三菱 エクリプスクロス PHEV 「コンパクトSUV唯一のプラグインハイブリッドモデル」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
3
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
2
燃費
3
価格
2

コンパクトSUV唯一のプラグインハイブリッドモデル

2022.6.20

年式
2020年12月〜モデル
総評
アウトランダーと比べることなく走行性能、走りや内装の質感などを考えると決して魅力的がない訳ではない。このサイズ感のプラグインハイブリッドSUVは他にないので、ファミリー感をあまり出さずにプラグインハイブリッドに乗りたいという人にとってはオススメできる選択だ。エクリプスクロス自体2018年に登場したモデルではあるが、プラグインハイブリッドの追加とデザインのブラッシュアップで、まだまだ新鮮味があるモデルと言える。
満足している点
まずコンパクトSUVながらプラグインハイブリッドシステムを搭載している点だろう。プラグインハイブリッドは近年続々と登場しているが、大柄なSUVが中心でエクリプスクロスと同じ車格やボディサイズでは購入できるラインアップはないと言える。またそのボディサイズのコンパクトさからキビキビと走る印象があるのも良いだろう。プラグインハイブリッドSUVとしては随一パーソナルカー感があって、それも良い個性となっている。
不満な点
やはり同社のラインアップに後から登場したアウトランダーが存在していて、そこと比べてしまうとあまり魅力的な選択に映らないという点だろう。システム的にも向こうの方が新しく、価格面を見ても「もう少し頑張ればアウトランダーが狙えるなぁ」という感じである。今後年次改良でアウトランダーと同じシステムを装備しなくても、バッテリー容量は同じにしてほしいというのが素直な意見だ(それも簡単ではないと思うが)
デザイン

3

プラグインハイブリッドが投入された2020年の改良で大きくデザインが変更された。近年の三菱のデザインアイコンであるダイナミックシールドがより強まった感じになった。印象としてはより未来感がある顔つきになり、まだまだ新鮮なイメージがある存在となった。しかしリアデザインに関しては以前の方が先進的なイメージがあったと思う。またCピラーのラインは流行りのクーペSUVなのか、普通のSUVなのかどっちつかずというバランスに感じてしまう。
走行性能

5

アウトランダーが新しいシステムで登場した今、バッテリー容量13.8kWhというエクリプスクロスPHEVは少し古臭く感じてしまうかもしれない。しかし、実際に乗ってみるとSUVながらロール感が少なく、路面からの入力に対する突き上げ感も不快な印象がなく、振動の収束も早めで悪い印象はない。SUVとしてはコンパクトなボディサイズにまとまっているが、そのイメージのままSUVの中ではキビキビと走ってくれるという感じだ。前後にモーターを配置したAWDシステムもこのキビキビ間に大きく寄与しているだろう。
乗り心地

5

乗り心地に関しては不満は特にない。ボディサイズの割にはバッテリーの性か重量が重たくなってしまっているため(1900kgほど)足回りは若干硬い印象があるものの、街乗りが不快な程ではない。プラグインハイブリッドシステムの静寂性も相まってよりラグジュアリーな雰囲気が増したという印象すら受ける。加速感もシームレスで2トン近い車重を考えると割とビックリする乗り心地に仕上がっているといった具合だ。
積載性

2

ガソリンモデルに比べると積載性は劣るが、もともとガソリンモデルでもSUVとしてはあまり積載性は高いとは言えない。理由としてはクーペフォルムを意識したような傾斜されたCピラーも大きく影響しているからだ。そこから更にラゲッジスペースの横幅が13センチ狭くなるため、SUVとしての積載性は低いと言えるだろう。またリアシートを倒してもフラットにならず傾斜が付いてしまうというのも痛手と言えるだろう。3人以上で荷物を載せる外出が多い場合はラゲッジスペースは事前に要チェックすべき。
燃費

3

プラグインハイブリッドと聞くとその燃費性能を期待してしまう声もあると思うが、WLTCモードで16.4㎞/Lとなっていて、さほど高くないと言える。プラグインハイブリッドの強みはハイブリット車としての燃費性能の高さよりも、EVモードをどう上手く使うかという点にあるだろう。このエクリプスクロスの場合、WLTCモードで57.3㎞を電気エネルギーだけで走れる性能となっている。日々上手く充電することで街中の短距離移動はEVのみで駆動して燃料代を安くするのが正攻法と言える。
価格

2

正直言って安くはないだろう。エントリーグレードが約380万円からでトップグレードは約450万円からだ、新しく登場したプラグインハイブリッド上級車種のアウトランダーが上級グレードで500万円+αということを考えると正直エクリプスクロスの方は割高感を感じてしまう。それは車格が異なるというのもあるが、アウトランダーの方がシステム的にも新しく、バッテリー容量も多いからだ。もしエクリプスクロスPHEVの購入を検討するならば値段的には中間グレードがオススメと言えるのではないだろうか。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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