はじめに
1974年以来、ポルシェ911ターボの特徴は過給フラット6ユニットだった。ところが2016年、GT3を除くすべての911がターボエンジンを搭載した。ターボは911ターボだけのものではなくなったのだ。言い換えれば、孤高の存在から、911カレラの高額な仕様的なものに見られるようになったともいえる。
【画像】写真で見るポルシェ911ターボSとライバル 全16枚
覚えておいてほしいのは、そうした見方が広まる中で、ポルシェは992世代の世界最速の2点間移動マシンの、長年にわたる弱点を修正しようとしてきたことだ。それこそ、歴代言われ続けてきたややダルいハンドリングである。
頑固なまでに安定性にこだわりすぎ、扱いやすさやアジャストしやすさは、911全般に見られるほどではない。それを、カレラのような運動性能に近づけようというわけだ。
つまりこの1世代で、911ターボは、偶然にしても故意にしても、911カレラに近いコンセプトのクルマへと変化してきた。それでも、いまだにステイタスはフラッグシップで、さらにはそれに見合った値付けがされている。
今回テストするターボSの本体価格は、じつに16万8900ポンド(約2787万円)だ。911カレラの倍近く、フェラーリ・ローマに匹敵するのである。
はたして新型911ターボは、1988年に959がやってみせたような、全天候型のメガ911とでも呼ぶべきテンプレートに当てはまるものになっているのだろうか。それとも法外な値付けの、現実離れした、とにかく過剰さを求める金持ちの道楽グルマに成り下がっているのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
911ターボのキモとなるレシピは、はじめてフロントにドライブシャフトが備わった993世代からなにも変わっていない。無作法なほどパワフルな、ツインターボのフラット6をリアにマウントし、駆動力を四輪へ常時送り込む。最新モデルには、カレラの3.0Lユニットを11mmボアアップした3.7Lユニットが与えられ、ターボで580ps、ターボSで650psを発生する。
ターボチャージャーは、先代と同じく可変ジオメトリー式だが、サイズは拡大。ちなみに、カレラは固定式だ。吸排気系は専用設計で、吸気はエンジンフードからだけでなく、ボディサイドのターボダクトからも行う。
そのほか、ピエゾ式燃料インジェクターはレスポンスが改善され、新型の電子制御式ウェイストゲートはより精密な過給圧制御に寄与している。トランスミッションは彼らと同じ8速DCTだが、新設計のスティールプレートと、強化されたギアが用いられる。ギア比は991世代のターボに対し、1速が低く、8速は高く設定され、ゼロスタートの速さとクルージングの穏やかさが向上している。
カレラ用のトランスファーケースは、水冷機構を追加し、構造の補強も施され、理論上は51.0kg−mまで前輪へ送れるようになった。これは、最大トルクである81.6kg−mの、ほぼ3分の2に相当する。
興味深いのはフロントアクスルだ。先代モデルに比べ、トレッドは42mm拡幅されたが、これに対してリアの増加分は10mmにとどまる。オーバーステア気味のバランスを狙ったのでなければ、こうはならないはずだ。
あわせて、電動アシストのステアリングラックは6%速められ、ホイールはフロントが20インチ、リアが21インチに。タイヤ幅は、911GT3と同じだ。ターボもターボSも後輪操舵は標準装備で、ターボSにはPDCCことアクティブスタビライザーもセットされる。
サスペンションは、はじめて2タイプが用意された。いずれも反応を早めた新型ダンパーを採用するが、今回のテスト車には未装備だったオプションのPASMスポーツは10mmローダウン。さらにリアには補助スプリングを設置して、メインスプリングが伸び切った際にも位置のズレを抑えている。
内装 ★★★★★★★★★☆
ターボSのキャビンは、基本的にカレラ系と変わらないが、ドアトリムには930世代の911ターボを彷彿させる平行四辺形のステッチが施される。充実した装備内容は、上位機種のターボSでは一層拡充されるが、異なるのはそういった点のみだ。
レイアウトは2+2で、センタートンネルは比較的高さがある。911の伝統ともいえる平面的なダッシュボードは、992世代で手の込んだ棚状の形態となり、目を引くようなマテリアルの仕上げが施されている。
