トヨタ ランドクルーザープラド 「弟分でもオフロード性能は一流」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

弟分でもオフロード性能は一流

2021.9.30

年式

2009年9月〜モデル

総評

クルマに何を求めるかで判断は分かれる。力強い悪路走破性を求めるなら魅力的なモデルだし、舗装路での快適性や操縦性、燃費を重視するならほかのクルマを選んだほうがいいだろう。あくまでワイルドな人生を送る人のためのクルマである。

満足している点

高水準の悪路走破性は、所有したところでそういう状況を試すことなど決してないとわかっていても、ロマンに満ち溢れている。ランドクルーザーシリーズのなかで最高峰の300系には手が届かないかもしれないが、プラドなら頑張れば何とか買えそうな気がするので、ちょっとだけ身近な感覚。

不満な点

4気筒ガソリンエンジンは、重い車体に対してパワー不足を感じるシーンがある。そういう意味では、動力性能まで考えてディーゼルエンジンが魅力だ。ラダーフレーム独特の乗り味は、乗用車や昨今のオンロード系SUVからの乗り換えだと違和感を覚えるかもしれない。

デザイン

3

兄貴分となるランドクルーザーと比べると武骨さがあり、より泥遊びが似合いそうな雰囲気。2009年デビューで4代目となる現行世代は、前期モデルでは縦長に近い形状だったヘッドライトが、中期型では天地が薄くなり、後期型では横長となってスタイリングに上品さが増した。

走行性能

5

直列4気筒2.7Lガソリン、V型6気筒4.0Lガソリン（2015年6月まで）、そして直列4気筒の2.8Lディーゼル（2015年6月以降）と3タイプのエンジンが存在。イチオシは450Nmものトルクが力強く、燃費性能も優れるディーゼルだ。走行性能といえば、前後直結やデフロックが可能な駆動系などに裏打ちされた、世界的にも誇れる悪路走破性も魅力。道なき道を走れる本格オフローダーだ。

乗り心地

2

ラダーフレームによる独特の乗り心地は、乗用車系モノコックボディを採用する昨今の都市型SUVに比べると、特有の細かい振動や突き上げ時の車体の揺さぶられ感など多少の粗さがある。それをどう感じるかは個人の感覚に左右される部分が大きいが、むしろ独特の味を魅力に感じる人も少なくない。

積載性

4

車体サイズが大きいだけに、シート格納時の荷室奥行きは十分。3列シートモデルと2列シートモデルがあるが、日本仕様は全車ロングボディなのでシートの少ない2列シートのほうが畳んだ3列目シートが邪魔にならない分ラゲッジスペースは広い。また3列目シートがない分、3列目付近の床が低くなるのも容量の差となる。3列目シートは電動で格納可能。また2列シートと3列シートでは2列目の畳み方も異なる。

燃費

2

2.0〜2.3トンと車両重量がかさむこともあって全般的に燃費性能は誇れるものではないが、エンジンがガソリンかディーゼルかで評価が分かれるところ。ガソリンエンジンは排気量2.7Lと大きいわけではないが、WLTCモード8.3km/Lにとどまる。いっぽうでディーゼルは11.2km/Lまで伸び、燃料の軽油はガソリンよりも単価が安いので財布にやさしい。

価格

3

駆動方式が全車4WDとはいえ、エントリーモデルとなる2.7Lエンジン搭載のベーシックグレードでも366.6万円からという価格は身近とは思えないかもしれない。とはいえ、この値段で世界最高峰の走破性を誇る本格オフローダーが手に入ると思えば、必ずしも高価とはいえない。リセールバリューも充分。