三菱 デリカミニ 「遊べて便利なワイルド系スーパーハイトワゴン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

5

デザイン
5
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
5
燃費
4
価格
3

遊べて便利なワイルド系スーパーハイトワゴン

2023.7.21

年式
2023年5月〜モデル
総評
デリカの名に恥じない軽スーパーハイトワゴンを作ってみせる、という開発チームの意気込みが伝わる1台。可愛すぎずゴツすぎないデザインのさじ加減もちょうど良く、愛着が湧くフレンドリーさがあります。4WDモデルは大径タイヤを履いたりサスペンションチューニングを突き詰めたりと、オンロード性能を損なわない程度に悪路走破性も高められており、キャンプなどのアウトドアレジャーや、雪道を走ることが多い人にも頼もしい走り。室内も広く、スライドドアの利便性と合わせてアクティブな子育て世代にピッタリです。
満足している点
室内空間の広さのみならず、デリカを名乗るならばと、アウトドアレジャーでも汚れを気にせず使いやすいように、撥水シート生地が採用されているのが嬉しいポイント。雨の日などに濡れた洋服のまま座ったり、子どもが飲み物をこぼしたり、といったハプニングは子育て世代ならば日常茶飯事。そんな時でも、サッとふき取りができるというのはストレスを軽減してくれると思います。後席が32cmのロングスライド機能を持つのも、使い勝手を向上しています。
不満な点
収納スペースが豊富なのに、デザイン性に乏しく外観との一貫性に欠けるのだけが残念なところ。アッパーオープントレイにはスマホやお財布などを置いたり、引き出し式のセンタートレイは休憩時のテーブル代わりにもなります。ボックスティッシュが隠せるアッパーグローブボックスや、ゴチャゴチャしがちなモノが入るグローブボックスやセンターロアボックス、助手席シートアンダートレイは前からも後ろからも引き出せるのが便利なので、もう少しワクワクするようなデザイン性があればもっと良かったなと思います。
デザイン

5

インテリアはちょっと物足りないのですが、エクステリアデザインは最高の仕上がり。軽規格でよくここまで、デリカらしいゴツさとフレンドリーさを融合したちょうどいいデザインを実現したものだと感服しました。細かなところでは、ホイールアーチ風の塗り分け部分。普通なら黒い部分が上にかぶさる感じで塗られているのかと思いきや、ボディ同色部分が上になっており、ホコリなどが溝にたまらないようにする心遣いなのだとか。
走行性能

5

4WDの「Tプレミアム」に試乗すると、一般道ではヘンに反応がシビアなところがなく、おおらかな操作感のステアリングフィールや、大径タイヤの恩恵ともいえる直線での安定感、カーブでは沈み込みがやや深めながら、最後はガッシリと支えてくれる頼もしさが印象的です。1人〜2人で乗っている時にはゆるめに感じるハンドリングも、きっと荷物満載の時などには安心感が大きくなるのだろうと想像がつきました。砂利道を走ってみると、舗装路とほとんど変わらぬ乗り味で、不快な振動やハンドルを取られるような不安感もないのが好印象。高速道路での加速はあまり鋭くないですが、安心してクルージングすることができました。
乗り心地

5

最低地上高は高めだし、全高は高いし、乗り心地には不利な条件がそろっているわりに、後席でもガタガタと不快な振動が少なく、快適です。高速道路では、東京湾アクアラインで強風にさらされ、ルーフあたりに多少の揺れは感じたものの、フロアから下がガッシリとした剛性感を保っており、安心して走ることができました。
積載性

5

後席ロングスライド機能がラゲッジ側からも操作できるので、後席の人がちゃんと座れるスペースを残しても、最大675mmの奥行きが確保できます。48Lのスーツケースが4個積載できるくらいのスペースになるので、4人家族での旅行もOK。後席は左右個別に前倒し可能で、開口部の高さは1080mm、横幅は1050mmもあります。キャンプ道具はもちろん愛犬のキャリー、部活の道具、コストコの買い出しなど、たっぷり積むことができそうです。助手席の背もたれをめいっぱい倒すと長尺物も積めるので、釣竿やスノーボードといった趣味の道具も大丈夫。さらに、「Tプレミアム」と「Gプレミアム」では後席の背もたれがPVC仕様となり、ラゲッジボードが樹脂製となるため、泥のついたままの荷物などを積んでも掃除がラクです。
燃費

4

スーパーハイトワゴンとしては、FFで20.9km/L(WLTCモード)という数値はそんなに悪くないですが、やはりマイルドハイブリッド搭載モデルと比較すると見劣りすると思います。エコモードのような走行モード切り替えもないので、ドライバーの運転の仕方によってかなり実用燃費には差が出てくるでしょう。燃費よりも安心感、頼もしさを優先する人にはいいと思います。
価格

3

ベーシックグレードで180万円からとなるので、少し高めの印象を受けるかもしれません。フル装備で4WDのTプレミアムになると223万円台となってしまうので、たとえばスペーシアギアのトップグレード4WDの192万円台と比べると高いですが、オフロードのテスト走行までやっているという「違い」に価値観が持てる人には、それほどコスパは悪くないと思います。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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