質感はきわめて高い。多くのひとびとがいまだに奇妙な形状のシフトセレクターを問題視するが、ポルシェが用いるプラスティック部材は感触も見栄えも上々で、このブランドのスポーティさとラグジュアリーさを兼ね備えた雰囲気にピッタリだ。とはいうものの、主に手が触れる部分は、もっと高価そうな天然素材が用いられている。
ただし、17万ポンド(約2805万円)クラスの金額には、必ずともふさわしいとは言い難い。仕様選び次第ではあるが、ちょっとばかり型にはまりすぎている感もある。テスト車は燃えるように赤いボルドーレッドのレザーとGTシルバーのエクステリアが相まって、贅沢な雰囲気を醸し出しているが、もっとありふれた内外装の組み合わせだと、値段相応には見えないかもしれない。
ラゲッジスペースはいつもながらすばらしい。前席周辺のストレージは出来がよく、ドアポケットは深い。なにより、フロントの荷室と、大きなバッグでも積み込めるリアシートによって、ターボSはミドシップのライバルよりツーリングで使いやすいクルマとなっている。
走り ★★★★★★★★★★
3.7Lフラット6には、洗練されたところと、好ましい獰猛さや生のままなところが共存している。たしかに、サウンド面で傑出したユニットではない。しかし、低速域で機械音が耳に届くことと、2500rpmで81.6kg−mを叩き出す熱狂的なブーストの掛かり方は、間違いなく楽しい。
同じことは、改善された回転域のトップエンドにも当てはまる。クランクシャフトの回転エネルギーの激しさは、7200rpmのリミッターが少なくとも1000rpmは控えめなのではないかと思わされるほど、新たな、高いレベルへ達している。
レッドラインでは、DCTがこれ以上ないほどの精度でシフトアップする。市街地の速度域でシフトダウンする際に、軽くしゃくりあげるところがあるのも、大目に見たくなるほどだ。客観的に見て、このクルマのパワートレインの問題点はそれくらいで、ほとんどの場合、ドライバビリティと、全開アタックで時折見られる気まぐれさとのバランスにただただ感心し、エレガントささえ覚えるだろう。
気まぐれさというのも、めったに出るものではない。それを感じるには、かなり攻めた走りをしなくてはならない。であるから、ここからは具体的なデータの話をしよう。
変速ありの加速では、48−113km/hのタイムが2秒フラットで、これはランボルギーニ・アヴェンタドールSVJより0.3秒、911GT3より0.7秒早い。2速での64−97km/hが1秒ジャスト、3速での97−129km/hが1.5秒というのもずば抜けたタイムだ。
その勢いは、160km/hを超えるような高速域でも衰えない。4速での161−193km/hは2.3秒。ゼロスタートから225km/hへは11.2秒で到達するが、これはターボSより14psパワーが低いものの502kgも軽いマクラーレンF1の、1994年5月に計測したタイムとまったく同じだ。
発進加速では、スポーツプラスモードを使用した。5000rpm付近まで回転が上がると、車体を押さえていたカーボンセラミックブレーキがリリースした途端に飛び出す。おそらく315幅のピレリPゼロは、ほぼホイールスピンしないはずだ。
トラクションは最高で、変速はほぼ感じられず、2.5秒で97km/h、5.7秒で161km/hに到達する。たしかにこれは911のバリエーションだが、そのパフォーマンスはどこを取ってもスーパーカー並みだ。
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
インフォテインメント
2022年モデルのテスト車は、PCM6.0ことポルシェの最新インフォテインメントシステムが搭載されていた。
ディスプレイはこれまで通りきれいに、控えめにダッシュボードへ組み込まれ、しかしデジタルインターフェースはカラーのアイコンを用い、以前より鮮明になった。
それ以上にユーザーのメリットとなりそうなのは、Apple CarPlayだけでなくAndroid Autoの接続もワイヤレスになったことだろう。
きちんと機能してくれて、車両情報の多くはメーターパネル内のディスプレイで確認できるので、われわれはほとんどの間、Android Autoを使い続けた。
シームレスに機能し、メニューもマップも音楽ストリーミングも、ほぼ画面いっぱいに表示される。完璧とはいえないスマートフォンミラーリング機能だと、片隅にしか出てこないこともあるものだが。すべてがよくできている。
燈火類
