トヨタ FJクルーザー 「超本格クロカンが身にまとう力感溢れるフォルム」のユーザーレビュー

kyaraking kyarakingさん

トヨタ FJクルーザー

グレード:FJクルーザー“オフロードパッケージ”_4WD(ECT_4.0) 2014年式

乗車形式:マイカー

評価

5

走行性能
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乗り心地
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燃費
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デザイン
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積載性
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価格
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超本格クロカンが身にまとう力感溢れるフォルム

2016.11.26

総評
「走行性能」のとこで、FJは実用車じゃないって言ったけど、それはFJが実用車として使えないって意味じゃない。これだけ趣味性の高い車なのに、実用性も十分にあって、普段の足にも使えるってのが逆に凄いところだと思う。
 ファーストカーでは使えないって話も良く聞くけど、筆者はFJがバリバリのファーストカー。もう1台でフェラーリとかなら断然欲しいけど、セダンやコンパクトカーなんて、必要性をまったく感じない。てか、あってもFJばっか乗って、ボンネットに埃がたまるのが目に見えてる。
 だって、FJは乗ってて凄く楽しいでしょ! アクセルを開ければすげーパワフルだし、縦幅の狭いフロントウインドウから覗くように見る眺めは独特でワクワクする。目線が高くて気持ちいい。視界だって慣れれば全く問題ないし、唯一見にくい後方もバックモニターを付ければ万事解決。長距離を走っても全然疲れず、高速ではジェントルだ。
 ワインディングだって楽しくハイペースで走れて、旅に出るときは荷物もタップリ載せられる。
これってもう、完璧じゃない?

 要はFJは素晴らしい車で、個人的には大満足ってことっす。
満足している点
 

 FJの最大の美点はそのデザインにあると思う。ボンネットラインが高いため、窓から下のボリューム感があり、しかも前後のタイヤを包むフェンダーが外側にグッと張り出していることで力感溢れるフォルムを獲得している。これがすこぶるイイ!
 玄関から出て、駐車場に止めてあるFJを眺めると、いつも「カッコいいなあ」と声が漏れてしまう。たまに撫でたりして……おおむね変態ですな。

 また、購入時にJAOSのフロントキットや、LEDパークシグナル、GANADORの4本出しマフラーなどでドレスアップしたことで、より自分好みになったことも大きい。FJは、ディーラーでもカスタマイズを積極的に応援してくれるので(もちろん道交法に違反しない範囲でだけど)、自分だけのFJを作る楽しみを気軽に味わえる。それが所有する喜びにもつながっていくのだと思う。
 FJのどこが気に入ってるって?
 全部です(笑)。


不満な点
 不満な点はカスタマイズで解消してしまったので、本当に今は不満がない。敢えて言えば、多くの人も指摘しているように、パワーウィンドウを上げるときも、オートをつけてくれると良かったのになってことぐらい。これ、米国では挟み込み防止のために、窓を閉めるときのオートがNGで、それでこの仕様になっているらしいんだけど…。日本で販売することが決まったときに、改変してくれればよかったのになあ。
 でも、まあ、不満ってほどでもないです、はい。
デザイン

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走行性能

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 アクセルをガバッと開けると豪快に加速。これがけっこう気持ちいい。軽量スポーツの小気味よい加速と違って、巨大な質量がゴゴゴゴっと猛然と前へ突進する感じ。アクセルを開けても音ばかりで前に進まない…なんて意見もあるけど、それってどんな車との比較なんだろう。

 例えば0-100km/h加速。FJのデータはなかなかないんだけど、carmagっていう海外の月刊誌サイトのTest resultsによると《0-100 km/h: 8,57seconds》とある。これはクロカンとしてはかなりイイ数字だ。
 比較対象として、レクサスCT200hなら10.1秒、プリウス9.8秒、インプレッサ XV 2.0iも10.3秒。この辺りのエコカーの加速とは一線を画している。FJと同じぐらいのタイムということになると、マツダロードスター NDで8.2秒、レクサスHS250hで8.7秒。ちなみにバイクのNinja250も8.7秒と同じぐらいだ。さらに言えばトヨタの不朽の名車、あのトヨタ2000GTも8.7秒という記録が残っている。

