●日本の一般道を静かに快適に走るためのセダン
200系、210系に共通したテーマですが、このEセグメントフルサイズセダンを端的に表現すると、こういう
2014.11.15
- 総評
- ●日本の一般道を静かに快適に走るためのセダン
200系、210系に共通したテーマですが、このEセグメントフルサイズセダンを端的に表現すると、こういう事になると思います。
渋滞の多い道幅の狭い市街地や、郊外に出てもせいぜいアベレージ20~30km/h、巡航速度40~60km/hで流すような状況がほとんどである日本国内の一般道路に於いて、このクルマは極めて上質な移動空間を乗り手に提供してくれるのです。
然しこの200系クラウンハイブリッドの真骨頂は、なんちゃってGS450hと称されるがごとく、強力な旧レクサスGS450hのパワートレインをそっくりビルトイン、更に最新の制御系を導入して第一級の動力性能を与えられているところに有ります。
●パワートレインは旧レクサスGS450hを移植
DOHC-V型6気筒3,456c.c.の2GR-FSEエンジンにD4-S(燃焼室直接噴射と吸気ポート間接噴射)を搭載。最高出力296PS/218kW/6,400rpm、最大トルク37.5kgf・m/368N・m/4,800rpm。
レクサスIS350では最高出力318ps/234kW/6,400rpm、最大トルク38.7kgf・m /380N・m/4,800rpmを発揮していますが、200系クラハイではハイブリッド機構対応のためのデチューンを行い、これに200ps/147kw/28.0kgf・m/275Nm(最高13,000rpm)の出力を持つ1KMモーターを組み合わせています。
そして旧レクサスGS450h と同様、288VのハイブリットバッテリーをPCUで650Vまで昇圧してモーターを回します。モーターのトルク特性として、停止状態から起動する時が最大効率の発揮ポイントで、回転数が高まって行く程にトルクが落ちて行くので、旧レクサスGS450hではモーターの出力を2段リダクションギアによって速度に応じて切り替え、低速から中速では高い駆動力、高速ではハイギアで回転を抑えた走行を可能としていますが、200系クラウンハイブリッドは欧州の高速道路を高速で駆け抜けるために旧レクサスGS450hに搭載したこのリダクションギアをそのまま踏襲しています。因みに最終減速比については、日本国内用の旧レクサスGS450hが3.769を使っているのに対し、200系クラウンアイブリッドは欧州輸出用の旧レクサスGS450h と同じ3.266という高いファイナルを採用しています。
- 満足している点
- 赤信号で停止するはるか以前から、気付かないうちにV6エンジンは止まっています。アクセルに軽く右足が触れると、タイムラグ無く同時に、まずモーターの力だけで音も無くスーっとスタートが切られ、そのまま通常で20~30km/h程度まで加速したのち、速度の上昇に合わせて協調制御が行なわれV6エンジンが始動します。この時、エンジン始動のショックは強い加速を求めてアクセルを急に深く踏み込まない限り、そこに意識を集中していないと同乗者は気付かないレベルで、この点は非常に上質な仕上がりです。このV6エンジンは走行中も頻繁に起動・停止を繰り返しており、起動時には「VVT-i」を用いて一時的にコンプレッションを落とし、振動を抑制させる制御を行なっています。
●特筆に価するのが、静粛性の確保。
ハイブリッドではエンジンが停止して無音の状態が長いので、ワイパー作動音、風切り音、タイヤが道路の表層面と接して回転する事によって発生する走行騒音などを積極的に遮音する必要が有ります。この対策として、制振塗料をフロアに塗布し、フロアトンネルに吸音材を敷き、吸音シートをウインドーに挟み込むなど諸々の対策に加え、旧レクサスGS450hでは採用していなかったアクティブノイズコントロールを搭載した結果、ハイブリッド特有のエンジンのこもり音が異例に低く抑えられています。このクルマで街中を走っていると、赤信号で交差点に向けてブレーキングする前から、横や後ろのクルマのエンジン音、排気音、オーディオの音などがこちらの車内に飛び込んで来ます。自分のクルマから出る音のレベルが極めて小さいからで、ただ然し外部の音が侵入して来る原因のひとつは、レクサス車に比べて遮音材・防音材の量が少ない事のようです。マジェスタでさえ、クラウンに比して20kg近く遮音・防音材を追加しており、マジェスタに装着されたダッシュインナーサイレンサーは、200系クラウンには装着されていません。また、レクサス車の様にサイドウィンドウが二重ガラスになってはいないという事です。その辺りは窓外からの遮音レベルに関してレクサス車と差別化されているのでしょう、セミが鳴く夏の日は車内にその鳴き声が侵入して来ますし、秋の夜長に今回のような郊外の街道を走れば、コオロギ・スズムシ・マツムシといった虫達の鳴き声が車内に侵入して来ます。
- 不満な点
- ●重量の影響が否めない脚周り
ボディは、はっきり言って重い。これは峠を走るにはちょっと重過ぎます。
ベースを同じ200系クラウンアスリートと考えたら、ハイブリッド化に上乗せ重量180kgが必要だった訳で、旧レクサスGS450hより軽量化を果たしているものの、1,840kgというのは・・・。
このクルマは、街中を極低速で進むというシチュエーションが圧倒的に多いと思われますが、そんな時の乗り心地は、極上。
但し、ベースプラス180kgを支えるためと、強力なパワーを受け止めるサスペンションは固くせざるを得なかったという感じで、それまで水の上を滑る様に走っていたところで歩道切り下げ部分の敷石ブロックに何気なく乗り上げたら、リヤサスペンションが後席に『ガンっ!』と突き上げて家族にビックリされた事が有ります。それ以後は、段差の乗り越え時には必ず最徐行プラス片足ずつゆっくり乗り上げる時は一旦停止、励行していまつ。リヤタイヤ/ホイールが大径18インチ、225/R18-91Wというのも、固さを露呈するのに一役買ってしまっているかも知れません。
タイトコーナーでの走りは、うまく減速⇒進入⇒クリッピング⇒脱出の手順を間違わずリズム良く出来ると、鼻先をサーっと思い描いたラインより速めに軽々走れますが、ちょっと速すぎたりライン的に出口で無理しちゃったりすると、大きなV6-3.5Lエンジンのマスがかったるい位いにコーナー外側に残ってしまったみたいな感じ、・・解り難くて済みません、この説明(汗;
そもそも200系クラウンハイブリッドは、これは別途試乗した新レクサスGS450h Fスポーツも申し訳無いですけどほぼ同じ乗り味だったんですが、やっぱり重心の高いV6エンジンが前に、同様に重量がなかり有るニッケル水素バッテリーが、リヤアクスル軸上ではありますが結構高い位置に据えて有るという設計上の問題が、ボディバランスに影響しているのではないかと思っています(ひたすら個人的意見ですので・・・)。
それと、ほぼゼロなステアリングインフォメーション・・(T T)
多少突っ込み過ぎな状況でも思いのほか、何事も無くコーナーを抜けてしまう性能を示してくれる、なかなかスポーティなフルサイズセダンなのですが、路面とタイヤの接地状態をほとんど伝えてくれません(涙
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