2021年9月に発表された日産タウンスターの受注が、8月22日からイギリスで始まった。ガソリンエンジン仕様車はイギリスを除く欧州で2021年12月に発売済みだったが、待望のEVバージョンがマーケットに登場することとなった。
日産版カングーNV250およびe-NV200の後継にあたるタウンスターは、CMF-Cプラットフォームをベースとしており、ルノーカングー(3代目)の日産版、という位置づけとなる。
日産の新型ミニバン「タウンスター」のEV版登場 商用バン&乗用ワゴンともに日本で販売すればヒット確実!
イギリスでは商用バン、EVのベーシックグレードの価格はVAT(付加価値税)抜きで29,945ポンド(約484万円、1ポンド161.5円で計算)と、戦略的かつ競争力のある設定となった。EVのデリバリーは12月1日からとなっている。タウンスターとはどんなクルマなのか、さっそく見ていこう。
文/柳川洋
写真/日産自動車
■カングーの日産版NV250の後継車タウンスターとは?
乗用ワゴンであるタウンスターCombi
商用のタウンスターパネルバン
日産NV250。スタイルからもわかる通りカングーの日産版だ
タウンスターは、欧州市場で販売されている日産版カングーのNV250とそのEVバージョンであるe-NV200の後継車となる。
日本ではカングーの日産版のNV250は販売されていないが、この新型タウンスターは2009年デビュー以来13年も日本で販売されているNV200バネットの後継車として日本への導入が期待されている。
新型タウンスターのラインナップは、パワートレインがガソリンエンジンとEVの2種類、ホイールベースがショートとロングの2種類で都合4つの組み合わせ。また欧州諸国では商用バンだけでなく乗用ワゴンも設定されているが、どうやら今回イギリスには導入されないようだ。
同じ商用車であるルノーカングー、欧州で大人気のCセグメントSUV日産キャッシュカイと同じ、アライアンスCMF-Cプラットフォームを使用する。
アリアのデザインとの統一性を意識した、と日産のデザイナーが述べている通り、ヘッドライトの上部に横長のLEDライトがおごられ、最近の日産車特有のVモーションデザインが採用されている。
■タウンスターEVは欧州都市中心部での利用を想定した割り切りスペック
日産 タウンスターEV
EVのスペックは、バッテリー容量45kwh、モーター性能122ps/245Nm、航続距離は183マイル/283km(WLTC複合サイクル)。75kwの直流急速充電機を使った場合の80%充電までの時間は42分とされている。
e-NV200のモーター出力は107psだったので13psパワーアップ。80%充電までの時間はe-NV200の場合30分で12分長くなってしまっているが、バッテリー容量が4kwh増えたことを考慮に入れるべきだろう。ちなみにガソリン車はユーロ6dフル対応の1.3L、4気筒ターボエンジン(128ps、240Nm、6速MT)。
全長×全幅(ミラー除く)×全高はEVとガソリン車で共通、ショートホイールベース版が4,486×1,860×1,864mm、ロングホイールベース版が4,910×1,860×1,854mm。EVの車両重量はショートで2,220kg、ロングで2,485kg、ガソリン車はそれぞれ2,177kg/2,265kgとなっている。
荷室容量は3.3立方メートル、1200×800mmのユーロパレットを2つ積むことが可能な広さ。リアゲートの内側からシートまでの長さは1806mmと長尺ものの収納も可能となっている。
EVの航続距離283kmが短いのでは? とお思いの方もいるかもしれないが、タウンスターEVは都市部でのラストワンマイル配送を想定したスペックとなっている。
ロンドンをはじめとするイギリスや欧州の主要都市の中心部では、EVなどの超低排出車しか走れない専用ゾーンが設定されているところが多く、それ以外のクルマには懲罰的な乗り入れ料金がかかる。
また都市中心部では、混雑防止のためのコンジェスチョン・チャージ(いわゆる混雑税)がかかるゾーンが設定されているケースも多いが、EVは適用除外になっている。
ロンドンでは1日あたり前者が12.5ポンド(約2000円)、後者が15ポンド(約2400円)に設定されており、通常の商用車で都心での配達業務を行うのには大変なコストを伴う。
そのため、都心での配達業務をフレキシブルに行うことができる商用のEVには、非常に大きな需要があり、まさにそのニーズを満たすために生まれたクルマがタウンスターだ。
都心で配達業務を行うのであれば、日中300km弱走れれば十分、という割り切りで低価格化を実現、ベーシックグレードのイギリスでの価格は、20%のVAT(付加価値税)込みで35,934ポンド、約580万円からのスタートとなっている。