 FJの車両重量は1,940kg。車両総重量になれば2.2tを超えるビッグサイズだ。このビッグサイズの車が、ロードスターやNinja250、果てはトヨタ2000GTと同等の加速を見せるのだから、立派なものだ。
 筆者自身、昔から速い車が大好きだったけど、FJの加速は十分に“楽しめる”レベルだ。このレベルに満足できないなら、カイエン・ターボやゲレンデのAMG辺りに乗るしかないと思う。


 そして、実はエンジン性能以上に驚いたのがその足回りだ。筆者のFJはオフロードパッケージでダンパーにビルシュタインがつくのだが、このオフパケの足回りはかなり固め。ただ、減衰は十分に効いているので乗り心地が悪いわけではないのだが…。この辺りは「乗り心地」の項目でお伝えするとして、ここではワインディングの走りを詳述しよう。

 ベンチマークとするのは軽井沢から浅間に伸びる白糸ハイランドウェイの登り。標高1000m前後を走る片側1車線、ところどころ舗装の荒れた路面もある意外とワイルドなワインディングだ。
 FJのように車高が高い車は、コーナーでのロールが運転のしにくさに直結している場合が多いんだけど、FJはそのロールが適度に抑えられていて、そこそこのスピードで入ってもコーナーで破綻することがない。ユッサと外側に傾いて、そのままアウト側に荷重が入りすぎてドアンダー……なんてことにはならないわけだ。
 さすがにクイックに曲がれるという表現は使えないけど、タイトコーナーも思いの外鼻先をインに向けてくれるし、そこそこのペースを安全に維持しながら走ることは十分に可能だ。車重が重い分、登りの加速には少し鈍さが出るものの、決して遅いわけじゃない。

 ブレーキも良く効く。コントロールもしやすいので、コーナーの進入でも不安感はない。また、オートマといってもシフトは1速から5速まで切り替えられるので、1〜3速辺りを積極的にシフトチェンジしてあげると、エンジンブレーキも使えてより走りは安定するはずだ。ただ、やはり重心は上にあるし、2tの慣性は大きいので、下りの走りはより気を遣う必要があるだろう。
 それでも、峠でも速い人が操れば相当なハイペースで走れるはずだ。例えばこの峠を筆者がポルシェ ボクスターあたりで前を走っても、FJに乗ったルイス・ハミルトンに追われたら、あおられまくると思う、いやマジで。


 と、ここまで来て、なんでFJなのにオンロードの話ばっかりなのよと、突っ込みが入りそうだが…。実は今年の4月にFJを購入したばかりで、まだ山道に乗り入れていないのだ。なので、実体験に基づくレビューとしては、どうしてもオンばかりになってしまうのだが……。
 でももちろん、FJはオフでその真価を発揮する車である点には疑いの余地がない。モノコック全盛で世界でも採用例の少なくなったラダーフレームは言うに及ばず、巨大なタイヤに大きなロードクリアランス、そして電子制御システムなども超本格クロカンと呼ぶにふさわしい仕様だ。とは言え、フレームやロードクリアランスなどは悪路に乗り入れずに語っても意味がないので、ここではその電子制御システムについて考察してみよう。

