トヨタ ランドクルーザープラド 「4代目となったオン/オフ問わないクロカンモデル」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
3
燃費
2
価格
3

4代目となったオン/オフ問わないクロカンモデル

2022.7.21

年式
2009年9月〜モデル
総評
ランドクルーザーブランドの強みは絶対的な信頼性にある。世界中、どんな場面を走行しても走り切ることを主眼に開発された車体設計がなされているからだ。2022年現在のフラッグシップである300系ランドクルーザーにも通ずる安心感だが、2009年当時は「安価で良い性能」が目指すべき目標の優先順位であったことから、たとえばSUVのような快適性はない。一定の割り切りが必要だ。
満足している点
やはり本格的なオフロード走行を見越したフルフレーム構造による耐久信頼性だ。極端な使われ方をしなければ13年が経過した今であっても車体は十分に現役。クロスカントリーモデルでありながら、運転席からの視認性も考慮され、たとえば死角となる部分をカメラで捉えるマルチテレインモニターや、車体前や左側を映し出すワイドビューフロント&サイドモニターにより運転は思いのほかしやすい。
不満な点
2009年モデルは2つのガソリンモデルしかラインアップされていなかったことから、燃費数値に関しては期待ができない。また、オンロードを見越した設計とはいえ、基本はオフロード走行に置かれた設計思想であったことから、長距離の高速走行ではボディの風切り音や、直進安定性の面で不満を覚える。とはいえ、当時の基準からすれば水準以上であることから、そこを踏まえて入手して頂きたい。
デザイン

3

2009年9月に登場した4代目は、ランドクルーザーブランドのアイコンをしっかりと受け継ぎながら、市街地や高速道路などオンロードでも馴染むデザインが与えられた。外観だけでなく内装も日常使いでの利便性に配慮した。車造りの根幹はクロスカントリーモデルの王道であるフルフレーム構造とし、上屋となるボディに工夫を凝らすことで当時、トップクラスの衝突安全性も確保した。
走行性能

4

直列4気筒2.7Lガソリンエンジンと、V型6気筒4.0Lガソリンエンジンの2タイプを用意した。トランスミッションは2.7Lが4速ATで、4.0Lが5速ATだ。駆動方式はフルタイム4WDでトランスファーにはLSDタイプを標準で装備した。上位グレードには、AVN(減衰力制御サスペンションシステム)とカーナビの地図データを連係させる「NAVI・AI-AVS」を搭載。クロールコントロールなどオフロード走行での性能を高めるシステムが複数採用された。なお、2015年6月に追加された直列4気筒2.8Lディーゼルモデルは、2020年8月の一部改良で177PSから204PSへと出力を向上させた。
乗り心地

4

オンロードではフルフレーム構造としながら、車体全体のねじり剛性を確保したボディを組み合わせたことで、オンロードでは快適な乗り心地を確保した。オフロードでは、キネティックダイナミックサスペンションシステムが確実に路面を捉える。これは電子制御油圧システムを用い前後のスタビライザーの減衰力を制御することで、岩場や急斜面で車体が大きく傾いた際の安定性を確保する技術だ。
積載性

3

2.7Lのベースグレードには2列5人乗り仕様があるが、そのほかは3列7人乗り仕様。3列目シートは左右へ跳ね上げることでラゲッジルームが拡大する。フルフレーム構造であるため構造上、ラゲッジルームのフロアは高めだがフラットなので積載性は高い。各部の収納スペースは必要最低限だが、ドアポケットは深さがあるため使いやすい。
燃費

2

2.7Lモデルのカタログ燃費数値は10・15モード走行(当時)で8.8km/L、4.0Lモデルでは8.2km/Lだった。筆者がオンロードで試乗したのは2.7Lだったが、都心部の渋滞込で5km/L台だった。高速道路では10.0km/Lを超えるシーンもあるが、総じて当時のクラス平均値だった。4.0Lはクローズドのオフロードコースを中心とした値で4km/L台だったが、こちらも高速道路をゆったり走らせれば10.0km/Lに届く。
価格

3

ベースモデルで5人乗りのTX(2.7L)が3,150,000円(当時)だった。本格的なオフロード性能を重視するファミリー層にとっては十分魅力的な価格帯だったと思う。7人乗りのTXは15万円アップだった。上位モデルには前走車との距離を保つACCこそ備えるが、衝突被害軽減ブレーキは完全停止型ではない。当時、このクラスに搭載されることが稀であったことから、これらを装備しながらこの価格帯の実現は立派だ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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