現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 知られざるニーズがあった! 高級車なのに「簡素」な廉価グレードが用意されるワケ

ここから本文です

知られざるニーズがあった! 高級車なのに「簡素」な廉価グレードが用意されるワケ

掲載 更新 6
知られざるニーズがあった! 高級車なのに「簡素」な廉価グレードが用意されるワケ

 廉価グレードがあることで上級グレードが売れるという法則

 日産のフラッグシップサルーン「フーガ」には、電動チルト&テレスコピック機能などの装備を簡略化した「Aパッケージ」なる隠れグレードが用意されている。また、キング・オブ・ミニバンといえるトヨタ・アルファードの2.5リッターガソリンエンジンには、運転席側のパワースライドドアが省かれるなど車格を考えると装備が貧弱なグレードが用意されていたりする。

エアコンも窓も手動でいいから安くして欲しいのになぜ? いま最安グレードでも各部が自動化されるワケ

 エントリーモデルであれば、こうした装備を不要と思うユーザーもいるだろうが、フーガやアルファードといった高級車を購入する層が、装備をケチって少しでも安く買いたいというマインドが強いのかといえば疑問だ。

 マーケティング用語に「極端回避の法則」というものがある。これは行動経済学において、カスタマーは一番安い商品やもっとも高額なサービスを選ぶことを敬遠する心理があるというもので、具体的には中間的な価格帯の商品が動きやすい傾向になる。そのためビジネス用語では「松竹梅の法則」などということもある。そして、竹にあたる中間価格の商品の利益率をもっとも上げておけば、自然と儲かるということもよく知られている。

 こうした心理的なマーケティングというのは自動車業界でも古くから利用されている。もっとも、大衆車では松竹梅の法則がうまく働くが、逆に高級車になるともっとも高いグレードが売れ筋になることもあり、必ずしも極端回避の法則が万能的に通用するとは限らない。

 その意味では、それぞれのカテゴリーにおいてフラッグシップであるフーガやアルファードに「松竹梅の法則」のために廉価グレードを設定する意味があるかといえば疑問もある。しかし、これらの廉価グレードは長く存在している。つまり、しっかりと市場ニーズがあるというわけだ。

 事故などの長期代車として活用されることも

 そうしたニーズのひとつとして無視できないのがレンタカーだ。レンタカーというと旅先などで借りるもの、マイカーを持たないユーザーが必要に応じて借りるものというイメージが強いかもしれないが、事故対応での代車ニーズというのも無視できない。

 とくに追突事故など0:100の事故では被害者側に、修理期間ずっと“同等の車両”を代車として提供することが求められる(加害者側が任意保険に入っている場合)。たとえば、ヤリスのオーナーが被害者になったときは、同等クラスのコンパクトカー(マーチやフィット、MAZDA2)などが提供されるし、ハイブリッドカーであれば同クラスのハイブリッドカーを提供することになる。基本的に車両のアップグレードもダウングレードもできない。

 つまり、被害者側のクルマがアルファードであれば、LLクラスのミニバンを貸し出すことになる。そうしたニーズを考えると、少しでも安く購入できるグレードがあることは、レンタカー会社にとってはメリットがあることがわかるだろう。

 ただし、グレード数が多いということは、それぞれで燃費や排ガスなどの試験を受けるコストがかかり、また製造時の作り分けによるコストもかかる。これから高齢化などにより日本の自動車市場が縮小していくといわれているなかで、細かいグレードの作り分けをすることは難しくなっている。気付いている人もいるだろうが、近年の新型車で数が出ないモデルではモノグレードであることが当たり前になっているくらいだ。

 こうして考えると、国内ではトップクラスに数が出るモデルであるアルファードはともかく、フーガのようなさほど売れていないモデルについては徐々にグレード整理されていくと考えるのが妥当だろう。いまや松竹梅の法則と言っていられない時代になってきている。