 まず、コーナーや加速時に役に立つVSCとTRC。簡単に言えば、横滑りの防止と、ホイールスピンの防止用のシステムだ。この2つの電子制御は特に真新しくもないが、FJには実はもう1つ必殺技がある。この2つのシステムは、ドライバーが自分で「切る」ことができるのだ。
 実は、VSCとTRCは、ダートの高速走行には不向き。VSCが介入するとドリフトもしにくくなるし、ダートでタイムを出すような走りをするときには、ホイールスピンもしながらの加速になるのでTRCも邪魔になる。でも……。そう、VSCもTRCも、ダートでドリフトするような走りをしたいなら、切ってしまえばいいのだ。LSDが付いているわけではないから(L4ならデフロックもあるけどw)、もちろん競技車両のようにはいかないが、2つのデバイスが介入してくることによるストレスが解消されて、かなり気持ちよく走れると思う。
 その意味で少し残念な動画がある。恐らくFJを購入した(あるいは購入検討した)多くの人が見たであろう動画「トヨタ FJクルーザー Vol.3(https://www.youtube.com/watch?v=5K4GWz7XLlc)」。この動画では、パリダカのドライバー、三橋淳さんがFJをダートコースに持ち込み、豪快にカウンターを当てながら走るシーンが印象的なのだが、どうやら事前にこの情報についてのブリーフィングを受けていなかったらしく、「車が危ないよと制御する」ため「本当はこういうこと(ダートを高速走行)する車ではない」と結論づけてしまっている。三橋さんのようなドライバーがダートでVSCとTRCを切ったときに、FJでどんなドライビングを見せてくれるのか、それはとても興味深く、できることなら是非動画で見たかった。「実は三橋さん、こうして、こうやると、ホラVSCもTRCも切れるんですよ」というスタッフに「マジで!?」と返す三橋さん。すぐにまたFJに乗り込むとアクセルオン。FJはこれまでと打って変わって水を得た魚のようにフルカウンターでコーナーを抜けていく……なんて、妄想しすぎか(笑)。
 FJのVSCとTRCが切れるという情報はあまり広まってないし、カタログにも記載がない。筆者はFJを購入して車の取扱説明書を読み、その事実を初めて知って「やるなトヨタ」と拳を握った。だってスポーツカーを除けば、なかなかそこまではしてくれないから…。FJの取扱説明書を持っている人は是非P.163を一度読んでおくといいかも?

 ちなみにこのVSCとTRC、普段は切らない方がいい。三橋さんレベルのドライバーなら、常に切っておいてもいいかもしれないが、多少運転に自信がある…程度なら作動させておいたほうが無難(本来安全のためのシステムなので)。だが、雪道でスタックした時に、切れることを知ってると脱出しやすくなるというメリットもあるので覚えておくといいだろう。あと、ダートでお楽しみ走行をする機会があったときに!

 と、ここまではH2とH4モード中心で活躍するデバイスになるが、ここからはL4で活躍するデバイス。その代表格がA-TRAC、アクティブトラクションコントロールシステムだ。このデバイスとリヤデフロックを組み合わせれば、正に鬼に金棒。この2つのシステムが、FJを本格クロカンたらしめていると言っても過言ではない。よほど酷い状況に陥らない限り、A-TRACオンでクリアできるはずだし、最終手段でデフロックしてしまえば、正に“悪路無双”と言える。

 そして、最後にトリで紹介したいのがクロールコントロールだ。これが標準で付いていたからオフパケにしたようなもの。しかもオフパケ車のクロールコントロールの制御システムは頭の上に付いているのだ! オーバーヘッドコンソール……いや、もうこの響きだけでもやられました。
 仕組みも、アクセル、ブレーキを踏まなくても、ダイヤル制御で自動的に5段階の低速走行を行えるというまさにスペシャル感バリバリの仕様。昔、ベンツのワゴンで山道の下りを走っているとき、バキバキに凍ったコーナーを歩くぐらいのスピードで滑っていった恐怖体験をしたことがあったけど……このクロールコントロールを使えば、その横をトコトコ何事もなかったように通り抜けられるんじゃなかろうかと、ルーフのダイアルを見ながら夢想してます。

 4リッターV6エンジンにラダーフレームなんて、今や消えゆくダイナソーみたいだけど、FJは実用車じゃない。車が大好きなユーザーに向けた乗っていてワクワクする趣味の乗り物だと思う。

乗り心地

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やっぱりオフパケ限定のお話。ちなみにノーマルは柔らかめ、X-REAS版は姿勢制御がかかってフラットな動きになるようだ。

「走行性能」でも少し触れたが、オフパケの乗り味は固め。なので、人によっては乗り心地をマイナス評価する場合もあるが、筆者は少なくとも好みだ。「乗り心地」の評価は、この好みによるところが大きいので、人それぞれで判断が異なって当たり前なのだが……FJのオフパケの固めの乗り味には1つの恩恵がある。疲れないのだ。
 高速の段差などでも、初期の突き上げはやや固く感じるものの収束が速いので振動を感じている時間が短い。また、コーナーでのロールも少なく、加減速でのピッチングも抑えられているので無駄な踏ん張りがいらない。だから、疲れないのである。
 足回りが柔らかいと、「乗り心地がいい」と感じる人が多いが、それが長時間の快適を保証してくれるとは限らない。むしろ、柔らかい足回りだと車もその分傾き、車内の人間は体を支えるために無意識に踏ん張ろうとして、結果、無駄な力を使う。長距離走るとグデングデンになってしまったりする理由がそこにある。
 とは言え、固ければ良いというわけではもちろんない。小さなギャップでもゴツゴツ突き上げてくれば、それは不快感となり、疲れにもつながる。オフパケは、そのバランスが良いのだ。

