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軽のエンジンを共通化もアリ? スズキ・ダイハツ協業に新提案! 協調・競争でもっと身近な軽を目指せ

掲載 更新 17
軽のエンジンを共通化もアリ? スズキ・ダイハツ協業に新提案! 協調・競争でもっと身近な軽を目指せ

■協調領域と競争領域をバランス良くすることで軽は進化する?

 2021年7月21日、トヨタ/スズキ/ダイハツの共同記者会見が開催されました。
 
 その内容は、同年3月におこなわれたトヨタ/いすゞ/日野の商用事業における新たな協業「Commercial Japan Partnership(以下CJP)」に、スズキ/ダイハツが新たに参画という話です。

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 なぜ、この商用事業に軽自動車メーカーが加わったのでしょうか。

 スズキとダイハツは軽自動車のジャンルでは今も熾烈なシェア争いを繰り広げていますが、その一方で「お客さまのために、一緒に出来る事はないか?」と何度も議論を重ねていたといいます。

 そんななか、トヨタから「スズキとダイハツもCJP入ったらどうですか? 一緒に日本のライフラインを守っていきましょう」と提案を受けたことが今回の参画に繋がったそうです。

 参画にあたり、スズキ/ダイハツはトヨタが保有する「Commercial Japan Partnership Technologies株式会社(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」(以下、CJPT)の株式を発行済株数の10%ずつ譲り受けます。

 今回、参画する背景には軽自動車の役目にあります。

 軽自動車は1949年に規格が制定されて以降、人々の暮らしに寄り添い、生活を豊かなものにするために、乗用車は「日常を支えるためのライフライン」、軽商用車は「物流のラストワンマイル」を支える存在を担っています。

 ちなみに日本の自動車保有台数7800万台のうち3100万台が軽自動車。さらに商用車の分野では、軽商用車が58%を占めるそうです。

 ここまで支持される理由は単純明快、軽自動車ならではの特徴「コンパクトなボディサイズ」、「扱いやすさ」、「手ごろな価格」などが挙げられるでしょう。

 ただ、そんな軽自動車にも「CASE」や「カーボンニュートラル」への対応が求められています。

 しかし、乗用車/トラックと同じやり方では価格面も含めてユーザー目線ではないのも事実です。

「日本になくてはならない」軽自動車ユーザーを置き去りにせずに存続させるためにも、ライバル2社がタッグを組んでトヨタの技術を活用しながら協調していくことが最適解だと考えたのでしょう。

 では、このタッグで何が生まれるのでしょうか。具体的な協業内容は3つになります。

 ひとつめは「コネクテッド」です。今回の協業によりトラックからラストワンマイルを担う軽商用までが繋ぐデータを含めた基盤を構築することで、「物流全体の効率化」の実現を目指します。

 ふたつめは「先進安全技術」です。現在、各社単独で開発を進めている状況ですが、各社の技術やノウハウを持ち寄ってタッグを組むことで、「多様性」と「廉価」を両立するシステム開発の検討を進めるといいます。

 そしてみっつめは「軽・商用領域の電動化」です。電動化ユニットなどの技術協力を実施すると共に開発リソーセスを集約することで、「廉価」で「魅力的」な軽の電動車の開発にチャレンジするのです。

 筆者(山本シンヤ)はコネクテッド/先進安全は「想定内かな……」と感じる一方で、軽・商用領域の電動化に関しては、どのような手段を選択するか非常に興味がありしたが、まだ検討の段階だといいます。

 ちなみに軽の電動化モデルというと「三菱ミニキャブ・ミーヴ」や日本のEVベンチャー・ASFが企画設計、中国の柳州五菱汽車が生産をおこなう佐川急便向けの「小型EV」などが挙げられます。

 しかし、軽自動車の「ライフライン」、「お求めやすく」という観点で見ていくと、現時点では必ずしも「身近な存在」とはいえないのも事実でしょう。

■新提案! 軽のエンジンを共通化することはメリットといえる!

 一方、ハイブリッドモデルと言うとスズキは2003年に「ツインハイブリッド」、ダイハツは2005年に「ハイゼットカーゴハイブリッド」を発売していますが、660ccエンジンにモーターを上乗せしていることからコストの問題がクリアにならず、主流になることはありませんでした。

 現在、スズキはその教訓を活かしてマイルドハイブリッドを主要モデルで展開中ですが、将来的には次の一手が求められています。「価格を維持しながら電動化をどのように進めるのか?」、筆者は以前、同業の先輩からこのようなことを聞かれたことがありました。

「シンヤ、お前ワゴンRとムーヴ、どっちのエンジンが気持ち良いお思う?」、筆者は「どちらも似たり寄ったりですね」と答えました。

 すると、「それならばエンジンは協調領域で軽自動車用のエンジンを共同開発、浮いたリソースやお金を競争領域(=シャシ)に使ったほうがユーザーのためになる思う」と。

 その言葉を現代流に進化させるとこんな感じになります。

 現在、軽自動車は660ccのNAもしくはターボですが、ダウンサイジングしたエンジン(何なら360cc)とモーターの組み合わせで660ccターボ相当のパフォーマンスを備えた1モーターのハイブリッドシステムをスズキ/ダイハツで共同開発。

 出力の上限は決まっているのでエンジンに無理させる必要もないうえに、モーターは小型化/バッテリーは小容量でも問題なし。

 開発費は半分、台数は2倍なのでコスト的にも有利に働き、その結果、価格アップも最小限に抑えつつ、電動化もおこなえるのではないかと。

 これならラスト1マイルだけでなく、赤帽などの軽物流をはじめとする長距離走行にも対応できると思います。

 これは完全に筆者の妄想話に過ぎませんが、せっかくの協業、それくらいの大胆な戦略を用いた大改革を期待したいところです。

 ちなみにまったくの余談ですが、トヨタの豊田社長ではなくモリゾウさんとしての好きな軽自動車は「2シーターのミッドシップ エンジンカー」だそうです。

 てっきりホンダ「S660」だと思ったら大間違いで、その答えは「軽トラック」でした。

 ピュア、手の内感、運転する実感など、何ともモリゾウさんらしいなと。

 CJPはまだ発足したばかりですが、スズキ/ダイハツが加わったことで、トラックから軽自動車までカバーする、強い連合体になったといえるでしょう。

 自動車業界の「チームジャパン」、目標はもちろんカーボンニュートラルの実現ですが、今回の協業でどのような化学変化が生まれるのか。今後の動向にも注目したいと思っています。

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みんなのコメント

17件
  • エンジンはスズキ製が良いな。ボディも軽量なスズキ性が良いな。
    ハイブリッド機構ははトヨタが良いな。あれダイハツのいいところってなんだっけ。
  • スズキとダイハツ、ライバルがいたからここまで発展してこれたと思う。 だが、これからも庶民が買いやすい軽を維持していくのに役立つなら手を組むのもありだと思います。 こうなるとホンダはどうするのやら? 私としては ホンダとスズキが手を組んで造った軽を見てみたかったような気もするが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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