トヨタ クラウン（スポーツ） 「いつかはクラウンスポーツ！」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

いつかはクラウンスポーツ！

2024.4.29

年式

2023年10月〜モデル

総評

クラウンシリーズの意欲作というか異端児でもあるクラウンスポーツ。前後のオーバーハングが短く、ワイド化されたボディはシンプルでありながらエモーショナルな仕上がり。パワーユニットはハイブリッドとPHEV（プラグインハイブリッド）を設定するが、クロスオーバーに設定される2.4Lターボエンジンを用いた「デュアルブーストハイブリッド」は未設定。クラウンスポーツにはそんな走りのモデルがあってもいい。

満足している点

ポルシェマカンを仮想敵として開発されたシャシーは、クラウンらしい乗り心地を確保しながらハイペースの走りでは高い操縦安定性を確保する。ボディ剛性にすぐれ、21インチタイヤを装着していてもタイヤからの振動がうまく抑えられているのも印象的だ。

不満な点

前後のオーバーハングを切り詰めたデザインゆえにラゲッジルームの使い勝手はいまひとつ。そこに不満を覚えるのであれば2024年6月に登場予定のワゴンモデル、クラウンエステートを見てから決めるのがいい。

デザイン

5

前後を切り詰めた塊感のあるデザインがスポーツの真骨頂。クラウンクロスオーバーに対して全長は220mm短く、ホイールベースも80mm短縮化されており、それでいて全幅は40mmもワイドだ。21インチタイヤを収めるフェンダーアーチも量感的で、クラウンらしからぬスタイリングが魅力のポイント。インテリアは他のクラウンシリーズと共通のまとまり。

走行性能

4

ショートホイールベース化に加え、DRS（四輪操舵）の採用もあってか、ワインディングにおける操舵フィールはスポーティそのもの。操舵に応じてノーズが反応し、狙ったラインを確実にトレースする。2.5Lハイブリッドはスポーツモードを選択することでレスポンスにすぐれた走りを見せるが、このシャシーにはもっとパワフルなパワーユニットがあってもいい。そういう意味ではPHEVを選択したくなるが、車両重量が200kg以上重くなるのは気になるところ。

乗り心地

5

足まわりは前ストラット/後マルチリンクの組み合わせ。標準装着されるタイヤが21インチの大径ということもあって全般的に硬質な乗り味だが、スポーツというキャラクターを踏まえると納得はいく。ロールやピッチングはうまく抑えられている。

積載性

3

ラゲッジルーム容量は397Lとクラウンシリーズではもっとも少ない。9.5インチのゴルフバッグは斜めにひとつ積載可能。後席は6:4の分割可倒式。ハンズフリーパワーバックドアは標準装備だ。

燃費

5

PHEVはEV走行距離90km（WLTCモード）を実現。普段の買い物程度ならばガソリンを使わずに走行可能だ。燃費はHVが21.3km/Lに対してPHEVは20.3km/L。燃料タンクは両モデルとも55Lなので、計算上はどちらも1000km以上走れることになる。

価格

4

ハイブリッドのスポーツZが590万円、PHEVのスポーツRSは765万円。ハリアー最上級グレードとの価格差はハイブリッドが約75万円なのに対してPHEVは145万円。PHEVのEV航続可能距離はさほど変わらず、モーター出力にも劇的な差はない。ハイブリッドとPHEVの装備内容に違いはあるものの、PHEVのクラウンスポーツRSは割高か？