ステランティスジャパンがフィアット デュカト専用の販売ネットワーク構築のため、ホワイトハウス(愛知円名古屋市)、アールブイランド(茨城県常総市)、岡モータース(香川県高松市)、トイファクトリー(岐阜県可児市)、ナッツ(福岡県遠賀郡)の5社と正規販売代理店契約を締結し、このほど調印式を行った。
今年2月に開催された「ジャパンキャンピングカーショー2022」でお披露目されたデュカトだが、日本の商用車市場で果たして売れるのかどうか、愛車のハイエースとルノー カングーを週末ごとに使って遠出しているフェルディナント・ヤマグチ氏が日本市場での動向を予測した。
商用車革命を起こすのか? ステランティスがフィアット デュカトを正式販売へ!!
本文/フェルディナント・ヤマグチ、写真/ステランティス、TOYOTA
■いよいよデュカトが日本で正規販売へ
2022年2月に開催されたジャパンキャンピングカーショー2022でお披露目されたフィアット デュカト(写真は欧州仕様)
絶対王者ハイエースが君臨する我が国の商用ワンボックス市場に敢然と立ち向かう欧州の勇者が登場した。その名はデュカト。キャンパーならば「お!」と思われる方も多かろう。
そう。日本でも他人とはひと味違うクルマを求めるシャレオツ系キャンピングカーのベース車両としてつとに有名な、フィアットの商用バンであるデュカトが正規輸入車としてステランティスジャパンから発売されることになったのだ。
いやしかし、日本では「デュカト」と呼ばせるんですね。アチラでは「デュカート」と、カーを伸ばすんですよ。マクダーナルをマクドナルドと呼ばせるようなものでしょうか。
デュカトの歴史は古く、その初代モデルデビューは今から40年以上も前の1981年。
イタリアとブラジルの工場で生産が始まり、12年経った1993年にモデルチェンジ。2代目デュカトは非常に完成度の高いクルマで、そのシャシーとエンジンを利用して日野のボディを架装した低床バスが初代の日野 ポンチョである。
コミューターとして各地で利用されたので、知らずに乗っていた方も少なくあるまい。低床バスは乗り降りがしやすい。「ポンと乗ってチョこっと行く」から日野 ポンチョ。これが車名の由来である。何してんだよホント。
さらに13年後の2006年。現行の3代目が登場した。ここでアレ? と思われた方もおられよう。日本で新たに売り出されるのは、モデル末期もいいところの発売12年目のクルマである。でもまあ、息の長い商用車。日本市場でガチのライバルと目される5代目ハイエースなんざ、今年で18年目のクルマですからね。
■とりあえずキャンパーに的を絞って販売
日本で売り出されるデュカトは3種類。エンジンは共通でボディサイズが3種用意されている。
L2H2:全長5413×全幅2050×全高2524mm
L3H2:全長5998×全幅2050×全高2524mm
L3H3:全長5998×全幅2050×全高2764mm
デカい……。いやデカいです。ちなみにハイエースの最大モデルのスリーサイズは以下のとおり。
全長5380×全幅1880×全高2285mm
あの巨大なハイエースの大型モデルよりもデュカトはふた回りほどデカい。こんなにデカいクルマが売れるのでしょうか……。
無論、このクルマを日常使いさせるはずはなく、ステランティスジャパンが選んだ正規販売代理店は、日本の代表的なキャンピングカービルダー5社である。代理店の選び方からして、当面は商用ベースで販売する気はないのだろう。
キャンパーに的を絞り、日本屈指のビルダーだけを厳選し、ピンポイントで止めどもなく盛り上がる日本のオートキャンプ市場に切り込もうとしているのだ。初期段階のマーケンティングとして極めて合理的である。
■キャンパーへの架装を前提としてベースは破格に
最小モデルのL2H2が469万円と、激安ともいえる価格設定で登場するフィアット デュカト。ここから架装していくことで、それなりのお値段になるというわけだ
今回、ベストカーWeb編集部から提示されたお題目は、東京にハイエースを、宮崎にルノーのカングーを置いて遊び暮らしている不肖フェルから見て「果たしてデュカトは売れるのか」なるものだった。あのですね。そんなにたくさん売れる訳がないですよ。
ていうか、そもそもステランティスジャパンはドカンと台数を伸ばそうなんてハナから思っていない。新しいモノ好き、カッコいいモノ好きのアーリーアダプターに向けて、ガランドウのベース車両を安価に提供しましょう、という戦略だ。かしこいなぁ。マーケティングの人、相当優秀です。
気になる価格はL2H2が469万円、L3H2が479万円、L3H3が489万円という設定だ。安いわ、コレ。激安です。この円安のなか、こんな値段で売り出して大丈夫なのでしょうか。
無論このままで乗る人はほとんどいないだろうから、買った後はそれぞれのお店でキャンピングカーとして架装して、それなりのお値段になる……という流れなのだが、最終的にはいくらくらいになるんでしょうね。ガッツリやれば1000万を超えてしまうのでしょうね。キャンパーのみんさん、お金持ちですね。
■旅先では間違いなく快適! 市街地での取り回しは?
そうそう。ハイエースとの一番の違いは、デュカトの駆動方式はFFであるということだ。
ドライブシャフトのないFFは、当然床を低くできる。床が低ければ、それだけ車内高を稼げるからキャンピングカーには有利になる。しかも車高がバカ高い。旅先の車内では思い切り快適に過ごせる事でしょう。その分都内では苦労しそうですね。
低い方でも全高2.5m超え。この高さだと、入れる都内のスーパー駐車場は限定されてしまいます。キャンプへ行く前の買い出しは、郊外の屋外駐車場がある店に限定されますね。
紀ノ国屋青山店は1.9mまで。新宿高島屋店は2.35mまで。オサレ食材は諦めましょう。せっかくオサレなクルマなのに残念ですね。あ、別に行きがけに買わなくてもいいのか。
という訳でフィアットのデュカト。期待しましょう。
しかし「出る出る」と言って、いったいいつ出るんでしょうね。フィアットのホームページを覗いても、スペック部分は「coming soon」のままなんですよね。もう2022年11月なんですけど。大丈夫なのでしょうか……。
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