ただしイギリスでは2,500ポンド(約40万円)の政府からのEV補助金を受けることが可能なので、実質価格は円にすると500万円台前半となる。
高度運転支援システムプロパイロットやアラウンドビューモニター、レーンキープアシスト、インテリジェントエマージェンシーブレーキ、荷物積載時に横揺れした際に安全に自動減速するトレイラースウェイアシストなどの安全装備や10インチのカラーディスプレイ、Apple CarPlay、Android Auto対応の8インチカラーオーディオシステムなどの先端装備がついた最上級グレードのEV「Tekna+」の価格はVAT込みで43,014ポンド、約695万円となっている。
ルノー カングーと基本的には同じデザインとなるタウンスターパネルバンのコクピット
オートエアコンのような快適装備も充実し居住性が高められている
イギリスではレギュラーガソリンが1L、170ペンス(約275円)と非常に高額なため、比較的安価な電気で走ることでランニングコストを節約することも可能。
乗り出し価格という意味では割高かもしれないが、実際に都心で配達業務を行うランニングコストを大幅に削減することが可能となっていて、実質的に商用車のEVへの転換が促進されている。
パネルバンの荷室容量は3.3立方メートル、1200×800mmのユーロパレットを2つ積むことが可能な広さ。リアゲートの内側からシートまでの長さは1806mmと長尺ものの収納も可能
NV200譲りの実用性の高さは折り紙付きで間違いなさそうだ
全グレードで5年もしくは10万マイルの保証と、EVではバッテリー容量が70%を下回った際の交換・補修保証が8年もしくは10万マイル付加されるのも、安心材料だ。
ガソリン車はベーシックグレードでVAT込み23,370ポンド(約377万円)から、最上級グレード「Tekna+」で同27,750ポンド(約448万円)からとなっている。EVと異なり、プロパイロットは装着不可となっていて残念だ。
■日本導入はあり得るのか?
リア回りの窓がないパネルバンのリアスタイル。実にカッコいい
2014年にデビューし2019年に販売を終了したe-NV200の新車価格は約485万円だった
NV200の2009年のデビューから既に13年が、そのEV版であるe-NV200の2014年のデビューから8年が経過しているので、NV200の後継車として日本でもぜひ販売してほしい。
だが、先ほど説明した通り、イギリスやヨーロッパ諸国の大都市のような低排出車専用ゾーンでの課金や混雑税が存在せず、補助金のせいで電気代と比較してガソリンが割安な日本では、高いイニシャルコストを払って商用EVに乗り換えるインセンティブが圧倒的に不足している。
現行NV200の最上級グレードGXの価格約278万円、e-NV200の2019年販売終了時の価格約485万円と比べると、タウンスターEVのイギリスでの価格を円換算したベーシックグレードで消費税込み約532万円、EV最上級グレードで消費税込み約637万円というプライスタグはどうしても割高に見えてしまう。
政府と地方自治体のEV購入への補助金が合わせて110万円程度受けられたとしても、商用EVへの乗り換えの最大のハードルはやはり価格面となってしまうだろう。したがって、もしタウンスターが日本導入されれば、まずガソリン車からとなるかもしれない。
■乗用ワゴンのタウンスターは日本に導入すれば売れるのでは?
乗用ワゴンの日産 タウンスターコンビ
乗用ワゴンの日産 タウンスターコンビ
もちろん、商用車だけでなく、乗用ワゴンの日本導入も期待したい。
乗用ワゴンであるタウンスターコンビは、両側スライドドア・2列5人乗りの1ボディのみで、ボディサイズは全長4,486×全幅1,860mm×全高1,893mm(ミラー部分を含まず)と、全長4,695×全幅1,730×全高1,895mmのノアと比べると、全長は短いものの、全高はほぼ同じ、全幅が130mmワイドとなっている。全幅は1,850mmのアルファードを10mm上回るサイズ感といえばおわかりになるだろうか。
日産 タウンスターコンビ インテリア
コクピットは商用バン同様、基本的にはカングーと共有しており、写真を見ていただければわかる通り、質感は高く、スマートフォンホルダーやA4サイズのi-padが収納できるボックスのほか、10インチのディスプレイ、オートエアコンなど装備は充実している。
室内空間も広く、後席はこのセグメントで最も広いレッグスペースを確保し、頭上空間はいうにおよばず、8:2の分割可倒式シートも備わっており、アレンジも多彩、車中泊仕様としても重宝しそうだ。
日産 タウンスターコンビ リアシート
日産 タウンスターコンビ ラゲッジスペース
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