トヨタ ルーミー 「そろそろ大幅な進化を期待したい1台」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
3
走行性能
3
乗り心地
2
積載性
4
燃費
2
価格
3

そろそろ大幅な進化を期待したい1台

2022.7.20

年式
2016年11月〜モデル
総評
ライバルが新しくなった今、ルーミーの各種性能やインパクトが欠けてしまうのは否めないと思う。隣の芝生は青く見えるという訳ではないが、「もっとここを良く欲しい」と思ってしまう部分は多い。でもそれだけライバルが進化してきたということは、このクラスに需要があるということだ。もっとトヨタとダイハツが手を取り合うことができれば、魅力的なクルマに仕上がるはず。それだけの手筈は登場当初よりも大幅に整っていると思われるので、フルモデルチェンジに期待したい。
満足している点
後部座席を中心とした室内空間の広さは魅力的なポイントと言える。特に後部座席が前後にスライドするのは、あらゆるシチュエーションに対応しやすい機能だ。また、各種小物入れや細かな収納が充実しているのも良い。このあたりはターゲットとしているユーザー層をしっかりと分析している印象を受ける。そのような細かな使い勝手という面で見れば、ライバルよりも優れていると感じる。ターゲットユーザー層が意識する点を理解して開発しているという印象だ。
不満な点
燃費性能と静寂性が気になるポイント。ライバルはマイルドハイブリッドシステムを採用している車種もあるので、乗り心地や静寂性といった街中の低速域での快適度は一歩劣るといった印象だ。モデルライフが長くなりつつあるので、このあたりもそろそろ大幅なテコ入れが望まれる。また、低速域でのストップアンドゴーが多いジャンルの車種だと思うので、WLTCモードの市街地モードの燃費性能をより伸ばしていきたいところ。
デザイン

3

以前はルーミーとタンクという兄弟車でのラインアップであったが、ルーミーのみに統一された。統一後はワイルド系のデザイン(それまでのルーミー)のカスタムとプレーンなデザインの非カスタム系グレード(それまでのタンク)というすみ分けになった。そういう意味ではルーミーだけで見た時にデザインの選択の幅が広がったと言える。この手のクルマは既定のサイズで室内空間を可能な限り確保するという方向性なので、あまりデザインで語るクルマではないが、デザインの選択肢があるというのは良いことであろう。
走行性能

3

パワースライドドアを装備したこのクラスのモデルとしては比較的軽量に仕上がっていると思う、それが走行性能にもいい影響を与えているという印象を受ける。だが、ライバルと比べると今一歩という印象だ。1.0Lの自然吸気エンジンというのは少し非力に感じてしまう。もし選択するならばターボエンジンを搭載したグレードを選びたいところ。また、難しいかもしれないがライズにハイブリッド搭載車が追加されたのを考えると、こちらにもハイブリッドの追加を期待したい。
乗り心地

2

乗り心地はあまり優れているとは言えない。この点は同クラスのライバルの方が優れていると感じる。ギャップやつぎはぎの多い路面では特に顕著だ。しかし、日常使いで苦となるレベルかと言われるとそこまでではなく、長時間の移動はあまりオススメしないといった具合。また、乗り心地は前に乗るか、後ろに乗るかでも印象は変わってくると思う。実際に購入を検討する場合は、前後どちらを優先するかを考えて乗り比べてみるのがいいかもしれない。
積載性

4

ラゲッジスペースだけでみると、特段優れているわけではないが決して狭いといった印象も受けない。通常実用する上では十分と言えるだろう。しかし、このクルマの利点はどちらかと言えば後部座席の広さにあると思う。後部座席もスライドするし、倒せば長物なども積みやすく、高い室内空間もあってかなり大きなものも積載可能だ。そういった意味ではシートアレンジを駆使しての積載が得意といった印象を受ける。普段どんなスタイルで荷物を積むかによって良し悪しが決まるところだろう。
燃費

2

正直言ってあまり燃費は良くはない。ライバルに比べて若干重たいことと、純ガソリンエンジンということが大きく影響していると思う。走行性能の部分でも述べたが、ルーミーにもハイブリッドシステムの導入が望まれるところだ。モデルライフが約6年になろうかというところなので、このあたりはもしかしたらフルモデルチェンジの時に導入されるかもしれない。そう考えると、現状で大きな燃費性能の向上が図られる改良はあまり考えにくいと言える。
価格

3

エントリーグレードが150万円台から用意されているという価格設定はリーズナブルに思えるが、各種オプションを選択していくと結構高くなってしまう…という印象を受ける。これは仕方がない部分かもしれないが、もう少し上のグレードならば標準装備を充実させてもいいのではないかと思ってしまう。オプション選択を必要最低限にする人にとっては良心的な価格設定と言えるのではないだろうか。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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