現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 乗降性や開放感は抜群でも……いまじゃタントとMX-30ぐらい! 「センターピラーレス」のクルマが広まらないワケ

ここから本文です

乗降性や開放感は抜群でも……いまじゃタントとMX-30ぐらい! 「センターピラーレス」のクルマが広まらないワケ

掲載 11
乗降性や開放感は抜群でも……いまじゃタントとMX-30ぐらい! 「センターピラーレス」のクルマが広まらないワケ

 この記事をまとめると

■1960年代から1980年代にピラーレス構造のクルマが流行った

4枚全部スライドドア! 1列目シートも回転対座! 中国のEVミニバン「ZEEKR MIX」のワクワク感がヤバイ

■ピラーレスのメリットは乗降性や開放感

■ボディ剛性と側面衝突時の安全性を確保しにくいためピラーレス構造は減少した

 センターピラーレスのクルマが少ないワケ

 ダイハツタントは、左側のセンターピラー(ボディ中央のルーフを支える柱)を省いた。目的は乗降性の向上で、ピラーレス構造だから、左側の前後のドアを開いたときの開口幅は1490mmに達する。一般的な軽自動車のスライドドアは、開口幅が600~650mmだからタントは大幅にワイドだ。子育て世代のユーザーなら、雨天時などはベビーカーを抱えた状態で乗り降りできる。便利で快適な使い勝手を実現させた。なおタントの右側は、普通のセンターピラーになる。

 センターピラーを省く構造は、以前の乗用車では、いろいろなカテゴリーに見られた。実際、1960年代から1980年代には、ピラーレス構造の2ドア/4ドアハードトップが流行した。

 日本車で最初にピラーレスハードトップを採用して宣伝したのは、1965年に3代目トヨタ・コロナに追加されたハードトップであった。60年後の今では、2ドアクーペに近い形状だが、当時はトヨタ2000GTやトヨタ・セリカは登場していない。外観がカッコよく、新しいカテゴリーが生まれたような衝撃を受けた。

 その後、1972年になると、日産セドリックグロリアに4ドアハードトップが登場する。後席側のドアヒンジを装着するため、柱状の部材はあるが、天井を支える背の高いピラーではない。

 ちなみに2ドア/4ドアハードトップのメリットは、サイドウインドウをすべて開いたときに、開放感が得られることだ。ボディ形状はコンバーチブルの幌を閉めた状態に近く、幌のソフトトップをスチール製に変えたという意味で「ハードトップ」という言葉が生まれた。

 現在の衝突安全基準では今までのようなモデルは作れない

 ピラーレスのボディをタントのような空間効率の優れた車種に最初に採用したのは、1982年に発売された3列シートミニバンの初代日産プレーリーだった。ボディはコンパクトで、全長が4090mm、全幅は1655mm、全高は1600mmに収まる。後席側のドアはスライド式で、左右両側にセンターピラーを装着しないため、すべてのドアを開くと車内がとても開放的になった。

 ただしプレーリーは2代目になると、一般的なピラーを備えたボディスタイルに変更された。ピラーのない2ドア/4ドアハードトップも、今ではピラーを備えた2ドアクーペや4ドアセダンに変わっている。典型的なピラーレスボディは、タントの左側面と、観音開きのドアを備えたマツダMX-30などに限られる。

 ピラーレス構造が減った理由は、ボディ剛性と側面衝突時の安全性を確保しにくいためだ。日産の開発者は「初代プレーリーのボディスタイルは、今の衝突安全基準では絶対に実現できないものだった」と振り返る。

 それならタントはなぜ成立するのか。ピラーレスに見える左側面も、スライドドアのなかに強固なピラーが内蔵され、側面衝突時の安全性を確保するからだ。そしてタントの開発者は「ボディの左右で形状や剛性が大きく異なるため、走行安定性や運転感覚などを整えるのに苦労する。ふたつの車種を開発するような手間を要する」と述べた。

 つまりピラーレスボディが減った背景には、衝突安全基準などに対する設計の難しさがある。しかもタントはピラーレスボディにしたこともあって販売は好調だが、MX-30は不振だ。苦労してピラーレスボディを採用しても、優れた効果が得られるとは限らない。これらの事情で、今はピラーレスボディが減っている。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

背高のクルマだらけのいま「横風」対策も進んでいた! いまどきのクルマが軽でも「横風安定性」が高いワケ
背高のクルマだらけのいま「横風」対策も進んでいた! いまどきのクルマが軽でも「横風安定性」が高いワケ
WEB CARTOP
日産に作ってほしいのはこういうクルマよ! 新たなジャンルでバカ売れした「初代キューブ」の偉大なる足跡
日産に作ってほしいのはこういうクルマよ! 新たなジャンルでバカ売れした「初代キューブ」の偉大なる足跡
WEB CARTOP
ランサーを名乗る「まったく別のクルマ」が2車種存在! 気がつけば「本家」を乗っ取った「ランサーフィオーレ」を知ってるか?
ランサーを名乗る「まったく別のクルマ」が2車種存在! 気がつけば「本家」を乗っ取った「ランサーフィオーレ」を知ってるか?
WEB CARTOP

みんなのコメント

11件
  • van********
    昔アイシス乗ってたけど乗降性なんか全然変わらん。
    むしろピラーの手すりがなくて老人は苦労する。
  • BIKE!BIKE!BIKE!
    なんでNバンが忘れられてんだろ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

145.2185.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0270.0万円

中古車を検索
タントの車買取相場を調べる

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

申込み最短3時間後最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

あなたの愛車、今いくら?
※1:本サービスで実施のアンケートより (回答期間:2023年6月〜2024年5月)
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

145.2185.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0270.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

申込み最短3時間後最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!

あなたの愛車、今いくら?
※1:本サービスで実施のアンケートより (回答期間:2023年6月〜2024年5月)
メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村

carview!新車見積もりサービス