トヨタ ハリアー 「基礎は同じながらRAV4の双璧となるSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

5

デザイン
4
走行性能
3
乗り心地
4
積載性
4
燃費
4
価格
4

基礎は同じながらRAV4の双璧となるSUV

2022.7.21

年式
2020年6月〜モデル
総評
日本市場におけるSUVを定着させたモデルとして、この先も長きにわたってラインアップされるだろう。しかしながら、初代から一貫した上質SUVというキープコンセプトがどこまで通用するのか……。電動化社会が叫ばれて久しいが、本来であればハリアーのようなネームバリューと実力があるモデルこそ、少数販売モデルとしてBEVの存在があっても良いように思う。その布石としてプラグインハイブリッドの設定を強く望みたい。
満足している点
SUVではオフロードイメージで勝負するモデルが多いが、ハリアーは初代から徹底して上質さを主体に都市型SUVとして迎え撃つ。マツダCX-5も同じような上質さをウリにするが、2021年12月に販売を開始したマイナーチェンジモデルではアウトドア色を強めた「フィールドジャーニー」を追加。結果、上質さでアピールするハリアーは独壇場となった。2列シートのミニバン的な使い方もできるので万人受けする。
不満な点
上質さを求める向きにはうってつけだが、ハリアーでなければならないという、強烈なアピールポイントに少々欠ける点が数少ない不満点だ。内装にしても徹底して上品なのだが、捉えどころが少なく、どこか大味なところも感じられる。RAV4に存在するプラグインハイブリッドモデルがない点も、現時点での不満点だ。繰り返すが、ハリアーでなければならない、という決定打がない。これが最大の不満点だ。
デザイン

4

SUVのなかでちょっとしたオフロード走行を意識させながらも、上質さをうまく演出しているのがハリアーの特徴だ。ガソリン、ハイブリッドモデルともにデザインを共通としてシリーズ全体のまとまりを高めている。切れ長のヘッドライトで構成したフロントマスクに、横一文字のLEDを配したテールデザイン。後部ウインカーをバンパー下部に埋め込むなど、新たなアイデンティティの構築も行われた。
走行性能

3

パワートレーンは2タイプ。直列4気筒2.5L+ハイブリッドシステム(THS-Ⅱ)と、直列4気筒2.0L。2.0LはCVTのみ。ともに4WDモデルの設定があり、ハイブリッドは後輪独立モーター方式のE-Four。個人的なおすすめは2.0LモデルのFFだ。他人数乗車が常でなければ不足なし。ハイブリッドモデルは大人4名での高速走行も余裕でこなし20km/L近い実用燃費を誇る。
乗り心地

4

あくまでも上質さを打ち出した乗り味で角がない。万人受けする乗り心地だ。ただしハイブリッドモデルの場合、FF方式と、4WD方式のE-Fourでは乗り心地が大きく異なる。市街地を流れに沿って走らせる程度でも、FFは後輪からの突き上げが大き目。ガソリンモデルはFF/4WDともに滑らかで、駆動方式による乗り味変化は少ない。ただし、厳密にはこちらも4WDモデルが良い。
積載性

4

積載能力にも優れるのがハリアーの特徴。3列シート仕様はないが、その分、2列5人乗り仕様でラゲッジルームのサイズを十分にとることができた。後席のシート形状から、ラゲッジルームの前端部(前席側)は若干持ち上がる傾向にあるものの、積載性を左右するほどではない。ラゲッジルーム高も十分で積み卸しにも苦労しない。テールゲートまでの高さはそれなりにあるが、操作力をそれほど必要とせず扱いやすい。
燃費

4

燃費性能も優秀、これがハリアーの隠れた美点。ハイブリッドモデルが優れていることは知られているが、2.0Lガソリンモデルは巡航燃費が特に優れる。FFと4WDでの違いも少なく、たとえばWLTC値の市街地モードではFFが11.3km/Lであるのに対して4WDは11.0km/Lと、ほとんど差がない。WLTC値の高速道路モードでは18.0km/L(FF)と、ハイブリッドモデルの22.1km/L(FF)に迫る。
価格

4

ガソリンモデルでエントリーモデルの「S」は2,990,000円。装備表で確認すればわかるが、Sグレードでも事実上、追加がいらないくらい実用上の装備は充実している。ハイブリッドモデルでは同グレードで3,580,000円となるが、ハイブリッドシステム向けの専用装備(例/電子制御ブレーキのECB)が上乗せされることから納得の価格差だ。決して安価ではないが、価格以上の満足度は得られる。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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