人目惚れした人にとっては安い買い物
“らしく”てエキセントリックで運転の楽しい個性的な新しいモデルだけを、少量でもいいから輸入してしまう。ここ数年のル
2011.12.31
- 総評
- 人目惚れした人にとっては安い買い物
“らしく”てエキセントリックで運転の楽しい個性的な新しいモデルだけを、少量でもいいから輸入してしまう。ここ数年のルノー・ジャポンの販売戦略は、輸入車マーケットの劇的な量的拡大が望めないこの成熟市場において、かなり効果的だ。
特にルノーのような、ブランドの知名度こそそれなりにあっても全方位的な求心力には欠けるという非ドイツ車勢にとっては、地道に市場を掘り下げていくための、有効策になりうる。数が望めないのであれば、図体のでかい日本現地法人など運営せずに、内容の濃い(利幅もある)モデルだけを効率的に紹介した方が得策、ということだろう。
さしずめウィンドは、その典型である。そもそも超超ニッチであることを認識したうえでの導入だから、左ハンドルのまま。右ハンドルじゃなきゃダメだという人を、わざわざ説得してまで買ってもらう必要はない、ということで、批判も受けつけない。
トゥインゴをベースに、ルノー・スポールが企画開発を担当した、2シーターのオープンカーだ。ミドシップスポーツカーのようなスタイリングと、オープンカーのファッショナブルさ、そしてRSゆずりの痛快な走り、と小さいながらも魅力満載、フランス味の濃いモデルとなった。
- 満足している点
- インテリアとエクステリア
ひとめで変わったクルマだという印象をいだく。まるでそのことが日本におけるフランス車の最重要項目だと言わんばかり。とにかく、個性的だ。小さいくせに、面とラインがなかなかダイナミックに構成されており、塊感も十分。それゆえ、存在感があって目立つ。変わったクルマが欲しい人が手にして、十二分に満足できる出で立ちだ。特に斜め後ろからの眺めが格好いい。
ルーフの開閉方法も面白い。流行りの複雑な格納ハードトップではなく、2シーターゆえの天板の小ささを利用した、180度回転型収納だ。詳しくは画像をみていただきたいが、ルーフ後辺を軸に天板が百八十度回転して、開いたリアパネル下に格納される。開閉時間はおよそ12秒。
インテリアも、よくよく見れば大したもんじゃないなのに、仕立て方がうまいというか、演出上手というか、とにかく見た目の雰囲気がエクステリアのスポーティさととてもマッチしていて、飾りすぎずチープすぎず、軽やかな空気感である。
走らせて
トゥインゴゴルディー二RSをベースにしたと聞いていたから、山椒一粒的ピリ辛な走り味を想像していたが、ちょっと違った。オープンエアによる開放感と、それを得るための重量増によるどっしり感が手伝ってか、第一印象はマイルド。辛いと聞いていたカレーを試してみたら、ぐいぐいスプーンが進んだといった感じ。風はさしずめ爽快なスパイスで、身体中が歓ぶ。
調子にのって食べていたら、だんだんホットになってきた。なるほど、ステアリングフィールはトゥインゴRSほどシャープじゃないけれども、そのぶん奥行きというか絶妙なタメがあって、波乗りにも似た感覚で人とクルマと道との一体感が強まっていく。そうなると、これはスポーツカーだ。5段マニュアルの変速機を上手にキメて、狙いどおりのラインを走りぬけ、その連続をモノにしたとき、クルマ運転好きはとても幸せな気分になる。かつては特別なことじゃなかったはずなのに、今は特別...。そんなノスタルジーにも浸れる。
機械としての楽しさと、ファッショナブルな出で立ち、そしてオープンエア。小さいからだに魅力を満載、というあたり、合理主義でケチなフランス人気質が爆発した。
- 不満な点
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- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験