■海外では人気上昇中! 低迷は国内だけ?
三菱は、2004年のリコール隠しや、2013年に起こった燃費不正問題により、国内ではイメージダウンとユーザー離れが目立っています。1990年代後半には国内における三菱の乗用車販売は年間30万台以上といわれましたが、2019年は年間5万台にも満たない4万6930台しか販売されていません。
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しかし、海外での三菱の評判は国内とはまったく異なり、販売も好調だといいます。とくに、東南アジアでの好調が目立つとのことですが、いったい、なぜ評価が大きく異なっているのでしょうか。
三菱の発表によれば2019年の海外輸出実績は37万5512台となっており、海外販売が好調なのがわかります。また、海外拠点における生産台数は2019年で74万9000台以上となっています。
この数字は過去と比べて大きく増えており、例えば、1997年の海外輸出は約35万台と、23年前と比べて約2倍まで数を伸ばしています。
まず、三菱の海外生産開発拠点のうち、多くは東南アジアに集中しています。例えば、タイには、自動車生産工場と自動車エンジン生産工場が2か所、フィリピンには自動車生産工場と自動車部品製造工場が2か所あります。
このほかにも、インドネシアとベトナムに自動車生産工場があるなど、世界のなかでアジア地域に三菱の自動車生産拠点が多くあります。
また、フィリピン自動車工業会などの発表によれば、2018年におけるフィリピンでの販売台数首位はトヨタでしたが、2位に三菱、3位に韓国の現代自動車が続いており、三菱車の人気の高さが伺えます。
さらに、フィリピンでオンライン自動車販売を手掛けるAuto Dealによれば、2018年に顧客満足度の調査において、三菱は顧客への対応やフィードバックの速さが高く評価されています。
クルマに詳しいフィリピン在住の日本人は、現地での三菱への評価について、次のように話します。
「日本では不正問題によりブランドイメージが失墜しましたが、東南アジアでは過ぎ去ったことを責めていません。いまの体制や顧客への対応力、販売されているクルマの品質などが評価されています。
また、日本ではなくなってしまいましたが、クロスカントリーなどで鍛えられたピックアップトラックやRV車など、悪路に強い魅力的なラインアップにあることも人気の理由です」
※ ※ ※
三菱の東南アジア諸国にとどまらず、ヨーロッパでも人気が高まっています。
例えば、2018年度には、英国でも売り上げを22%伸ばしています。また、英国三菱によれば、とくに「アウトランダーPHEV」が人気を集め、同車は2018年に英国のプラグインハイブリッド市場全体の19%を占めるクルマとなっています。
■アジアにおける人気の秘密は、オフロード車にあり
三菱が海外で販売しているクルマには、日本では見られないピックアップトラックやSUVがあります。
例えば、日本では既に販売が終了した「パジェロ」は、オーストラリアや中東、南米そしてフィリピンでは新車で購入することができます。
また、パジェロをクロスオーバースタイルにデザインした「パジェロスポーツ」は1996年から世界各国で販売され、2015年からは3代目モデルとなっています。
パジェロスポーツは、地域ごとで車名が変わり、北米、南米、フィリピンでは「モンテロスポーツ」、英国では「ショーグンスポーツ」として販売されています。
このモンテロスポーツは、フィリピンにおける三菱の人気車種のひとつといわれ、頑丈なラダーフレームや本格的な優れたオフロード性能を持っています。
価格はフィリピンで199万8000ペソ(約423万円)と高額であるにもかかわらず、2017年にはフィリピンでミドルサイズSUVトップクラスの販売台数を記録しました。
そのほかにも、小型マルチパーパスビークル(MPV)として「エクスパンダ―」が人気です。
モンテロスポーツよりひと回り小さいものの、エクステリアはモンテロスポーツの屈強なデザインを踏襲し、7人乗りというMPVならではの広い室内空間を持っています。価格は100万ペソ(約210万円)と、モンテロスポーツより安いことも人気の理由です。
さらに、日本ではあまりみかけないピックアップトラックの「トライトン」も、フィリピンや東南アジア、さらには中東で「悪路に強い三菱のクルマ」として人気を集めています。
トライトンはタイで生産され、日本国内では2006年から2011年まで販売されていました。
フィリピンをはじめとした新興国の各国では、トライトンの走破性と積載能力が評価され、現地の日本人によれば、トヨタ「ハイラックス」よりも街で見かけることが多いクルマといわれています。
東南アジアや中東では、地域によっては舗装された道路が珍しい場所もあります。そのため、車高が高く、悪路でも壊れることがない三菱車が人気を集めています。
※ ※ ※
三菱は、かつて日本国内でも「パジェロ」や「デリカ」などのオフロードに強いクルマを販売していました。海外ではそのイメージを活かし、パジェロやトライトンなど頑丈なクルマを販売して人気を高めています。
タイ、インドネシア、フィリピンなどの新興国では、価格が低い「ミラージュ」も人気を集め、2017年にはフィリピンに新しい生産ラインも追加されました。
三菱のクルマは、その頑丈さから海外では人気があります。リコール隠しや燃費不正などのイメージが強い日本国内とは、まったく異なる受け取られ方をされているようです。
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