日産 ルークス 「軽というより“小さなミニバン”のスーパーハイトワゴン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
5
燃費
3
価格
3

軽というより“小さなミニバン”のスーパーハイトワゴン

2023.6.19

年式
2020年3月〜モデル
総評
ハイウェイスターではない通常デザインの方はやや存在感が薄いのですが、開発チームが目指した「ミニバンと軽の両立」というテーマ通り、インテリアの質感の高さやセンス抜群のカラーコーディネートも手伝って、軽スーパーハイトワゴンというよりも、これはもはや「日産でいちばん小さなミニバン」ではないかと思える出来栄えです。サイズは小さく、でも装備や安全性は最先端のものを。そんなクルマを探している人にオススメしたい1台です。
満足している点
ドアを閉める音に重厚感があり、しっかりと作られたクルマであると感じること。シートのクッションが絶妙な弾力性を持ち、心地よく身体にフィットすること。とくに際立つのが後席の居心地の良さです。両側にドリンク+小物が入る収納スペースがあり、折りたたみテーブルやサンシェードもとても便利。天井にシーリングファンが設置されているので、エアコンの風が素早く室内全体に回り、プラズマクラスター搭載できれいな空気にしてくれるのも嬉しいところです。後席は前後に32cmものロングスライドが左右別々に可能で、最後端にすれば足を伸ばしてもまだ余裕のリムジン級スペース。最前端にすれば前席のすぐ近くまで寄れるので、ママと赤ちゃんで出かける際など、いろいろな使い方ができます。
不満な点
価格の話にもなりますが、総評で「これはもはや日産のいちばん小さなミニバンです」と書いたように、ミニバンとして欲しい装備を満たしていくと、つけられるグレードが限られていることもあり、どうやっても「ハイウェイスターG ターボ プロパイロットエディション」に行き着いてしまい、そうなると車両価格だけで216万円オーバー。軽としてはちょっと考えられない価格になってしまうのがビックリですね。
デザイン

5

ベーシックとハイウェイスターの2タイプのデザインがあり、やはり遠目からでも堂々とした存在感を感じさせるのはハイウェイスター。「品と凛」をテーマとしたというデザインは、日産全体のデザインランゲージであるVモーショングリルを用いながら、全体的に厚みとワイド感を持たせ、細部の継ぎ目にまで気を使った質感の高い作り込み。“丁寧に作られたクルマ”と感じさせる上質さがたっぷりです。セレナのハイウェイスターと並べて置いてもサマになりそうです。
走行性能

5

デイズでも好評のBR06エンジンとBR06インタークーラーターボエンジンは、どちらもルークス専用のセッティングを行い、組み合わせるCVTのギヤ比を最適化し、ステップ変速による爽快な加速感を出しています。自然吸気、ターボとも減速時のエネルギーで発電してリチウムイオンバッテリーに充電し、その電力でECOモーターを回してエンジンの補助駆動力としたり、アイドリングストップなどに再利用するスマートシンプルハイブリッドを搭載。自然吸気エンジンは、穏やかで軽快な加速フィールを思いのままに操れる感覚。高速道路ではややノイズが大きいものの、パワーは十分だと感じます。ターボは出足からパワフルでなめらか、上質感のある走りです。
乗り心地

5

ターボモデルの乗り心地はかなりフラットで静粛性も高く、とても快適。追い越しなどで強く加速するとさすがにノイズは大きめですが、それ以外は広い室内でも声を張らずに会話できるほど、静かな空間が保たれていて感心しました。自然吸気モデルはカーブでやや沈み込みが大きめになりますが、ターボモデルはしっかりと踏ん張りが効き、でも堅すぎることなく安心感のある乗り心地です。
積載性

5

ホイールベースが2495mmに拡大したことで、後席の足元スペースが従来比+80mmの795mmになり、上級セダンもビックリの広大な室内空間を実現。後席は前後に320mmのロングスライドが可能で、左右独立してスライド操作ができます。このおかげで、荷室の奥行きも最大で675mmを確保でき、4人乗車でも48Lのスーツケースが4個積載可能に。荷室側からも後席のスライド操作ができるので、荷物に応じて左右の奥行きをサッと変えられます。もちろん、後席を前に倒せばさらに広くフラットなスペースが出現。車中泊にも向いていると感じました。
燃費

3

燃費は自然吸気モデルのFFで最大20.9km/L(WLTCモード)、ターボモデルが19.2km/L(WLTCモード)と、ライバルにやや劣る数値。エコモードなどの切り替えも特にないので、それほどシビアに燃費を気にしない人向けといえるでしょう。それよりも、運転中の安心感や、ロングドライブの快適性を優先しているように感じます。
価格

3

ベースグレードのSでも160万円台からですが、パワースライドドアとなるハンズフリーオートスライドドアが両側につくのはXターボからになるので、実質188万円台からが狙い目となるでしょう。高速道路を頻繁に走るならプロパイロットも欲しいところですが、そうするとハイウェイスターX プロパイロットエディションで204万円台。2トーンのボディカラーなどオシャレな外観などが揃うので、やはり軽と思わず小さなミニバンと考えて予算を組みたいところです。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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