買って損をしない車である。
日産の思い入れを強く感じることのできる、良く出来た車である。この能力にして、この価格、費用対効果という点で、国内外のライバ
2010.5.8
- 総評
- 買って損をしない車である。
日産の思い入れを強く感じることのできる、良く出来た車である。この能力にして、この価格、費用対効果という点で、国内外のライバルとされている車種に対して、郡を抜いている。純粋に、この車を愛することができれば、買って損をしない車である。
どの観点で車を選ぶかによるが、高級車として選ぶのであれば、その要素の一つとして不可欠なブランド力という点で苦しさがある。一般の人にフーガという車名を伝えただけでは、その性能や価値を理解してもらうことは難しく、少なからず過少評価を受ける可能性がある。日本でもインフィニティブランドを立ち上げ、それが認知され、M37として売り出されれば、ブランド力は向上するかもしれないが、そうすると、コストパフォーマンスという、この車の魅力の一つを失いかねない。
しかし、全ての暮らしの中での時間を気持ちよく過ごしたいという向きには、それでもかまわないかもしれない。誰もが認知するブランド力と、気持ちの良いディーラーでの応対を受けるために、それなりの費用を上積みするというのが、プレミアムEセグメントの購買層の思想だと思うので。
- 満足している点
- 【エクステリア】
多彩な曲面とエッジを絶妙に取り混ぜたグラマラスなボディは、力強さだけでなく、サイドの舐めるようなラインや、フロントフェンダーからボンネットにかけての膨らみから色気すら感じる。オプションのエアロパッケージは、男臭さ側に振られ、筋肉美的な魅力は増すが、好みは分かれるかもしれない。
【インテリア】
本皮パッケージを選ぶと、ドア側、センターコンソール側のアームレストはもちろん、センターコンソールの両面もしっかりと本革で仕立て上げられ、膝の側面を含め、身体に触れる部分全体で、いいもの感を味わうことができる。また、木目パネルも、一クラス上の車種のように、ふんだんに使われており、視覚的にも、満足度は高い。操作系では、ドライブモードセレクターのダイヤルが、機能的に優れ、視覚的にもアクセントとなっている。
【走り】
ドライブモードが、それぞれ優位な差を感じる意味のあるものになっており、SPORTモードでは、普通にアクセルを踏んでいても、3000~4000回転の美味しいところまで、使ってくれるようになり、走りを楽しみやすい。また、エンジンを回すと、聞かせてくる野太いサウンドは、好き物をその気にさせる。かつて、Y33グランツーリスモのハンドルを握っていたときは、それまでのアッパーミドルセダンでは、なかなか持ち合わせていなかったコーナリング性能や、高速安定性に満足していたが、十余年の正常進化を感じさせられる、足回りである。
- 不満な点
- 【エクステリア】
側面やや前方から見た際にも見れる、妙な凹凸のあるテールランプは、スカイラインのセダンにも共通するもので、安全性の面では一役買っているのかもしれないが、デザイン的には野暮ったく、リア全般として、フロント周りに比べて高級感に欠け、力感も不足する。
【インテリア】
仕立ての良さや、質感の高さを感じ、豪華は豪華であるが、ややゴテゴテとしており、洗練さに欠ける。革シートの縫製デザインも、こってり系で、もう少し、全体的にすっきりとしたほうが好みである。
【走り】
猛烈にパワフルな車という気持ちで走らせると、やや期待外れの印象を受ける。特に低回転域でのトルクが細く、例えば上り坂で、軽くアクセルを踏み込んだだけでは、望むような加速は得られない。しっかりとアクセルを踏み込み、エンジンの回転数を上げてやれば、それなりの加速感は得られるが、今度は、そのエンジンが音振共にしつけ切れていないという一面が見えてきてしまう。これは、ハンドルを握ることの好きなドライバー自身にとっては大した問題ではないが、一般の同乗者にとっては、ややもって乱暴な運転、飛ばす運転に思われる可能性があり、ラグジュアリーサルーンとしては、厳しい面がある。
また、動いているときにはさほど気にならない車体の大きさも、例えば駐車場のような極低速域では5.6mの最小回転半径は、軽快とは言い難い。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験