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イメージキャラクターが印象的だった80年代の日本車3選

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イメージキャラクターが印象的だった80年代の日本車3選

クルマよりもインパクト大!?

1.トヨタ「スプリンター」(5代目)×古谷一行

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“大人の男”がもてはやされた時代があった。80年代の日本車のコマーシャルには、当時人気のあった俳優が続々登場した。当時の若者は“背伸び”して、大人の世界をのぞくのが好きだった……そんな心理を利用して、大人の男がクルマを勧めていたのかもしれない。

意外なのは、トヨタ「スプリンター」でもタキシードを着用した古谷一行がイメージキャラクターを務めていた点だ。

当時、古谷一行は『金田一耕助シリーズ』(TBS系)で主人公である金田一耕助役で大当たりをとっていて、古谷一行人気をあてこんだのがスプリンターの広告、といえる。

ただし、テレビや映画で話題になった、よれよれの袴(はかま)と着物と蓬髪という金田一スタイルではさすがに新車の広告には合わなかったろう。ハンサムな古谷一行にはタキシードもよく似合っていた。

「SEXYスプリンター」がキャッチコピーで、古谷一行の近くに“SEXY”の文字が大きく載るのがCFの特徴。やっぱり当時には、大人の男には色気があるって、みんな思っていたんだろう。

当時、人気があった欧米の俳優も、ロバート・レッドフォード、ハリソン・フォード、ケビン・コスナー、ロブ・ロウ、メル・ギブソン、ミッキー・ローク、それにジャン・レノなど、渋い顔立ちの面々が揃っていた記憶がある。

スプリンターは、ご存知のとおりトヨタ「カローラ」の姉妹車。古谷一行が出演したコマーシャルのモデルは、83年に登場した5代目だ。最大の特徴は前輪駆動化したこと。エクステリアデザインも、それまでの垢抜けないもの(とくにすごかったのは74年の3代目)から大きく前進して、当時のルノー車をどこか思わせるクリーンな面の洗練されたものとなった。

セクシーかどうかはともかく、トヨタのユーザーにとっては、面も線も垢抜けすぎていて、つまらなかったかもしれない。じっさいにそういう声も聞いた。そこで、87年の6代目は装飾過多なデザインへと路線変更。広告のコピーは「ハードトップ・フィーリング」だから、やっぱり“SEXY”な5代目はちゃんとしたコンセプトがあったことになる。

2.日産「パルサー」(2代目後期)×中村雅俊2代目になった日産パルサーが広告に起用したのは、俳優の中村雅俊だった。70年代に『われら青春』『俺たちの勲章』『俺たちの旅』など、いわゆる“青春ドラマ”でブレークし、ラジオやテレビを通じて好感度が高かった中村雅俊が全面的にフィーチャーされていた。

このときパルサーは、ベースになったサニーよりスポーティな雰囲気を強調していたため、テレビコマーシャルでは走行シーンが多かったのも印象的だ。といっても、当時パルサーのコマーシャルといえば、中村雅俊と彼の歌で成立しているようなものだった。

中村雅俊はすでに人気歌手としての地位も確立していて、82年には、パルサーがデビューした4月から約半年後、桑田佳祐提供の「恋人も濡れる街角」を大ヒットさせたのが、同じ時期だったこともあって、私の記憶に強く残っている。

2代目パルサーは、大きくいえば、ハッチバックとクーペ(EXA)の2車型。ただしハッチバックには、やたらルーフの前後長が短い「ミラノX1」なるモデルも設定されていた。

ミラノなるサブネームは、アルファロメオに(の本拠地)に因っている。このとき、日産はアルファロメオと合弁でARNA(アルナ)なる会社を設立して、パルサーをベースにした「アルファスッド」なるモデルをナポリ工場で生産していた(83~87年)。私が見学にいったときは、なんとなくのんびりとクルマを作っていたなぁ。そんな記憶がある。

エンジンも変速機もシャシーの一部も違うからパルサーとアルファスッドはまったく別のクルマといったほうがいいけれど、ミラノX1は黄色のイメージカラーが洒落ていたし、ほかにも真っ赤だったり真っ白だったり、ビビッドな色のイメージで広告が作られていた。

3.マツダ「ファミリア」(5代目)×北大路欣也80年に発売され、生産開始から18カ月で50万台の生産を達成したマツダの5代目ファミリア。このクルマは、20~30代から大きな人気を博した。

コマーシャルに出演していたのは北大路欣也。最近のテレビドラマだと『半沢直樹(TBS系列)での中野渡謙・東京中央銀行頭取役が記憶に新しいし、これまでの出演作の傾向なら時代劇を得意とする俳優という印象が強い。

この中野頭取が、ファミリアのテレビコマーシャルでは、元気にサッカーボールを蹴り上げたり、ヒッチハイクしてきた水着姿の女性をクルマ(ファミリア)に同乗させたり、と、笑顔でドライブしている。今の目には、イメージの落差が大変興味深い。

当時の北大路欣也といえば、ファンにとっては79年のテレビドラマ『男なら!』(TBS系列)の熱血自動車整備工の役どころのイメージが重なった。そのあと『若き日の北条早雲』(テレビ朝日系列)でも熱血漢ぶりを演じている。

80年代に大事にされたのは、“クール”よりも“ホット”。人生に対して前向きでいられるアクティブな若者こそ、前輪駆動へとフルモデルチェンジして、マツダをあたらしい時代へと羽ばたかせようというファミリアに乗るべき、とした(ような)コンセプトと重なるのだろう。当時の私には眩しすぎたが……。

このFFファミリアには、2ドアと4ドアのハッチバックボディと、3カ月遅れて発表された4ドアセダンとがあった。若者に好まれたのはクリーンなスタイリングで、価格もこなれていた2ドア版だ。

スタイリングだけでなく、左右二分割で前方へ折り畳め、リクライニングの角度調節もできるリヤシートなど、使い勝手を重視した機能も大きな特徴だった。

アクティブなイメージを広告で強調していたのは、「ターゲットユーザーである若い世代のアウトドア志向の高まりに着目したから」と、マツダではホームページで解説。「スポーツごころ」をキャッチフレーズに、北大路欣也をキャラクターに起用。「狙いは見事に的中した」と、している。

「サーフボードをルーフキャリアに載せたスタイルの流行を作ったのもこのファミリアだった」と、マツダ。筆者はいまひとつ記憶が定かではないが、たしかに東京とその近郊では、多くの若者が「ダイクマ」で買ったルーフキャリアを取り付け、かつサーフボードを載せていた。

マツダによると“陸(おか)サーファー”という言葉を生むきっかけを作ったのも、このファミリアだったんだそうだ。クルマにそんな“力”があった時代なのだ。

文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)

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みんなのコメント

2件
  • 消費税・ガソリン税は共に廃止
    三菱ミラージュと忌野清志郎とエリマキトカゲ
  • 藍流頓瀬奈
    複数社を渡り歩いたタレントも。
    ジャン・レノ=ホンダ・オルティア→トヨタ・アルファードほか(ここでドラえもん役も)
    所ジョージ=マツダ・ファミリア→トヨタ・キャバリエ(バイクではホンダ・ズークも)
    木村拓哉=トヨタ・RAV4、カローラ→日産・スカイライン
    などなど。
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