短くていい 幅が狭けりゃもっといい
: この車を借りて1000㎞走ってきたのは、2mというエラく短いホイールベースの走りへの影響を見たかったからだ。
2010.5.29
- 総評
- 短くていい 幅が狭けりゃもっといい
: この車を借りて1000㎞走ってきたのは、2mというエラく短いホイールベースの走りへの影響を見たかったからだ。
結果は、普通に乗っている分には「まったく問題なし」だ。
ハンドル操作に対する挙動も神経質でないし、ブレーキング時や段差を越えた後のピッチングも気にならない。
自動車評論家の中には、後輪の接地性が低く危険回避能力が低いとしている者もいるが、非現実的だと思う。前方でアクシデントが起こった時、咄嗟に急ハンドルって切るか?普通は思いっ切りブレーキを踏む。仮に切ったとしても対向車が来ているかもしれないし、歩行者や自転車も通っているかもしれないし、2次的事故を起こす可能性が高く、逆に危険だ。
前後左右車のない地方の高速道路でダブルレーンチェンジを試してみたが、おかしな挙動はなかったというよりできなかった。この車には140万のベースグレードからVSCが標準装備されている。それが働いていたとしたら、違和感がなく作動していたことになる。
R1と比べると―――
全長が短い3ドア高剛性ボディ。4人定員だが、実質2人乗り。走りは疎かにしていない。上質感を売りに価格も高め。そのせいなのだろう売れていない―――など最近絶版になったスバルR1と共通点は多い。が、生い立ちはかなり違うように思う。R1が2人分の空間を必要十分に確保しようとした結果として全長が短くなったのに対し、IQはスマートフォーツーをライバル視し、全長3m以下の車を作る、というのが最初にあったという。
ラジエーターの位置を工夫しエンジンコンパートメントを薄くしたとするが、エンジンルームをのぞいてみると意外にスカスカ。十分なクラッシャブルゾーンが確保されていると感じた。
車としての能力(低速時高速時の快適性、安全性能など)はIQのほうが上だが、生い立ちがより健全で車幅が20㎝以上狭いR1の方を私は好む。
:
- 満足している点
- ○受動・能動安全性が高い
カーテンシールドエアバッグとVSCが付いている車では私の知る限りでは日本で買えるもので世界で2番目に安い!一番は巷の評価が低い新型パッソだ。このIQ、なんとニーエアバッグもついている。これ付きの車では日本最安値だ。軽より狭くて高いダメ車と断ずる者もいるが、いかがなものか。欠点を見つけることも必要だが、その車のいいところも見てあげたい。そのほうが、カーライフが楽しくなると思う。
新車は高いので、中古車を買おうとする場合、パッソでVSC&カーテンエアバッグ付きを見つけるのは至難の技であろうが、IQならもれなくついてくる。いい買い物ができそうだ。
フロントシートのヘッドレストもシートとの一体型だが、高さも角度も適切だ。
視野確保で大切なAピラーの細さもいい。右で死角は約4度。いい部類だ。
○軽くて頑丈
3ドアは5ドアより構造的に軽くて丈夫である。バックドアの開口部の小ささもいい。さらに車体を重くするガラスの使用量が少ない。結果車重890㎏。パッソの-20㎏だ。
窓を開けてドアを閉めても安っぽい音は皆無だ。
○静か
防音性能が高い。アクセルを目一杯踏んでもうるさくない。ほかに数台のコンパクトカーに乗って試したが、うるさくなかったのはIQだけだった。それをいいことに高速道路をほぼ追い越し車線走行し、トイレ休憩以外ノンストップだったが、疲れは少なかった。
○走行性能
軽ではもどかしかったCVTだったが、IQではストレスがなかった。つまり、踏んだだけ加速してくれるのだ。新型パッソも悪くなかったが、-20㎏が効いているのか、体感できる差であった。
○クルリン・・・パ
小回りが利く。カタログ値最小回転半径3.9m。片側1車線の道路を切り返しなくUターンできたのは快感だった。
:
- 不満な点
- ▼幅広
車幅が広い。しかも、サイドウィンドー間が広いので、現実的なドアミラー間の幅は実測197㎝。これは車幅1725㎜の2代目プリウスとほぼ同じである。コンパクトを売りにするなら、車幅は160㎝を切ってほしい。すれ違いやすり抜けのしやすさがコンパクトカーの良さのはずだ。また、全高の高さとあいまって前方投影面積は小さくなく、小さな車の割には空気抵抗が大きくなって、高速燃費が上がらない原因の1つになっていよう。
▼ブサイク・・・
なんでこんな顔に・・・、小さい車とナメられないようにわざとこんなふうにしたのかと思わざるをえない。まあデザインは人それぞれの好みなんだけど、売れない原因の1つになっているとしたら問題だと思う。
▼内装のセンス
外装と同じ塗装を施したオーナメント。そのテカリは目にウザッタイだけでなく、ドアノブの所は直に触れるので、夏はベタベタ、冬はヒンヤリしそう・・・、ダメだこりゃ。
空調やオーディオのボタンが小さい。購入層の主力になるだろう年配者が使いづらそうだ。操作にもたついて運転に集中できないことがなければいいが・・・これもダメでしょ。
▼なんちゃってリヤヘッドレスト
高さが低い場合の受動安全性の低さは新型パッソで書かせていただいたが、能動安全性においても百害あって一利なし。リヤの視界を思いっ切り削っているのだ。途中危険を感じて外そうとしたのだが、うまくいかず、困りました。
▼燃費
15㎞/L弱。かなり飛ばしていたので、もう少し抑えれば上がるかもしれないが、20㎞に届いてほしかった。
▼振動
アイドリング時にハンドルがブルブル揺れる。3気筒エンジンだからか。私は普段軽に乗っているせいか不快感はないが、IQをプレミアムカーと位置付けている人には許せない短所になるのかもしれない―――走り出せばなくなります。
▼ラゲッジスペースなし
リヤシートを倒しても、私のミラバンの半分以下、汎用性は少なくファーストカーにはなりにくい。でも、狭さは知った上で買うのでしょうから文句は出ないでしょう。
結論
・幅があと10㎝も狭かったらわたしにはとても魅力的な車になってました。
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- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験