ターボSには、ポルシェ・ダイナミックライトシステム(PDLS)ことマトリックスLEDヘッドライトが標準装備。ビームはクリアで、明るく、遠くまで照らす。ただし、マトリックス機能の対向車への反応は必ずしも素早くはない。
ステアリングとペダル
ややオフセットしたブレーキペダルは、問題にはならない。それ以外のドライビングポジションは完璧に整っていて、全ての点で十分な調整能力がある。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
過去最重量の911ターボはまた、グリップが効いて、走りに熱中できるという点でも、911ターボとして最高レベルに数えられる。トレッドの拡幅とダンパーの進歩により、歴代ターボにみられた磐石のスタビリティはさらに高まったが、同時にもっとシンプルな911に見られるような、後輪駆動的バランスのフィーリングも加わった。地を這うミサイルのようだった、過去のターボにはなかったものだ。
フロントの接地面積がかなり大きいのに、ステアリングは911の4WDモデルでもっとも軽く動かせて、切りはじめのレスポンスも一番キビキビしている。安心感を覚えるほど路面をはっきりと感じ取れて、それでいて路面不整を拾いすぎることはない。じつにうまいサジ加減だ。
その結果、分別あるスピードで走るぶんには、ドライビングに熱中できるが、さほど腕力は要しないクルマとなっている。コーナリング中の走行ラインは、わずかなスロットル開閉で調整できて、それでいてドライバーが望むようなストレートでのパフォーマンスは犠牲にしていない。
このターボSはシンプルに、これまでよりもグリップの効いたスポーツカー、といった感覚だ。ただし、スピードを問わず、というわけではない。992ターボSで改善されたのは速さだけでなく、ドライバーをその気にさせる走りもまたそうだ。コーナーでサスペンションに負荷をかければかけるほど、ハンドリングの冴えと深みがより感じられる。
タイトなコーナーでブレーキを強く踏み込むと、ノーズはきれいに引き込まれ、そこからスロットルを早めに開けて、ややワイドにリアを流すことができる。この繊細さや精密さは、これまでのターボ系に欠けていたものだ。
2点間の移動ペースについては、これまでどおりベンチマークになりそうなものだ。空車で1640kg、満タンでドライバーが乗ると1750kg近い重量がはっきり感じられ、とくにリアの重さがやっかいに感じられることもあるが、それも束の間だ。
全般的には、このシャシーが強大なパワーとトルクを、平坦でない、もしかしたら湿ってさえいるような路面へ伝える能力は気持ち悪いくらい高く、もっとも走りにくいくらいのB級道路で速さを維持し、もしくはさらに増す性能は不気味なくらいにみごとだ。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
911はどのモデルも、荷重の大きいリアアクスルから、それなりに大きいロードノイズをキャビンへ伝えてくる。シャシーの後端近くにエンジンを搭載することによる、拭えない欠点だ。911ターボSで長距離ツーリングをしようとした場合、これは深刻な問題のひとつだ。
テスト車は、113km/hで74dBAを計測。ミドシップのライバルは、同じ速度で78dBA程度だが、ほかの部分は一年中さまざまな使い方ができるようなクルマであるだけに、玉にキズだというに十分だ。間違っても、ライトウェイトパッケージを選ばないように。遮音材がカットされて、事態はますます悪化する。
それ以外は、ターボSのようなクルマにこれ以上望めないくらい快適だ。広いガラスエリアは心地よく開放的な雰囲気をもたらし、911のラインナップ中でもっともワイドなクルマでありながら、911カレラと大差ないくらい路上での位置決めを容易にする視認性にも寄与する。
これほどのポテンシャルを秘めたクルマでありながら本気で飛ばさなければ長距離も楽に移動できるが、これはサスペンションがしなやかに動いてくれるからだ。
ゆっくり流している場合でも、荒れた路面でさえ乗り心地に綻びが出ることはめったにない。前後異サイズのホイールがかなり大径で、タイヤのサイドウォールは薄いが、それをものともしない。低速走行する限り、フロントスプリッターを擦る心配もない。しかし、自宅の駐車場に急勾配があったり、単純に安心感を得たいというなら、オプションでノーズリフターを追加できる。
