トヨタ カローラクロス 「世界中どこでも重宝される実用SUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

世界中どこでも重宝される実用SUV

2022.1.17

年式

2021年9月〜モデル

総評

SUVが欲しいけど、どれを選んでいいのかわからない……、そんなユーザーには最適の一台。走行性能、乗り心地、装備、燃費数値、どれをとっても大きな不満を抱かないはずだ。反面、個性は薄い。乗って疲れず、移動は安価に行えるが、ワクワクするような感覚は薄めだ。

満足している点

SUVが欲しいけど、押し出しの強いデザインや、街中で目立つのはいやだなという、上品さを求めるユーザーにはぴったりだと思う。また、標準装備品が充実していて、それこそフロアマットを別途購入すれば満足できるセットアップになる点もうれしい。

不満な点

燃費性能に優れるハイブリッドモデルだが、走行性能にはラバーバンドフィールが目立つ。アクセル操作に対してエンジン回転が先行する感覚が強いのだ。制御は現行プリウスの方式をベースに重くなった車両重量に合わせて専用設定しているものの、元気よく走らせようとすると気になる。

デザイン

4

世界の自動車メーカーがSUVをラインアップするなか、競合車に負けないデザインをもつことが差別化を図る意味で重要。しかしカローラクロスは違う。車高を上げてフェンダーアーチモールを備えるも、佇まいはカローラそのものだからだ。芯の太さを感じさせるが、世界の市場にマッチする穏やかなデザインである。

走行性能

3

直列4気筒1.8ｌガソリンエンジンと同ハイブリッドの2本立て。購入するなら断然ハイブリッドモデルがいい。力強い瞬発力こそないものの、低速域〜高速域にいたるまで終始滑らか。他のトヨタHV同様、電子制御ブレーキの回生制御は10㎞/hあたりで解除されるが、減速度の変化もなく前のめりにならずに停車できる。

乗り心地

4

乗り心地を左右するリヤサスペンション形式。ハイブリッドモデルはダブルウイッシュボーン式であるのに対して、ガソリンモデルはトーションビーム式。日常走行領域からハイブリッドが有利だ。大きな違いは凹みを通過した際の乗り心地。衝撃音が気になるガソリンモデルに対してハイブリッドモデルは衝撃音が少なく、かつ上下動は一発で収束する。

積載性

5

広くてフラット、使いやすいラゲッジルームだ。6：4分割可倒式リヤシートを倒せば1885㎜の長尺物も収納可能。フロアとゲートには段差があるが販売店オプションの用品を選べばフラットになり簡易マットでの車中泊も可能。リヤゲートは電動式も選べる。これには、両手に荷物をもっていても開けられるキックセンサーも備わる。

燃費

5

とりわけハイブリッドモデルが優れた燃費性能を示す。平均車速25㎞/hほどで市街地を50㎞ほど走らせた結果、24.2㎞/ｌ（カタログWLTC値の92％）を示した。原油高が続くなかレギュラーガソリン対応であることも地味にうれしい。

価格

4

ガソリン1.8ｌのFFモデルなら199万円とリーズナブル。それでいて、衝突被害軽減ブレーキをはじめとした先進安全技術が標準装備となる。カローラの名に恥じない高いコストパフォーマンスだ。ハイブリッドとの価格差は35万円、4WDとの価格差は20.9万円（ともにGで比較）と標準的。