スバル フォレスター ハイブリッド 「リーズナブルな大柄SUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
3
燃費
2
価格
5

リーズナブルな大柄SUV

2022.12.21

年式
2018年9月〜モデル
総評
SUVがトレンドとなっていて、様々なモデルが存在しているがその中でもフォレスターは分かりやすいキャラクターと言える。優れたAWDシステムで高い悪路走破性を実現していて、最低地上高も高くウィンタースポーツを中心としたアウトドアシーンで頼れる存在といったキャラクターだ。都会的で洗練された印象は薄いものの、この分かりやすいキャラクターは一つの売りと言えるだろう。また、価格がリーズナブルなのも嬉しいポイントだ。アメリカ市場を考えるとスバルの屋台骨とも言えるモデルなので、今後もフォレスターが継続していくことは当然だろうが、そのためにはストロングハイブリッドシステムでの燃費性能向上が求められると言える。
満足している点
オンロードでも恩恵を感じることが出来る優れたAWDシステムと高い悪路走破性、そしてリーズナブルな価格設定。この3つがフォレスターの優れているポイントと言えるだろう。スバルのシンメトリカルAWDが悪路で優れているのは広く伝わっていることだとは思うが、オンロードでも安定した接地感を生み出すのに寄与している。また、値段は車格とサイズ感、運転支援システムを中心とした充実した装備内容を考えると非常にお買い得と言える。
不満な点
やはりハイブリットシステムを採用していながら燃費性能があまり優れていないのが欠点と言えるだろう。環境性能が重要視される時代になり、燃費性能の指標が大きくなった昨今では水平対向エンジンは正直足かせになっていると感じる。ストロングハイブリッドシステムを搭載したくても厳しいものがあるし、エンジン単体で見た燃費性能で考えても分が悪い。抜本的なアプローチの見直しがないとこの欠点はぬぐい切れないと言える。
デザイン

3

メインの市場を考えれば当然と言えば当然だが、アメリカ受けしそうだなというのがデザインに対する第一印象。全体的なデザインはフォレスターらしいと感じる、ホイールベースが伸びやかな印象となっているが、大きなヘッドライトとグリル、そして細部のデザイン処理がアメリカ向けといった雰囲気を醸し出している。メーカーページにはアメリカナンバーを装着した車両の写真が掲載されているが、日本のナンバーよりも似合っている。ただ、日本市場ではもう少し各パーツの押し出し感が少ない方が受けがよさそうに思える。
走行性能

4

ハイブリットシステムが搭載されているとは言え、システム的には世間が思うほどの電気的なアシストは少ない。低速域からモーターの特性を生かしてトルクフルにという印象はあまりない。しかし、動力性能やトルク感としては十分と言えるだろう。最低地上高の高さからかロール感は大きいものの、AWDの恩恵もあってか接地感はしっかりとあって不安定な印象は少ない。駆動系の良さが走りの良さに繋がっていると感じさせる。
乗り心地

3

全体的にフワッとしている印象がある柔らかな乗り心地といった印象だ。第一印象としては乗り心地よく感じるが、振動の収束は少々残り気味で高速域でのギャップでは乗り心地に不快感を覚える声もあるかもしれない。柔らかいことが必ずしも乗り心地の良さにつながるという訳ではないのだ。ただ、これはタイヤとのマッチングも関係しているかとは思う。ハイブリッド3グレードの中でも17インチが2グレード、18インチが1グレード、17インチは1つがオールシーズンタイヤとなっている。これだけタイヤの設定があると、どのタイヤに合わせこむかというのも難しくなってくるのではないか? それが表れた乗り心地だとは感じる。
積載性

3

ボディサイズを考えるとラゲッジスペース自体はさほど大きくないかと思う。また、開口部下部も高いため荷物の載せ降ろしに関してはユーザーフレンドリーではないと言えるだろう。X-BREAKには撥水カーゴボードが用意されているものの、クルマのキャラクターを考えれば手入れがしやすい裏面が樹脂製のリバーシブルカーゴボードを全グレードで用意しても良いのではないかと思う。ラゲッジスペースに関しては全体的にコンサバであまり驚かされないという印象だ。
燃費

2

ハイブリッドだから燃費性能が優れているかと言われると正直そうでもないというのは、このモデルのウィークポイントと言える。2.0Lエンジンを搭載したフォレスターのハイブリッド車がWLTCモード14.0km/Lなのに対して、1.8Lターボは13.6km/L。ただ価格的にはハイブリッドの方が安いので(グレードのキャラクターもあるが)選択肢としてハイブリッドになるといった具合。積極的にハイブリッドというパワーユニットを選んでいる現状ではないのがネックと言える。水平対向との組み合わせは難しいだろうが、今後数十年を考えるとストロングハイブリッドシステムを考えるべきと言えるだろう。
価格

5

サイズ感と充実した運転支援システムを考えるとエントリーグレードで300万円を下回ってくる価格設定はかなりお得感があると言えるだろう。装備内容を考えればエントリーグレードでも大きな不満はないと感じる。上級グレードであっても乗り出し350万円切りが狙えそうな価格設定となっている。車格と装備内容を踏まえると400万円台も見えそうな雰囲気であり、ライバルたちと比べてもリーズナブルなのでお得に感じる1台だ。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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※ 掲載しているすべての情報について保証をいたしかねます。新車価格は発売時の価格のため、掲載価格と実際の価格が異なる場合があります。詳細は、メーカーまたは取扱販売店にてお問い合わせください。

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