トヨタ RAV4 PHV 「動力性能のゆとりが魅力」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

動力性能のゆとりが魅力

2023.1.11

年式

2020年6月〜モデル

総評

何を求めるかによってこのクルマの価値は変わってくるでしょう。コスパを求めるのは違いますが、力強い走りや（使用方法によっては）ガソリンの使用を減らせることに意義を感じる人には大きな価値を秘めているといっていいかもしれません。

満足している点

モーターの力を炸裂させる力強い加速（といっても実際には滑らか）は、このクルマのキャラクターを強くしています。自宅などでの充電を組み合わせることで、ガソリンをほとんど使わずに走行できるのもいいですね。

不満な点

車両価格は安くありません。損得勘定なしに、力強い走りや電気だけで走れる価値を求めて選ぶのがいいと思います。

デザイン

3

基本デザインはRAV4の標準タイプ（「Adventure」ではない仕様）に準じていますが、仕立てが一段と上級な雰囲気になっていますね。具体的には前後バンパーやホイールアーチモール（タイヤの周囲を覆う部品）など、樹脂部品の仕立てが通常の樹脂素地そのまま（無塗装）から光沢ブラック塗装へと専用の仕上げとしています。これにより、通常のRAV4に比べるとずいぶん上質な印象へと変化。泥っぽさよりも都会的な雰囲気を求めるなら、アリだと思います。

走行性能

5

RAV4のプラグインモデルの最大の特徴は、単なるエコカーに終わらないところ。加速がすごいんです。考え方としては、通常のハイブリッドよりもバッテリーに余裕があるので、その余裕をエコ方向だけではなくアクセルを踏み込んだ時には加速へと向けるというわけで。フロントモーターは通常のハイブリッド車に対して最高出力で約1.5倍、最大トルクで約1.35倍になっていて、ひとたびアクセルを踏み込めばとんでもない加速を楽しませてくれます。そんな豪快な加速を楽しみたい人にもオススメですね。エンジンがかかると三菱アウトランダーPHEVほどの電気自動車感はなく、あくまでトヨタ式ハイブリッドの延長線上にある乗り味です。

乗り心地

4

車体下に重いバッテリーを積むので、乗り心地はガソリン車や通常のハイブリッドモデルに対して不利な面もあります。だから正直言うと硬めで、路面の凹凸をそれなりに乗員に伝えることもありますね。でも基本的には良好。

積載性

5

荷室容量はこのクラスのSUVとしてトップ水準。後席を倒さない状態でも、床に1mを超える前後奥行きがあるのはさすがです。床の高さは上下2段調整式で、下段にした際の荷室容量は580L。自慢できる広さですね。ハイブリッドだからと言って、荷室の広さにほかの仕様との違いはありません。

燃費

5

賢い使い方は、自宅で充電を行うこと。そうすると幅広い速度領域でエンジンをかけずに走行可能。日常の行動範囲（カタログ値で95km）なら電気だけで走れます。逆に外部充電を行わないのであれば、ガソリン消費に対するプラグインハイブリッドのメリットは引き出せないでしょう。その場合は「重いハイブリッド」となってしまい、燃費も思ったほど伸びません。ちなみにRAV4 PHVは急速充電には対応していないのでご注意を。

価格

2

マイナーチェンジのタイミングで当初あった“安めのグレード”が消えてしまい、現在の価格は「Z」グレードの563万3000円から。通常のハイブリッド4WDモデルの上級グレード「G」が430万4000円なので、価格の差はけっこうあります。状況により補助金（2022年末時点で国から55万円）などが活用できるので、実際の価格ほどの割高感はないかもしれません。