現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 特徴ないのがいい!? 奥さま需要を満たしたから? 最後発ノア/ヴォクシー天下獲りのなぜ

ここから本文です

特徴ないのがいい!? 奥さま需要を満たしたから? 最後発ノア/ヴォクシー天下獲りのなぜ

掲載 19
特徴ないのがいい!?  奥さま需要を満たしたから? 最後発ノア/ヴォクシー天下獲りのなぜ

 今やファミリーカーの定番ともいえるミドルサイズミニバン。セレナにステップワゴン、そしてノア/ヴォクシーとどれも超人気モデルである。

 振り返ってみるとノア/ヴォクシーは2001年デビューと、1990年代前半から存在したライバルに比べると超後発であった。だが、今やノア/ヴォクシーはこのカテゴリの代名詞的存在となっているのはご存じの通り。一体なんでノア/ヴォクシーは先輩たちに勝てたのか!?

特徴ないのがいい!? 奥さま需要を満たしたから? 最後発ノア/ヴォクシー天下獲りのなぜ

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA、NISSAN、HONDA、ベストカー編集部

■ライバルのネガを研究!! 最後発の初代ノア/ヴォクの完成度はピカイチだった

タウンエースノアという商用1BOXの派生モデルとして誕生した初代トヨタ ノア。ライバルたちの長所を取り入れ短所を捨てたという強みがあった

 人気のミドルサイズミニバンたちには祖先がいる。ノアはタウンエースノア、セレナはバネットセレナという、商用1BOXの派生モデルだった。キャブオーバーやセミキャブオーバーのレイアウト、駆動方式はFR、現在の乗用ミニバンとは大きく構造が違う。

 この時代に、ボンネットタイプのFF車として登場したのがステップワゴンだ。1996年に登場したステップワゴンは、キャブオーバースタイルから脱却し、キャビンとエンジンルームをしっかりと分けた。

 これによりセダンやステーションワゴンといった、一般的な乗用車と同じような床面の低さを実現し、圧倒的な室内高を確保することができたのである。

 この画期的なパッケージングを参考にして、1999年に登場したのが2代目セレナである。今では当たり前の装備での、両側スライドドアを初めて採用した乗用タイプのミニバンだ。先陣を切ったステップワゴンに、セレナがここで追いついた。

 ミドルサイズミニバンの当たり前を、ステップワゴンとセレナが構築した後、ノアとヴォクシーが2001年に登場する。FFの新プラットフォームと両側スライドドアという、ステップワゴンとセレナの良いところを両取りした。

 加えて、機能性に凝った作り込みを行い、マイナーチェンジでは両側電動スライドドア、パワーバックドアなどを取り入れている。

 先駆者の後姿を観察し、十分学んだうえで登場しているノアは、ライバルよりも二歩以上進んだ状態でデビューを迎えているのだ。

■これぞ!! って特徴がないのがイイ!? ノア/ヴォクシーの売れるワケが特殊すぎ

e-POWERやプロパイロットという日産車が誇る先進技術が魅力のひとつとなっている日産 セレナ

 セレナと言えば、e-POWERとプロパイロットが代名詞だ。先進技術を数多く盛り込み、近未来感を味わえるクルマに仕上がっている。ステップワゴンは低床であることが強みであり、この技術を生かした走行性能の高さが際立つ。低い重心から生み出される安心感は、ステップワゴンならではだ。

 では、ノア/ヴォクシーの特徴とは何か。ヴォクシーに関してはギラついたエクステリアが特徴と言えば特徴だが、ここが強みと言える部分がとても少ない。

 e-POWERの代わりになるのはトヨタが得意としてきたハイブリッド技術、プロパイロットとまではいかないが、トヨタセーフティセンスという安全装備も装着されている。ただ、これらがノア/ヴォクシーの特徴と言えるまで、突出した技術ではない(ように感じる)のだ。

 クルマ選びでは、時に突出した特徴が邪魔になることがある。特にファミリーカーでは、そつなく丸く仕上がっている方が、好意的に受け入れられることが多い。

 先駆者ではない、強い個性も無い。これこそノア/ヴォクシーが愛される理由となっているのではないだろうか。

■家庭内決裁者の意見がデカい!? 非クルマ好きに刺さるのが最大の理由か?

ホンダ ステップワゴン。走行性能の良いステップワゴンや、先進技術を盛り込んだ前出のセレナが気になるお父さんだが、ミニバンの選択権を握るのは後席を利用する家族になりがちだ

 販売現場にいると、ミニバンというクルマの特異性に気づく。セダン・ステーションワゴン・SUVなどと大きく違うのは、購入の決定権者=ドライバーではないことが多い点だ。

 一般的には、お父さんが運転することの多いクルマであれば、購入の最終決断をするのはお父さんだ。「このクルマに乗りたいけど、みんなはどう?」みたいな会話が生まれ、家族の同意を受けた上で、購入車種が決まる。

 しかし、ミドルサイズミニバンに関しては、運転する人よりも同乗する人の意見が強く反映されるのだ。具体的には母と子。この2者が積極的に車種選びをし、両者が納得すれば運転者の意見は後回しにクルマが決まっていく。

 クルマが好きなお父さんは、走りの良いステップワゴンやプロパイロットを体感できるセレナを第一希望にしているのだが、お母さんはプレーンなノア、子どもは一目見てカッコいいと反応するヴォクシーに興味を持つ。