この時点で繰り返しておかなければいけないのは、テスト車がローダウンサスペンションを組んだPASMスポーツを装着していなかったということだ。テスターの中にはPASMスポーツ仕様の試乗経験者もいたが、ステアリングレスポンスやアジリティは向上するものの、なんとか我慢できる程度まで乗り心地が犠牲になるのも疑いないところだという。
われわれとしては、標準仕様のPASMにとどめておくことを強くおすすめする。ダンパーを硬めのセッティングにすれば、公道を速いペースで走るなら十分以上。さらに、標準設定のレートはじつにみごとなサジ加減である。
そうした条件や、室内ノイズの問題はあるものの、この価格帯で、ここまで速いクルマとしては、911ターボSほど使い勝手のいいクルマはない。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
911ターボ/ターボSは、決してお買い得なクルマではない。たしかに、これより安いクルマばかりか、高いクルマにさえも勝るパフォーマンスの持ち主だ。しかし、911には同じくらいみごとで、しかも価格は安いものがあるので、ターボ系モデルはその立ち位置を探究し続けることができている。
すなわち、ある程度までは、理論上の可能性を追求するためだけに存在するこの上ないデバイスだ。必然的に、路上で必要とされるだろうものをはるかに超越することになる。
17万ポンド(約2805万円)近い本体価格と、笑うしかないようなパフォーマンスは、992世代でも変わらない。この値付けなら、ベントレー・コンチネンタルGTのV8モデルやフェラーリ・ローマ、そして、これは賢明な選択肢と言えそうなマクラーレン・アルトゥーラあたりがライバルになりそうだ。
アウディR8 V10パフォーマンスも候補に入るだろう。ターボSより1万8000ポンド(約297万円)も安いのに、カーボンセラミックブレーキは標準装備で、近年でも最高の部類に入るエンジンを搭載しているのだから。
どのクルマをとっても、スペシャル感はポルシェを上回る。911ターボの魅力が、こうしたクルマと同じグループに括られるようなメカニズムと性能を持ちながら、それを声高に訴えたくならないようなものであることだとしてもだ。
ポルシェがライバルたちに勝てる切り札があるとすれば、それは燃費だ。日常使いで8.9km/L程度というのは、650psのスーパーカー的なものとしてはみごとというほかない。しかしながら、特筆すべきはツーリングでの12.9km/Lという数字だろう。満タンでの航続距離は、800kmを超える計算になるのだから。
スペック
レイアウト
縦置きのフラット6はDCTを介し、ターボS専用の強化された前車軸の伝達系を通じて、前輪へ最大51.0kg−mの駆動トルクを送り込む。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクで、911GT3のようなダブルウィッシュボーンは用いられない。
トルクベクタリングと四輪ステアリングは標準装備。カーボンセラミックブレーキもオプションではなく、バネ下重量低減に寄与する。
エンジン
駆動方式:リア縦置き四輪駆動
形式:水平対向6気筒3745ccツインターボチャージャー、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ102.0×76.4mm
圧縮比:8.7:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:650ps/6750rpm
最大トルク:81.6kg-m/2500-4000rpm
エンジン許容回転数:7200rpm
馬力荷重比:396ps/t
トルク荷重比:49.8kg-m/t
エンジン比出力:173ps/L
ボディ/シャシー
全長:4535mm
ホイールベース:2450mm
オーバーハング(前):-mm
オーバーハング(後):-mm
全幅(ミラー含む):2024mm
全幅(両ドア開き):3800mm
全高:1303mm
全高(フロントトランク開き):1770mm
足元長さ(前席):最大1110mm
足元長さ(後席):550mm
座面~天井(前席):最大990mm
座面~天井(後席):770mm
積載容量:128L
構造:スティール/アルミモノコック
車両重量:1640kg(公称値)/-kg(実測値)
抗力係数:0.33
ホイール前/後:9.5Jx20/12.0Jx21
タイヤ前/後:255/35 ZR20/315/30 ZR21
ピレリPゼロ
スペアタイヤ:なし(パンク修理剤)
