トヨタ プリウス 「5代目は走りとデザインに特化」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

5代目は走りとデザインに特化

2023.2.19

年式

2023年1月〜モデル

総評

初代誕生から26年後に登場した5代目は、歴代プリウスの「優れた燃費数値」≒「エコカー」の領域から一歩、抜きん出た。真っ先に注目されるのはスタイリッシュなデザイン。実車を目の当たりにすると、「欲しいな……」と思わせる説得力がある。従来型から踏襲された1.8Lに加え、2.0Lが新設定。足りなかった走りのゆとりを得ている。

満足している点

ともかく動力性能に対して我慢することがなくなった。これが筆者が満足している点。具体的には速い、遅いという数値的なところではなくて、アクセル操作に対して従順に反応してくれるのでクルマとの一体感が強まった。しかも、市街地走行だけでなく、負荷が大きくなる高速域でもそれが変わらず。テストコースでは150km/h巡航も難なく行えた。

不満な点

細かなところだが言及せずにはいられない。それは運転席前のトップマウントメーターだ。bZ4Xと同型式のメーターは、身長170cmの筆者が正しいドラポジを取ると表示部分とステアリング上部が重なってしまい数値が確認し辛い。あとクルマの本質的なところではないが、すでに納車まで2年待ちという点。コロナ禍が主要因ながら、どこか納得できない。

デザイン

5

実車を見た際にドキッとした。まるでモーターショーのターンテーブルに載るクルマのようだったからだ。1430mmの低くかまえた車体（1.8Lは1420mm）、大径タイヤを四隅に配置した様はSF映画に登場する車両をイメージさせる。そして意外にも、車内は広い。室内高は1130mm確保する。Aピラーも巧みなボディワークで太く見えないから開放的。

走行性能

4

運転操作に対する一体感はスポーツモデルのそれだ。人間工学を研究し直し、どうすれば人は気持ちいい走りだと感じるかを突き詰めた。具体的には、開発時の課題を各部署間で連携させた。よってエンジン／シャーシ／ブレーキが司る、走る／曲がる／止まるの一体感がグンと向上した。速くはないが、気持ちいい。これが5代目プリウスだ。

乗り心地

3

駆動方式で大きく異なる。1.8L／2.0LともにFFとE-Four（4WD）があるが、もっともしなやかなのは2.0LのE-Fourだ。60kgの重量増の多くが後軸周りに集中していることもあり、車体後半の落ち着きは断然、E-Fourがいい。後席にも試乗したが、この傾向は同じ。FFは上下動が若干大きく、その周期も早めだ。

積載性

4

6:4の分割可倒式リヤシート（運転席側が6）を採用しており、長尺物の積載も楽に行える。容量はその後席を倒さない5名乗車の状態で410Lを確保する。地面から開口部への高さはややあるが、開口面積が広く、左右壁面も張り出しが少ないので大きな荷物も積み込みやすい。電動ゲートはないが、操作力はそれほど必要としない。

燃費

4

1.8Lは5点、2.0Lは4点と評価した。ただ、点数の低い2.0Lが悪いかといえばそうではない。走行性能を高めた分だけ燃費数値が落ちている（WLTC値比で約12％低い）点を考慮。実際、1.8Lと2.0Lをほぼ同じ条件で市街地走行させた場合の値は15％ほど2.0Lが低かった。が、走行性能の伸び代を考えれば不満はない。

価格

3

275万〜392万円が価格帯。このうち275万〜297万円が1.8Lだが、売れ筋は2.0LのGグレードのFFで320万円になるだろう。性能からすれば5点以上だ。ただ、5代目プリウスは近い未来の電動化社会における中心的存在になる。長期間の販売が見込めることから10％ほど安価でも良かったと思う。