 また、オフパケは走行中の振動、騒音が小さいのも特筆すべき点だろう。外観からしたら、トラックのような騒音をイメージするかもしれないが、100km/hプラスαの巡航でも静かなものだ。前席の2人が普通の声で会話できる。直進性も高いので同乗者が不安感を感じることもないはずだ。


 ちなみに、筆者のFJには、前席にRECARO スポーツシート Sportster Limited Editionが入っているので、このRECAROが乗り心地には大きく貢献しているはずだ。だが、車が持っているベーシックな性能なくしては、それも宝の持ち腐れ。逆に言えば、RECAROの良さを十分に引き出せるだけのポテンシャルをFJが持っているということだと思う。

 足回りはノーマルだが、ホイールとタイヤはKMC XD811 RockstarⅡ+NITTO TERRA GRAPPLERの275/55R20の組み合わせ。扁平率の55は、極悪路では不利かもしれないが、オンロードでは大正解。ビシッと安定した走りになって、乗り心地もより好みになった。
 実は、タイヤはTrail Grapplerを入れたかったのだが、ノーマル足回りにはマッチしたサイズがなかった。妥協する形でTERRA GRAPPLERにしたのだが、結果はこちらで正解だったかもしれない。やはりオンロード主体なら、タイヤの走行音も重要。TERRA GRAPPLERは見た目はけっこうワイルドだが、高速道路などでは十分ジェントルだ。ゴツゴツ感は全くなく、良いタイヤだと思う。FJとのマッチングも文句なしだ。


積載性

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 FJの前には、ボルボのV70エステート、ベンツのE430ワゴン、デリカD5と乗り継いできているんだけど、積載性はFJが一番小さいかも。外見がデカいので、やや意外な感じもするが、全長が4,635mmとそれほど長くなく、V型4lを積んでいるためにエンジンルームが幅を効かしているのかもしれない。
 後席を前に倒しても、完全なフルフラットにはならず、この辺りのシートアレンジにも、米国生まれのおおらかさを感じる。

 とは言え、ロードバイク(自転車)のフロントタイヤを外せば、後ろに2台十分に積載できるし、必要にして十分なスペースは確保されている。夫婦2人に2匹の猫の家族には、何の不満もない積載性だ。
燃費

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 一番ベストな燃費を稼げるのは、恐らく高速道路を80km/h巡航ぐらいで安定しての走行になると思う。極力加減速を行わないようエコ走行をすれば、10km/lは超えるだろう。
「だろう」というのは、筆者が性格的にそういう運転を継続することができないため、まだ試していないから…(照)。試した感じでは、+20〜30km/hぐらいで9km/l前後、以降、20km/hプラスすると、2km/lぐらい落ちていくイメージだ。
 町中は、流れている道なら7〜8km/l、渋滞してると5〜6km/lといったところか。

 さて、このFJの燃費を見て、皆さんどう思われるだろうか。筆者が思ったのは「お〜、何だよけっこう燃費いいじゃん」である。
 よくFJの欠点として、「燃費の悪さ」を上げる人がいる。でも、FJは約2tのクロカン4WD。しかもでっかいタイヤ付けて、今時4リットルのNA、V6エンジンをお腹に格納してる。燃費にプライオリティを置いたパッケージじゃないのだ。
 筆者のイメージしていた燃費から考えたら、おおむね1割〜2割はいい。特に町中の燃費は4〜5km/lを覚悟してたから、平均7km/lほどの燃費はうれしい誤算だった。
 横幅も1.9mを超える大型クロカン4WDを、ファミリーカーと比べるのはナンセンス。逆比較で言えば、ランクル200よりは燃費いいし、ハマーH1辺りと比べたらそれこそエコカーですぜ。
価格

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