変速機
形式:8速DCT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:4.89/9.2
2速:3.17/14.2
3速:2.15/20.9
4速:1.56/29.0
5速:1.18/38.1
6速:0.94/48.0
7速:0.76/59.4
8速:0.61/73.9
最終減速比:3.02:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:8.8km/L
ツーリング:12.9km/L
動力性能計測時:2.5km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):4.8km/L
中速(郊外):8.4km/L
高速(高速道路):9.8km/L
超高速:9.7km/L
混合:8.3km/L
燃料タンク容量:67L
現実的な航続距離:589km
CO2排出量:271g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.3回転
最小回転直径:10.9m
ブレーキ
前:420mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
後:390mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電動式、センターコンソールにスイッチ設置
静粛性
アイドリング:-dBA
全開時(3速):96dBA
48km/h走行時:65dBA
80km/h走行時:69dBA
113km/h走行時:74dBA
安全装備
ABS/PSM/ESC/TC/PTV/TPM
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:快晴/気温20℃
0-30マイル/時(48km/h):1.1秒
0-40(64):1.5秒
0-50(80):2.0秒
0-60(97):2.5秒
0-70(113):3.2秒
0-80(129):3.9秒
0-90(145):4.7秒
0-100(161):5.7秒
0-110(177):6.9秒
0-120(193):8.0秒
0-130(209):9.4秒
0-140(225):11.2秒
0-150(241):13.1秒
0-160(257):15.2秒
0-170(273):18.3秒
0-180(289):22.6秒
0-402m発進加速:10.4秒(到達速度:218.7km/h)
0-1000m発進加速:19.0秒(到達速度:276.5km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
マクラーレン720S(2017年)
テスト条件:快晴/気温22℃
0-30マイル/時(48km/h):1.5秒
0-40(64):2.0秒
0-50(80):2.4秒
0-60(97):2.9秒
0-70(113):3.5秒
0-80(129):4.1秒
0-90(145):4.9秒
0-100(161):5.6秒
0-110(177):6.5秒
0-120(193):7.4秒
0-130(209):8.6秒
0-140(225):9.9秒
0-150(241):11.5秒
0-160(257):13.2秒
0-170(273):15.7秒
0-180(289):18.7秒
0-402m発進加速:10.4秒(到達速度:230.9km/h)
0-1000m発進加速:18.5秒(到達速度:289.4km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.4秒(2速)/2.5秒(3速)
30-50(48-80):1.1秒(2速)/1.7秒(3速)/3.0秒(4速)/5.0秒(5速)
40-60(64-97):1.0秒(2速)/1.4秒(3速)/2.1秒(4速)/3.6秒(5速)/6.3秒(6速)
50-70(80-113):1.4秒(3速)/1.9秒(4速)/2.6秒(5速)/4.8秒(6速)/8.1秒(7速)
60-80(97-129):1.5秒(3速)/1.9秒(4速)/2.4秒(5速)/3.6秒(6速)/6.5秒(7速)/13.4秒(8速)
70-90(113-145):1.5秒(3速)/1.9秒(4速)/2.5秒(5速)/3.2秒(6速)/5.2秒(7速)/12.5秒(8速)
