『飽くなき挑戦』という言葉を刻んだ石碑
マツダは常に挑戦を続ける会社だ。マツダの社内には今も、ロータリーエンジンの開発を指揮した山本健一さんの、『飽くなき挑戦』という言葉を刻んだ石碑が残されている。
【画像】試乗会で徳島と神戸を往復したマツダCX-80 全73枚
2020年に100周年を迎えたマツダの歴史において、1991年にル・マン日本車初優勝をもたらした787B、バブル崩壊の影響を受けた多チャンネル化、そして近年躍進の原動力となったスカイアクティブ技術と魂動デザインなど、実にドラマチックな出来事やキーワードが多いと個人的に思っている。
CX-80の原稿で、なぜこのような大げさな前置きを書いているのかといえば、現在進行中の『ラージ商品群』こそ、マツダの将来を左右する大きな挑戦だと思うからだ。
ラージ商品群とは、縦置きパワーユニットに対応した全く新しいプラットフォームを採用するモデルたちで、CX-60、CX-80、CX-70、CX-90の4モデルを新たに開発。ラージの名のとおり上級モデルとなり、これまでのFFベースのCX-5/CX-8よりもさらに上のクラスとなる、FRベースの高級車たちを作るという話である。
このうち日本市場は2列シートのCX-60と3列シートのCX-80を導入。既にCX-60は発売済みで、今回はCX-80を取材することができた。ちなみにCX-70とCX-90はサイズがひとまわり大きく、主に北米に向けたモデルたちだ。
昨今の流れで考えれば、一気に電動化しそうなところを、マツダはこの分野でトップランナーにならないと明言。マルチソリューションで対応していくとしているが(ロータリーエンジンもその一環だ)、各市場で政策も含めて状況が異なる中で、先行して投資するだけの余裕がないというのが本音だろう。
そこで今どき(と言っては失礼だが)直列6気筒を新開発してきたから驚いた。排気量は3.3リッターで、しかもガソリンとディーゼル両方。今回の試乗会に備えCX-60のディーゼルに乗っておいたが、そのフィーリングは最高で、エンジンだけでも買う価値ありと感じたほどだ。
なおラージ商品群ではほかにも、トルクコンバーターレスの8速AT、AWD、プラグインハイブリッド(PHEV)、マイルドハイブリッドも全て新開発となり、よくぞここまでの開発に踏み切ったと個人的には感心している。
突き上げを感じる足まわりに課題あり
徳島と神戸を往復する形で催された1泊2日のCX-80試乗会で、我々に割り当てられたのはソウルレッドクリスタルメタリックの『PHEVプレミアムスポーツ』(2.5リッター直列4気筒+モーター/価格719万9500円)と、ロジウムホワイトプレミアムメタリックの『XDハイブリッド・エクスクルーシブ・スポーツ』(3.3リッター直列6気筒ディーゼルのマイルドハイブリッド/同587万9500円)の2台。
残念ながら、事前にベストバイと予想していた『XD』(3.3リッター直列6気筒ディーゼル)は、くじ引きで外れてしまったので、これは後日の楽しみに残しておくことにする。ちなみに日本市場のCX-80はその3パワートレインが用意され、基本的にはAWDだが、XDのみ2WDをラインナップする。
試乗会初日はPHEVだった。まず思ったのは内外装のデザインが素晴らしいこと。ナッパレザーに一部レガーヌと呼ばれる素材を組み合わせた内装のタンカラーはいかにも仕立てがよく、700万円オーバーの価格に見合うものだ。
PHEVはEVモードもあるので、街中での走行マナーはジェントルだ。車両重量は2240kgもあるが、バッテリーを床下に置く低重心さも、高級車然としたフィーリングにつながっているように思う。ただ、アクセルを踏み込んでいくとその重量が逆に気になり、2.5リッター4気筒自体の吹け上りはいいのだが、身のこなしがやや重く感じた。
そして足まわりも結構突き上げがあって、ボディの上下揺れの収まりも若干悪いように思える。そこで試乗後サスペンションの担当者に聞いたところ、CX-60よりはだいぶ改善したそうだ。
簡単に書くと、CX-60の足まわりはダイレクトさを追求するため、横揺れを抑えることを決め打ちで対策してきたが、突き上げが目立ってしまったそう。そこでCX-80ではスプリングレートを下げ、減衰を上げるなどして、突き上げを丸くし、収まりをよくすること目指したというが、個人的にはもうひと息という印象だ。
翌日試乗した直6ディーゼル(マイルドハイブリッド)は、やはり素晴らしいフィーリングだった。加速感も安定感もよく、いい意味で速度感を覚えさせないのは、CX-80がいいクルマである証拠のように思えた。残念ながら足まわりの突き上げがまだ感じるが、PHEVよりはだいぶ抑えた印象。車重が2100kgと140kg軽いのは無関係でないだろう。ちなみにXDはもう100kg軽いので、乗り味はもう少し期待できそうだ。
ライバルに対しどう個性を出していくか
ということで足まわりを中心にまだ課題もありそうだが、全てが新開発となるラージ商品群、初期モデルとしては十分なレベルまで達しているように思えた。
特に、我々の試乗車ではなかったが、新色のアーティザンレッドプレミアムメタリック(濃い赤色)とメルティングカッパーメタリック(薄い銅色)のセンスが抜群で、撮影の許可が出ていた神戸旧居留地の高級感ある街中において、どのボディカラーも全く見劣りしないデザインに感心した。
ではこれらを今後、どのように『高級車』として販売していくかが鍵になる。CX-80は、同じく3列シートを持つCX-8の実質的な後継車だ。CX-5が継続生産ならCX-8も……と思うところで、実際にマツダ側も残したかったが、規制対応などを考えると難しかったそう。
マツダの国内ラインナップの中でフラッグシップとなるCX-80だが、CX-5やCX-8からの乗り換えが多く、今のところは半数がCX-8からとなるそうだ。これまでCX-5の上クラスがなかったから、需要としてはあったのだろう。
しかし高級車ビジネスはそう簡単ではない。販売の現場も含めて顧客満足度をいかにあげていくか、そして実質的なライバルであるレクサスやドイツ車勢と比較検討されたときに、どう訴求していくのか。取材している限り、近年のマツダらしくプロダクトアウトが先行しているように感じている。もちろんこれはいい意味で書いているが、今後は今まで求められなかった販売戦略や、マーケットイン的なモデル展開も必要とされるだろう。
ライバルがひしめき合う中で、どう個性を出していくか。そこが恐らく運転する楽しさなのだろうが、作り手側にまだ迷いがあるように感じた。だからか、いつものように「これはいいクルマですね!」とストレートに言えない自分がいる。
最初のほうに『マツダの将来を左右する大きな挑戦』と書いた。挑戦を応援したい……とは綺麗事すぎるので、少なくともその挑戦を取材者として、今後もしっかり追っていきたい。もちろん、そのストーリーがハッピーエンドであることを願っている。
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みんなのコメント
こればかりは試乗してみないとですね
後席の突き上げを体験するには
ディーラーの人に運転して貰わないといけないか
だからCX80もスポーツカーなので乗り心地なんて無関係
峠道で虚ろな目で側溝にタイヤ嵌めて
超高速コーナリングだ
ドギャギャギャギャ