30年前のクルマということで、特定の部分に限らずあらゆるところに修理が必要なことも…
で、結論として「ちゃんとしている中古ビート」の車両価格は――中古車のコンディションというのは価格や走行距離などの「数字」だけで判断できるものではないため、あくまで目安だが――ズバリ「100万円以上」といったところだ。
車両100万円以上のゾーンの中で整備履歴がなるべく良好な個体を探し、そのうえで納車前整備もビシッと行う。そして「走行距離の長短は気にせず、あくまで“質と履歴重視”で探す」というのが、中古ビートを買ううえでの基本的な必勝法だ。
もちろんこれは「基本的な必勝法」でしかないため、腕と知識に自信がある人が格安な個体を購入し、自分でパーツを集めながらコツコツ直していく――というやり方を否定するものではない。コツコツ系D.I.Y.がお好きな方は、どんなモノであっても「気に入ったやつ」を買えばそれでいい。
だが、そういった作業(部品集めや交換作業など)を自分でする気はないのだとしたら、「ある程度のお金を出して“いいモノ”を買い、それにさらに整備を施す」という以外の必勝法はない。
ソフトトップ自体の部品代は6万円ほど。そのほかにゴム製のモールが別途必要で、さらにポン付けはできないため、いろいろな調整作業が必要で、その分の工賃もかかってくる
ホンダ ビートに限らずこういった年代のクルマでは「自分のサイフの都合にクルマを合わせる」のではなく、「クルマの都合に、自分のサイフを合わせていく」しかないのである。
またこういった記事を書く際にはほぼ必ず「で、そのクルマのウイークポイントは?」的なことを尋ねられるが、「そんなものはない」というのが答えである。
いや、もっと正確に言うなら「このぐらいの年式になると、“どこ”というよりも“ほぼすべての部位”がウイークポイントですよ!」ということにしかならないのだ。
まぁそれでもわかりやすいポイントをあえて挙げるとしたら、ソフトトップであろうか。これは使っているうちにほぼ必ずダメになる部分であり、その部品代は約6万円。ただし部品代のほかに細かな調整作業も必要となるため、工賃込みの価格は10万円を普通に超えてくる。
ただしビートというのは最初に「いい個体」を選び、それにケチらずビシッとした納車前整備を施してやれば、その後はそう簡単に壊れるものでもなく、部品代も決して高額ではない。またホンダがビート用の純正部品(の一部)を再生産しているという事実もある。
それゆえ、いちばん最初にある程度のお金――といってもせいぜい150万から200万円ぐらい――を出すつもりがあるならば、そして「小さくて小気味のよいクルマ」が本当にお好きであるならば、ホンダ ビートという不世出の傑作スポーツの中古車は、間違いなく「買い」である。
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