80-100(129-161):1.9秒(4速)/2.6秒(5速)/3.3秒(6速)/4.5秒(7速)/9.8秒(8速)
90-110(145-177):2.1秒(4速)/2.8秒(5速)/3.6秒(6速)/4.4秒(7速)/7.9秒(8速)
100-120(161-193):2.3秒(4速)/2.9秒(5速)/3.9秒(6速)/4.9秒(7速)/7.6秒(8速)
110-130(177-209):3.1秒(5速)/4.1秒(6速)/5.5秒(7速)
120-140(193-225):3.4秒(5速)/4.1秒(6速)/6.1秒(7速)
130-150(209-241):3.7秒(5速)/4.8秒(6速)/6.8秒(7速)
140-160(225-257):4.0秒(5速)/5.7秒(6速)
制動距離
テスト条件:快晴/気温20℃
30-0マイル/時(48km/h):7.4m
50-0マイル/時(64km/h):20.1m
70-0マイル/時(80km/h):38.3m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.40秒
ライバルの制動距離マクラーレン720S(2017年)
テスト条件:快晴/気温22℃
30-0マイル/時(48km/h):8.0m
50-0マイル/時(64km/h):20.8m
70-0マイル/時(80km/h):39.9m
各ギアの最高速
1速:66.0km/h(7200rpm)
2速:103.0km/h(7200rpm)
3速:151.3km/h(7200rpm)
4速:207.6km/h(7200rpm)
5速:275.2km/h(7200rpm)
6速:329.9km/h(6880rpm)
7速:329.9km/h(5563rpm)
8速(公称値):330.0km/h(4465rpm)
8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1525rpm/1742rpm
結論 ★★★★★★★★★☆
911ターボには同情を禁じ得ないかもしれない。これまでターボ系の役割は、常に911ならではの実用性と、スーパーカー並みのパフォーマンスを併せ持つことだった。しかし2022年現在、PDK搭載のカレラSはきわめて速く、911ターボの存在意義を脅かしている。
のみならず、少なくとも同価格帯のミドシップやフロントエンジンのライバルに比べれば、グラマラスさという点でだいぶ差をつけられている。
それでも、この992ターボSは非凡なクルマだ。フェラーリSF90のようなクルマが存在する時代にあっても、おそらく全天候型の最速量産車だろう。しかも、先代モデルにはなかったような運動性をもたらす、シャシーの改良が施されている。その差は大きくないが見落とすことはなく、時流に合わせた電動車より有能な相棒たり得るものとなっている。
新型ターボSは、より好ましく夢中にさせるマシンで、しかもこれまでどおり過剰な性能の持ち主だ。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーンポルシェのブレーキ性能は、230kgも軽いマクラーレン720Sを上回った。それも、より公道向けのタイヤでだ。113km/hから40m以内で完全制動できるかどうかは、とんでもないクルマとわりと普通のクルマとのボーダーラインだ。
マット・ソーンダースウェットモードでは濡れた路面をホイールハウス内のセンサーで検知すると、シャシーの電子制御系をスタビリティがマックスのセッティングにアジャストする。またスロットルレスポンスも抑えられ、前輪への駆動力配分が増加する。
オプション追加のアドバイス
6809ポンド(約112万円)のライトウェイトパッケージは、後席が排除され、前席はフルバケットとなる。また、遮音材はカットされ、10mmダウンのPASMスポーツサスペンションが装備される。トータルで30kg軽量化されたターボSは、まさにストリートファイター。オーナーは、標準仕様との差が明確なPASMスポーツに我慢を強いられる。
改善してほしいポイント
・速度が乗った際の静粛性は改善が必要。ただし、重量はあまり増さないでもらいたい。
・低速での変速は、引き続き磨きをかけてほしい。
・もっとアジャストできるクルマになればいいのだが。
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