こんな記事も読まれています

スペインGPで大失速のRB、オーストリアGPのFP1で2台のマシンで比較テスト実施へ。角田裕毅「明確な説明が得られればいいんですが……」
スペインGPで大失速のRB、オーストリアGPのFP1で2台のマシンで比較テスト実施へ。角田裕毅「明確な説明が得られればいいんですが……」
motorsport.com 日本版
ホンダ「新型ヴェゼル」登場! めちゃ精悍「“スポーティ”仕様」がカッコイイ! デザイン刷新の「フル無限カスタム」も設定
ホンダ「新型ヴェゼル」登場! めちゃ精悍「“スポーティ”仕様」がカッコイイ! デザイン刷新の「フル無限カスタム」も設定
くるまのニュース
VW新型「ゴルフR」世界初公開! 333馬力・最高時速270kmの最強ゴルフは「光るVWエンブレム」初採用
VW新型「ゴルフR」世界初公開! 333馬力・最高時速270kmの最強ゴルフは「光るVWエンブレム」初採用
VAGUE
マツダとヤマハ発動機、型式認証不正で出荷停止のロードスターRFなど 7月以降に順次生産再開へ
マツダとヤマハ発動機、型式認証不正で出荷停止のロードスターRFなど 7月以降に順次生産再開へ
日刊自動車新聞
VWゴルフGTIのセダン版『ジェッタGLI』に改良新型、228馬力ターボに6速MT…米国発表
VWゴルフGTIのセダン版『ジェッタGLI』に改良新型、228馬力ターボに6速MT…米国発表
レスポンス
【公式動画】アストンマーティン F1アロンソの熱望から誕生したQ By Aston Martinビスポークのヴァリアント・ヴェラールが新たな系譜に加わる
【公式動画】アストンマーティン F1アロンソの熱望から誕生したQ By Aston Martinビスポークのヴァリアント・ヴェラールが新たな系譜に加わる
Auto Prove
トヨタ「アルファード/ヴェルファイア/プリウス」オーナーに朗報! 純正ナビのテレビ視聴やナビ操作が便利になるTVキットが新登場
トヨタ「アルファード/ヴェルファイア/プリウス」オーナーに朗報! 純正ナビのテレビ視聴やナビ操作が便利になるTVキットが新登場
Auto Messe Web
3週間ぶりのMotoGP! オランダGPのFP1はバニャイヤがトップタイム。来季チームメイトのマルケス2番手続く
3週間ぶりのMotoGP! オランダGPのFP1はバニャイヤがトップタイム。来季チームメイトのマルケス2番手続く
motorsport.com 日本版
ブガッティの新たなハイパースポーツカー「トゥールビヨン」が登場。V16エンジン+3モーターで1800psを発生!
ブガッティの新たなハイパースポーツカー「トゥールビヨン」が登場。V16エンジン+3モーターで1800psを発生!
Webモーターマガジン
[15秒でわかる]BMW『M2』改良新型…小さな車体でも中身は狂暴
[15秒でわかる]BMW『M2』改良新型…小さな車体でも中身は狂暴
レスポンス
本州―四国「しまなみ海道」高速バス攻めの“特急化” 運行ルートがらり変更! 新幹線接続 JR松山駅は“廃止”
本州―四国「しまなみ海道」高速バス攻めの“特急化” 運行ルートがらり変更! 新幹線接続 JR松山駅は“廃止”
乗りものニュース
7年ぶり全面刷新! 新型「迫力顔SUV」初公開! 斬新グリル&直6エンジン搭載の「大きめ高級車」! 豪華内装の「X3」欧州で発表
7年ぶり全面刷新! 新型「迫力顔SUV」初公開! 斬新グリル&直6エンジン搭載の「大きめ高級車」! 豪華内装の「X3」欧州で発表
くるまのニュース
テオ・プルシェールがインディカーで残した爪痕。復帰への道筋と後任ノーラン・シーゲルの才能
テオ・プルシェールがインディカーで残した爪痕。復帰への道筋と後任ノーラン・シーゲルの才能
AUTOSPORT web
ゴルフにポロにルポにup!に……VWの「GTI」はやっぱり熱いぜ! 時代時代のクルマ好きを歓喜させた歴代モデルとエキサイティングなその中身
ゴルフにポロにルポにup!に……VWの「GTI」はやっぱり熱いぜ! 時代時代のクルマ好きを歓喜させた歴代モデルとエキサイティングなその中身
WEB CARTOP
アルファロメオからセアトにVWまで! 凄腕デザイナー「ワルター・デ・シルヴァ」独自の手法と名車5台
アルファロメオからセアトにVWまで! 凄腕デザイナー「ワルター・デ・シルヴァ」独自の手法と名車5台
WEB CARTOP
新型電動ミニバン『L380』は航続824km、LEVCが中国発売…グローバル展開も計画
新型電動ミニバン『L380』は航続824km、LEVCが中国発売…グローバル展開も計画
レスポンス
トヨタが新型「アクア」発表! 新たな「小さな高級車“ラフィネ”」も追加された「大人気コンパクトカー」の優位点とは
トヨタが新型「アクア」発表! 新たな「小さな高級車“ラフィネ”」も追加された「大人気コンパクトカー」の優位点とは
くるまのニュース
2024年中の発表もあるか!? ホンダのおしゃれクーペ「プレリュード」誕生間近? 新型は「往年の名車ゆずり」の圧倒的な存在感が魅力的
2024年中の発表もあるか!? ホンダのおしゃれクーペ「プレリュード」誕生間近? 新型は「往年の名車ゆずり」の圧倒的な存在感が魅力的
VAGUE

みんなのコメント

6件
  • 高級車のレンタカー=最廉価グレード、という認識、全く無いのだが?

    高級車の最廉価グレード→レンタカー需要向けって、いかにもカートップらしい、証拠ゼロ・取材ゼロの思いつき&思い込み解説じゃね?
  • 昔のクルマは廉価グレードの場合、内外装であからさまな差別化がされてて、一発で見分けがついたものですが、今のクルマはパッと見では上級グレードとほぼ同等、記事にあるような運転席側の手動スライドドア、電動テレスコのレスぐらいでは廉価グレードの域ではないと思う。
    昔は、鉄ホイールにフルキャップ、黒バンパー、黒ドアミラー等で、マークⅡのセダンなんか見ると萌えましたけどね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村