トヨタ車などでスタンバイ式４ＷＤで、「なぜ４ＷＤなのに雪の登坂を登らないんだ」という苦情があると聞きますが、スタンバイ式４ＷＤって意味があるのですか？

Answer 1

トヨタの現行モデルの「スタンバイ式4WD」には、大きく分けて3種類のシステムがあります。それぞれの説明の前に分かりにくい4WDシステムについて整理しておきますね。

■ パートタイム式4WD

通常は2WDで走行し、緊急時のみ「ドライバーの意思」で「手動」により四駆に切替える仕組です。四駆時は前後輪直結になり、アスファルト上でステアリングを大きく切ると、前後輪がケンカして動かなくなるタイトコーナーブレーキング現象が発生します。それゆえ通常は2WD走行です。かつてのクロカンは皆この方式でしたが、使い勝手が悪く現在は絶滅に近く、日本ではジムニーや軽貨物車両程度しか採用がありません。

■ フルタイム4WD

その名の通り常時四輪駆動で走行します。エンジンの出力は一度センターデフ（またはそれに類する装置）が受けて、そこから前後輪に分配されます。最も高性能な本格4WDですが、コスト増や重量の問題で採用できないメーカーが増え、現行日本車で本式の「フルタイム4WD」があるのは、スバルとトヨタのエンジン縦置車両のみです。一方、スズキ等の軽自動車メーカーを中心に簡素なスタンバイ式4WDなのに、カタログに「フルタイム4WD」と記載をしている車種がありますので混同注意です。現在は簡素なスタンバイ式4WDが主流となっています。

■ スタンバイ式4WD

例えば、FFベースのスタンバイ式4WDの場合、エンジンの出力は前輪が受け止め、通常の直進走行はほぼFFです。前後輪をつなぐプロペラシャフトの間に制御装置を挟み込み、前輪が滑るなどして前後輪に回転差が発生すると、この装置の直結率が高まり後輪にも駆動力が発生し四駆になります。これをクルマ側で自動的に行います。滑ってからでないと四駆にならないので「なんちゃって四駆」とも呼ばれますが、これでも雪道では頼りになります。性能はフルタイム4WDに劣るのですが、軽量安価に4WD化できるため現在は四駆の主流です。冒頭の通り、トヨタには現行で主に3種類のスタンバイ式4WDがあります。

(1) Vフレックスフルタイム4WD

前後輪をつなぐプロペラシャフトの間に設置する装置に「ビスカスカップリング」を用いています。装置内に粘液と無数の金属板が密封されており、前輪が滑るなどすると、まずはこの粘液を通じてじんわりと後輪にトルク伝達されます。さらに前後輪の回転差が広がると液体が膨張して金属板を押し付けて直結率を高めます。こうして機械仕掛けで自動的に四駆に切り替わるスタンバイ式4WDを「パッシブ・トルクオンデマンド型4WD」とも呼びます。スタンバイ式4WDとしては原始的な仕組みで、昔はこうした機械式のパッシブ型が多かったのですが、最近はかなり採用減りました。トヨタでもサクシードやプロボックスなど一部のみです。とはいえ、確かに四駆になる反応遅く高性能ではないのですがクレームになったというお話はあまり聞いてはいません。

(2) アクティブトルクコントロール4WD

前後輪をつなぐプロペラシャフトの間に設置する装置にジェイテクト製の「電子制御カップリング」を組み込んでいます。前後輪の回転差を感知すると電気信号によって装置内の油圧を高めて四駆にします。電気信号で強制的に4WDにするため「アクティブトルクオンデマンド型4WD」とも呼ばれています。当然ながら機械式のパッシブ型よりも反応が早いです。この「アクティブトルクコントロール4WD」はトヨタの4WDで最も多く採用されているシステムです。

しかしながら、問題なのはこのシステムを搭載した多くの車種に4WDをカットオフできるボタンがついています。これが厄介モノなのです。「4WDオートモード」では、いわゆるスタンバイ式4WDなのですが、このボタンをオフにすると、どんなに滑ってもFFのままなのです。人によってはこのボタンの存在を知らずに、ずっとFFのまま雪道を走っていたというケースも少なくありません。これでは四駆のはずなのに雪道登れないですよね。従って、クレームが出るとしたらこの「アクティブトルクコントロール4WD」ではないかと思います（オフボタンない車種もあります）。

(3) ダイナミックトルクコントロールAWD

ハードウェアとしては(2)の「アクティブトルクコントロール4WD」と同じジェイテクトの電子制御カップリンングなのですが、各所により高度なセンサーを組み合わせて、滑る予兆などから前後輪のトルク配分を適正化します。ハリアーガソリンなど一部の車種に採用されています。これについてクレームはあまりないのではないかと思います。最近では、このように高度なセンシングを行うスタンバイ式4WDが増えてきて、フルタイム4WDに近い性能を持つものも出てきています。

■ モーター式4WD

メインの駆動輪はエンジンで、残りに2輪をモーター駆動するためプロペラシャフトを必要としません。ハイブリッド車の4WDシステムとして用いられることが多いですが、電子デバイスとの相性がいいため今後はこれが主流になるといわれています。トヨタの場合はエスティマハイブリッド等にかなり早い段階で「e-Four」というシステムをリリースしました。最近になって、後輪モーターをより簡素化したシステムがプリウスに採用されています。「e-Four」は、一定以上の速度になるとモーターがカットされてしまうのですが、後輪の駆動系は電子デバイスとの相性がいいため、下手なスタンバイ式4WDよりもきめ細かい制御をします。従って、クレームはこれでもないように思います。

・・・ということで、恐らく坂道を登らないのは、4WDOFFボタンのある「アクティブトルクコントロール4WD 」ではないかと思うのですが、いかがでしょうか？ 貼付写真が問題の「4WDオートボタン」となります。

以上、長くなり失礼いたしました。その他、ご不明な点などございましたら、追加でご質問いただければ幸いです。

Answer 2

e4WDのことじゃないの？

モーターアシストなので平坦な発進時の時くらいしか使えない

理由はモーターの力が無く車を押し出すあるいは引っ張るのがやっとで坂道ならなおさら登れない
30㎞以下の速度じゃないと切り替わらないおまけ付き

一般的なカップリング式なら登ってくれる

e4WDは重くて高価なだけなので選ぶ人は知らない人だけ

Answer 3

普段は二駆にして、燃費を稼ぎたい。
世間が燃費・燃費と大合唱するから・・・。

Answer 4

いずれにしても２ＷＤよりはマシですから。