 するとお父さんの意見は蚊帳の外となり、ノア/ヴォクシーのどちらかに決まってしまうのだ。このような商談風景を、筆者は幾度も見てきた。

 ノア/ヴォクシーが持つ、最も大きな強みは、あえて「普通」に仕上げたことだろう。前述した特徴の無さともリンクするが、こだわってこのクルマを選びましたという嫌味感が少ない。

 クルマを知らないユーザーにこそ、スマートで選びやすいクルマの受けがいい。先輩たちが個性を伸ばしていく中、特にノアは個性を隠しながら全体的な底上げに徹してきた。

 結果として、どんな人からも支持を集め、先輩たちを追い抜く存在となったのだ。

こんな記事も読まれています

ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
ハースが「文句なし」のダブル入賞。ペレスを抜き返したヒュルケンベルグが今季ベスト6位/F1第11戦
AUTOSPORT web
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
【最長/最深トンネル爆走】 ベントレー新型コンチネンタルGTスピード オープンのGTCも同時発表
AUTOCAR JAPAN
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
『ビースト』という名のスクールバス!? 90名乗車でEV航続241km、米国で納車開始
レスポンス
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
AUTOSPORT web
新型「4WDスポーツ車」初公開! レトロな「丸目」に超ハイパワー「V型8気筒エンジン」搭載! “日本専用”の特別なベントレーに衝撃の声!
新型「4WDスポーツ車」初公開! レトロな「丸目」に超ハイパワー「V型8気筒エンジン」搭載! “日本専用”の特別なベントレーに衝撃の声!
くるまのニュース
デコトラの命ともいえる電飾! LEDが台頭するもいまだ電球派もいる理由とは?
デコトラの命ともいえる電飾! LEDが台頭するもいまだ電球派もいる理由とは?
WEB CARTOP
愛車の履歴書──Vol42. 石野真子さん(後編)
愛車の履歴書──Vol42. 石野真子さん(後編)
GQ JAPAN
イクリプスがカーナビ「AVN」のLSシリーズ2024年モデルを発売
イクリプスがカーナビ「AVN」のLSシリーズ2024年モデルを発売
レスポンス
ヒョンデが近々WECハイパーカークラスに参入目指す? LMDh車両開発を準備中との噂
ヒョンデが近々WECハイパーカークラスに参入目指す? LMDh車両開発を準備中との噂
motorsport.com 日本版
気軽に「憧れのフェラーリやデロリアン」のオーナーに! 価値ある旧車を毎月一定額で共同所有「クルマ好き必見の新サービス」とは
気軽に「憧れのフェラーリやデロリアン」のオーナーに! 価値ある旧車を毎月一定額で共同所有「クルマ好き必見の新サービス」とは
VAGUE
新型「“ミニ”Gクラス」登場! 斬新“スッキリ”マスクの「3列シートSUV」! めちゃ静音な新型「EQB」発売 811万円から
新型「“ミニ”Gクラス」登場! 斬新“スッキリ”マスクの「3列シートSUV」! めちゃ静音な新型「EQB」発売 811万円から
くるまのニュース
オーロライエローが輝く、太陽がテーマの『レンジローバースポーツ』登場
オーロライエローが輝く、太陽がテーマの『レンジローバースポーツ』登場
レスポンス
ル・マン、ニュル、スパで『3週連続24時間』の2025年。超・過酷日程は「1年限りの問題」
ル・マン、ニュル、スパで『3週連続24時間』の2025年。超・過酷日程は「1年限りの問題」
AUTOSPORT web
【史上最強】ベントレー第4世代の新型コンチネンタルGTを発表
【史上最強】ベントレー第4世代の新型コンチネンタルGTを発表
driver@web
マゼピン、ウクライナ侵攻の制裁解除で久々にEU入り。ハンガリーでLMGT3車両をテスト
マゼピン、ウクライナ侵攻の制裁解除で久々にEU入り。ハンガリーでLMGT3車両をテスト
motorsport.com 日本版
ECLIPSEのカーナビゲーションシステム「LSシリーズ」に2024年モデルが登場! スムーズな操作と見やすい地図情報、キレイな映像が特長
ECLIPSEのカーナビゲーションシステム「LSシリーズ」に2024年モデルが登場! スムーズな操作と見やすい地図情報、キレイな映像が特長
くるまのニュース
今こそ知りたい!! 耐久レースを席巻したホンダの無敵艦隊「RCB1000」の使命とは?
今こそ知りたい!! 耐久レースを席巻したホンダの無敵艦隊「RCB1000」の使命とは?
バイクのニュース
ガスリーが激しいチームメイトバトルの末に10位入賞「今日のところは1ポイントでよしとする」/F1オーストリア
ガスリーが激しいチームメイトバトルの末に10位入賞「今日のところは1ポイントでよしとする」/F1オーストリア
AUTOSPORT web

みんなのコメント

19件
  • 標準装備の差で我が家はノアにしました。
    セレナも検討しましたが、何かとオプションでノアと同等の装備を求めると100万近く見積りが高かったです。
    セレナの見積りに入っていてノアの見積りには入っていない点があったのは確かですが、それでも金額差が大きいと感じました。
    2月契約で10月に納車となり、結構待たされましたが今は満足しています。
  • なんでボクシーのフロントバンパーにモンベルのマークが光ってるんですか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村